「日本製ドローン」といえば、ACSLを思い浮かべる人は多いでしょう。
この記事では、ACSL社が製造するドローン「蒼天」を紹介します。
「蒼天」の基本情報から活用シーン、安全性までを詳細に解説します。
ぜひ最後まで読んでください。
出典:(C) ACSL
「蒼天」は国産ドローンのパイオニアであるACSL社が製造するドローンです。
寸法 | アーム展開時:637mm×560mm(プロペラ含む) | ||
アーム収納時:162mm×363mm | |||
重量 | 1,720g | ||
最大飛行時間 | 標準カメラ搭載時、風速8m/s条件下:25分 | ||
標準カメラ非搭載時、風速8m/s条件下:29分 | |||
最大伝送距離 | 4㎞ | ||
価格 | 157万円(標準機体価格) |
出典:(C) ACSL
ドローン「蒼天」の強みは高度な自立飛行です。
脳科学的には大脳レベルの飛行ができるのです。
一般的なドローンは通信衛星から信号を受け取って飛行します。
通信が途絶えた場合、墜落します。
人間で例えると、通信衛星が大脳です。
そして、それを受け取るドローンのCPUが小脳です。
ドローンのCPU自体には自分で考えて飛行する能力はありません。
しかし、「蒼天」は違います。
「蒼天」にはGPUが搭載されています。
GPUは半導体チップです。
このGPUが大脳レベルの働きをします。
そのおかげで、通信衛星の信号がなくとも機体そのものが信号を出して姿勢制御をおこなってくれるのです。
ドローン「蒼天」は測量分野で活用されます。
標準装備の「スタンダードカメラ」を利用すれば、測量ドローンとして活用できます。
2023年9月に新モデルが販売されました。
新モデルでは測量の精度が上がりました。
GNSS補正データ配信サービスを利用することでセンチメートル単位で高精度な測位が可能になったのです。
点検、災害時の状況把握、測量などでは正確な位置情報が必要です。
前述のサービスを使えば今まで以上の高精度な測位が可能となります。
「蒼天」はインフラ点検に活用されます。
インフラ点検におけるドローンへの期待は大きく、需要もあります。
その理由は高度経済成長期に整備された道路や橋、水道管などの社会インフラが修復時期をむかえているからです。
ドローン活用以前の点検は人が直接現地でおこないました。
それは危険を伴う作業でした。
しかし、「蒼天」を代表とするドローンを活用すれば、離れた場所から修復の有無を把握できます。
蒼天の場合はオプションの「光学ズームカメラ」を取り付ければ、点検ドローンとして活用できます。
コンクリートのひび割れや送電線のリモート点検など、様々な点検に役立つのです。
光学とデジタルズームの組み合わせで被写体に近寄れない環境でも、遠隔点検が可能です。
「蒼天」は災害時に活躍します。
とくに、災害発生時は通信インフラが破損しています。
CPU搭載のドローンでは通信がおこなえず飛行できない可能性があります。
蒼天の場合はGPUを搭載しています。
GPUは高度な半導体チップです。
ゆえに、外部からの通信がなくてもドローン機体自体が姿勢の傾きを修正したり、機体が現在いる地点を把握したりしてくれます。
また、蒼天に搭載しているオプションの「可視+IRコンボカメラ」を取り付ければ、熱エネルギーを可視化できます。
ゆえに、災害時のドローンとして活用できるのです。
出典:(C) Impress Corporation
2022年4月、北九州市での消防訓練中にドローンの墜落事故が発生しました。
墜落した機体はACSLの「蒼天」でした。
墜落したのは4月20日、場所は北九州市若松区の市立運動公園。
消防局職員が蒼天の操縦訓練時に15メートルの高さで操縦不能となりました。
機体はそのまま草地に墜落したのです。
消防職員は「操縦ミスはなかった」と話しています。
墜落によるけが人や建物などへの被害がなかったのは幸いでした。
2022年の事故を受けて調査をおこなった結果、特定の条件下で飛行をおこなった場合、「蒼天」に墜落の危険があることが判明しました。
「特定の条件下」とはプロペラ保護材などを搭載している状態です。
この状況で負荷のかかる操縦をおこなった場合、墜落する恐れがあります。。
2022年春の事故後、ACSLは機体の不具合を公表しました。
そして、利用者に機体の運用を制限するよう通知しました。
それを受けて、警察庁や消防庁は導入した「蒼天」の使用停止を決めたのです。
また、ACSL社はこの不具合を解消するために機体を制御するファームウエアをアップデートしました。
具体的にはモーターの回転数をモニタリングし、回転数が上がって負荷が高くなっている時は機体を減速させます。
さらに、減速しても未だに負荷が高いと判断した状況では空中で停止(ホバリング)します。
そして、操縦者に警告を出して次の操作を判断してもらうようにしました。
このような安全対策を講じて2022年7月13日にファームウェアの提供を開始しました。
この項目はあくまでも1つの意見として認識してください。
ドローン「蒼天」の評判を調べた時、「価格が高い」という声を多く聞きました。
SNSに以下の発言がありました。
DJI製のドローンは30万円程度で高品質なドローンが購入できます。
それに対して「蒼天」は157万円もします。
この発言のように個人が購入するにはハードルが高い機体です。
ドローン「蒼天」の評判を調べた時、「デザインがDJIに類似している」という声をSNSでいくつか見ました。
以下はその1つです。
ドローン市場は中国メーカーが先行しています。
後追いの日本メーカーがそのような印象を持たれる事は覚悟しなければなりません。
「蒼天」の肯定的な評判で最も多かったのが「国産ドローンの魅力」でした。
以下はSNSの発言の1つです。
「日本製は信頼できる」という神話は現在でも不変です。
ここでは、ドローン「蒼天」を詳細に取り上げました。
価格などの問題点はありますが、性能は高品質です。
また、国産というのも魅力の1つです。
より多くの「蒼天」がドローンユーザーから支持され、社会問題を解決してくれることを願います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
参照:(C)VFR
参照:(C)Nikkei Business Publications
参照:(C)Logistics Today |
参照:(C)イワリバドットコム