ドローンの利用が広がる中で、ドローンに関する制度や手続きの見直しも進んでいます。
2025年3月24日から、国土交通省が運用する「ドローン情報基盤システム(DIPS)2.0」における飛行許可・承認申請のルールが変更されました。
これにより、ドローン操縦者の申請の負担が軽減され、審査の迅速化が期待されています。
しかし、簡素化されたとはいえ、注意すべきポイントも多く残されているのも事実です。
制度改正の背景や変更内容を正しく把握していないと、申請が受理されないリスクもあります。
この記事では、DIPS2.0の新しい申請手続きについて詳しく解説し、変更点や注意点を解説していきます。
最新の情報をチェックして、制度に沿った安全なドローン運用をしていきましょう。
ドローン情報基盤システム(DIPS)2.0は、無人航空機に関する各種手続きをオンラインで行える国土交通省の公式システムです。
2022年12月の制度改正に伴い、それまで稼働していた下記3つの個別システムを統合したのがドローン情報基盤システム(DIPS)2.0です。
①従来のDIPS(目視外・飛行禁止エリアや夜間飛行などの飛行許可申請を行うシステム)
②FISS(ドローンの飛行予定日を申請・登録するシステム)
③DRS(購入したドローンの機体情報を登録するシステム)
これにより、機体登録、飛行許可・承認申請、飛行計画の通報、技能証明や機体認証の申請、事故報告などが一元的に管理されるようになりました。
2025年3月24日より、ドローン情報基盤システム(DIPS)2.0における飛行許可・承認申請の手続きが大幅に簡略化されました。
この変更は、国土交通省が同年2月25日に公布した「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」の改正に基づいています。
ドローンを飛行させる際は、操縦者は「飛行許可・承認書」を携行して特定飛行を行う必要があります。
その許可や承認申請にあたって各種証明や写真の添付が必要だったり、審査に時間がかかることがドローン事業発展の障壁でした。
そこで、ドローンの事業化を促進し、申請手続きの効率化と審査の迅速化を図ることを目的として、DIPS2.0のシステムも改修されたのです。
改修後のDIPS2.0では、申請書式の変更や添付資料の削減など、手続きの簡素化が実現されています。
これにより、申請者はよりスムーズに手続きを進められるようになりました。
ここからは、2025年3月24日より施行されたDIPS2.0における飛行許可・承認申請の制度変更について、詳しく解説していきます。
今回の見直しでは、申請手続きがよりシンプルに、かつ効率的に行えるよう制度が整えられました。
変更のポイントは大きく3つに分けられます。
1.申請様式の見直し、入力の簡略化
2.添付書類の提出が原則不要に
3.操縦者情報の一括登録による業務効率化
それではここから、1つずつ詳しく解説します。
1.申請様式の見直し、入力の簡略化
これまでは、ドローンの飛行許可を得るためには、操縦者のスキルや飛行する機体の性能、安全対策などに関する情報を詳細に記載しなければなりませんでした。
今回の制度改正により、申請者は自身が使用する機体や関連資料を確認したうえで、各項目の適合性を「適」または「否」といった形式で入力する方式へと移行しました。
「否」と判断した場合には、必ずその理由と、代わりに講じる安全対策について明記することが求められます。
この変更により、申請書の構成が明瞭になり、作成時間の短縮や記入ミスの削減にもつながっています。
また、審査側もフォーマットが統一されたことで、確認作業が効率的になりました。
2.添付書類の提出が原則不要に
従来は、申請と同時に、機体の外観写真、性能表、取扱説明書の抜粋など、多くの添付資料が必要でした。
これらの資料を準備する作業には時間がかかるうえ、ファイル形式や容量の制限もあり、申請者にとって大きな負担となっていました。
制度の見直し後は、こうした資料のオンライン提出が原則不要となったのです。
しかし、あくまで「事前提出は不要」というだけであり、審査時に内容確認を求められる場合もあります。
そのため、全ての関連資料は常に正確に作成し、申請後も適切に保管しておく必要があります。
3.操縦者情報の一括登録による業務効率化
申請ごとに繰り返し入力しなければならなかった操縦者の情報も、今回の制度変更で効率化が進みました。
DIPS2.0のメニュー画面にある「操縦者情報の登録・変更」機能を活用することで、該当するすべての操縦者の適合性をまとめて登録・更新することが可能になっています。
この機能により、今後の飛行許可申請において、操縦者情報の再入力を繰り返す必要がなくなりました。
ただし、操縦者情報の更新が適切に行われていない場合は、申請が自動的に差し戻されるケースもあるため、必ず最新の状態に保っておくことが求められます。
これらの制度改正の目的は、ドローンの事業活用をさらに後押しするための環境整備です。
手続きの簡素化や審査の迅速化が実現したことにより、計画的な飛行スケジュールの構築や、案件ごとの柔軟な対応がしやすくなりました。
また、申請者が自身で飛行基準や安全性の確認を行う形式になったことで、より主体的な安全管理と運用責任の意識向上も期待されています。
ここでは、DIPS2.0における操縦者情報の更新の手順を詳しく解説します。
1.申請様式の見直し、入力の簡略化
2.添付書類の提出が原則不要に
3.操縦者情報の一括登録による業務効率化
4.操縦者の基準の適合性についての設問に選択式で回答する
5.さらに、設問を表示選択して回答する
6.登録する
また、国土交通省のホームページにも手順が掲載されているのでご確認ください。
参考:国土交通省『ドローン情報基盤システム 操作マニュアル<申請者>02.変更申請方法』
DIPS2.0にアクセスし、「ログイン・アカウント作成」ボタンからIDとパスワードを入力しログインします。
この時、アカウントを開設していない方は以下手順を行ってください。
ドローン情報基盤システム2.0のサイトを開きます。
次に、アカウントを開設している方は『アカウントを開設済の方』の案内に従ってログインIDとパスワードをご入力ください。
アカウントの開設がまだの方は、『まだアカウント作成がお済出ない方』の中にある『個人の方のアカウント開設』を開いてください。
そうすると『利用規約』と『無人航空機の飛行ルール』が記されたページに飛びます。
利用規約をスクロールして最後まで読み、無人航空機の飛行ルールを読んだ後「航空法における無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールについて」を開いて確認してください。※この手順を踏まないと上記画像③と④のチェックが押せませんのでご注意ください。
次に、アカウント開設に必要な各種情報を記入します。
ここでは、マイナーバーカード情報も連携できるようになっています。
記入する項目は、以下の通りです。
記入が完了したら「確認」をクリックします。
ログイン後、「飛行許可・承認申請メインメニュー」にアクセスします。
次に、「飛行許可・承認メインメニュー」の画面で、「操縦者情報の登録・変更」ボタンをクリックします。
次に、操縦者情報管理/操縦者情報一覧ページ内で、「編集」ボタンを押します。
その際、飛行申請を行う予定があるすべての操縦者において同じ作業を繰り返す必要があります。
次に、「操縦者情報編集」の画面で、「操縦者の基準・追加基準への適合性」について「適」か「否」かラジオボタンを選択して入力します。
次に、画面をスクロールし、項番Ⅳの設問のラジオボタンまで選択して入力します。
回転翼航空機・飛行機・滑空機・飛行船すべての項目において回答をします。
最後に、「登録」のボタンを押して登録します。
一度登録を完了したら、今後の申請手続きで操縦者の追加基準適合性の入力が必要なくなります。
DIPSの飛行許可・承認申請手続きが簡略化されたとはいえ、いくつか注意が必要です。
まず、操縦者情報の更新をしていない場合、申請が途中で止まる恐れがあります。
DIPS2.0の「操縦者情報の登録・変更」画面で、あらかじめ必要な情報を最新状態に保つことが重要です。
また、添付資料の提出が不要になった一方で、それらの資料は手元に整備しておく義務があります。
さらに、選択式の回答で「適合していない」と判断した項目には、代替措置を明確に記載する必要があります。
形式に従って入力しても、内容が不十分な場合は差し戻される可能性もあることを知っておきましょう。
簡略化された申請だからといって、確認作業を省略するのはリスクを伴うので注意しましょう。
新制度の概要を理解し、正確な情報と責任ある対応を心がけることが重要です。
本記事では、ドローン情報基盤システム(DIPS)2.0や操縦者情報の更新手順、変更の際の注意点などを詳しく解説しました。
2025年3月24日から始まったDIPS2.0の飛行許可・承認申請の簡略化は、ドローン業界にとって大きな転換点となりました。
申請書の形式変更や添付資料の削減により、手続きのハードルは下がりました。
一方で、操縦者情報の事前登録や資料の適切な管理など、操縦者の新たな責任も生じているので注意も必要です。
申請者の負担を軽減しつつ、制度の透明性と信頼性を高めた今回の改正は、ドローンのさらなる普及を後押しする内容といえるでしょう。
責任ある運用と正しい理解のもと、より自由で効率的なドローン活用が広がることが期待されます。