法律や規制が厳しいドローン飛行ですが、実は、海で飛ばすなら比較的自由に飛ばせます。
ただし飛ばす場所や飛ばし方によっては許可や承諾が必要になるため、しっかり法律を遵守した上で飛ばすことが大事です。
本記事では初心者に向けて「海でドローンを飛ばしてもいいのか?」を法律の観点から解説。実際に海で飛ばすときの注意点も書いていますのでぜひ参考にしてみてください。
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海でドローンを飛ばすには、多くのケースで許可や承諾が必要になります。
これは海だけに限りませんが、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」で禁止されている「空域」や「飛行方法」でドローンを飛ばすには許可が必要です。
それらを守った上で、海では基本的に自由にドローン飛行が可能ですが、「航路」や「港」や「海岸」で飛ばす際には管理者からの承諾が必要になります。
ここからは法律の観点から具体的にどんな手続きがいるのか解説していきます。
海でドローンを飛ばす際にも「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」の遵守は絶対です。
屋外で重量100g以上の無人航空機を飛ばす場合には「機体登録」や「リモートIDの設定」が必要。いざ飛行させるときには「飛行計画の通報」も要ります。(※特定飛行しない場合も推奨)
飛行が禁止されている空域 | 禁止されている飛行方法 |
地水表面から上空150m以上の空域空港等の周辺の空域人口集中地区(DID地区)緊急用務空域重要施設の周辺地域の上空 | 夜間飛行目視外飛行人や物件から30m離れていない飛行イベント会場上空での飛行危険物の輸送物件投下 |
機体登録やリモートIDの登録などを済ませ、上記の禁止されている空域や飛行方法に該当していなければ許可なくドローンを飛ばせます。
ただし、事実上これらに該当しない場所や飛ばし方でのドローン飛行は難しく、ほとんどのケースで国土交通省へ「飛行許可・承認申請」が必要です。
場所によって異なりますが、海で飛ばす際によく関係してくるのは以下の項目。
海上は「人口集中地区」でなくても、離発着地点が該当しているケースが多々あるので注意。この場合にも当然、国土交通省へ「飛行許可・承認申請」が必要です。
また忘れがちなのは、飛行前に「緊急用務空域」の確認を怠ること。これは急に設定される可能性があるので、飛行前に毎回必ず確認しましょう。
海でのドローン飛行は基本的に海上保安庁の許可なく飛ばせます。
ただし、海上に設定されている「航路」や離発着地点となる「海岸」や「港」で飛ばす場合には管理者への承諾が必要です。
航路では「港則法」と「海上交通安全法」の2つの法律が適用されます。許可又は届出は特段必要ないとされていますが、承諾が必要になるため、管理している海上保安庁へ連絡し確認しましょう。
どこが航路で、航路を管轄している海上保安庁は「海洋状況表示システム」で検索できます。
※「海事」→「航路」を開く
海上に船や工作物を設置するなど、船舶交通に影響を及ぼすおそれがある場合は、港則法又は海上交通安全法の許可又は届出を行う必要があります。
すべての港には管理者がいます。
港でのドローン飛行(離発着を含む)は「港則法」が関わってきますが、許可又は届出は特段必要ないとされています。しかし管理者の承諾は必要で、ドローン飛行する際には事前にその港の管理者へ連絡し承諾を得ましょう。
港の管理者は「海洋状況表示システム」で検索可能です。
※「海事」→「港則法適用港」や「港湾」や「漁港」を開く
原則、海岸は自由使用のためドローン飛行は可能です。
しかし、そこが「海岸保全空域」や「海水浴場」になっている場合には、管理者への承諾が必要になります。
飛行する際には、その海岸をネットで検索し、都道府県や市町村の電話番号を見つけて連絡。ドローン飛行が可能かどうか確認しましょう。
注意点としては、普段は飛行OKな海岸でも、海水浴シーズンになるとドローンの飛行が禁止になることがあるため要注意です。
実際に海でドローンを飛行させる際の注意点を紹介。
障害物がなく、初心者でもドローンを飛ばしやすい海においても、飛行禁止の場所や墜落の危険があるので油断は禁物です。
港や海岸など飛行禁止の場所はありますが、海でドローンを飛ばすときに忘れがちなのが空港や基地、原子力発電所(原発)です。
空港周辺は「制限表面」が設定され飛行高度が制限されています。空港から離れていても制限表面に該当していることがあるため、ドローンを飛行する前にはネット上の「高さ回答システム」や各空港事務所へ飛行可能な高度を確認しましょう。
自衛隊や米軍の基地、それから原子力発電所などは「小型無人機等飛行禁止法」によって、上空および周辺おおむね300mはドローン飛行が禁止されています。こちらもうっかり飛ばしてしまうとニュースになりますので最大限の注意が必要になります。
海でドローンを飛ばす際には「目視外飛行」する人も多いと思いますが、しっかり補助者に常時確認してもらったうえで飛ばすようにしましょう。
海は障害物も少ないため、気が緩んでつい一人で目視外飛行してしまいがち。前進しているぶんには問題ありませんが、後進や横移動しているときに周囲を航行する船に激突する危険があります。
必ず周囲の船の高さよりも高い高度で飛ばすこと。また、船に近づいたり、船の前を飛ばさないことも大事です。
海上での低空飛行は水没の原因になります。
晴れた日など、水面の反射などによってセンサーが誤作動しやすく、機体がユラユラしたり、高度の維持ができず水没するケースがあります。
必要以上に低空で飛ばすことを避け、常に余裕を持った高度でドローンを飛ばすことを強くおすすめします。
海でのドローン飛行は、風の吹き具合を確認し遠くへ飛ばし過ぎないことが大事です。
海上には緊急着陸できる場所がありません。つまりバッテリーの残量がなくなったときに着陸できないため、そのまま海に水没してしまうリスクがあります。
海ではつい遠くへ飛ばしがち。もし数キロ先へ飛ばして帰還時に向かい風だとバッテリー切れになるため、いつも以上に余裕を持って帰還させましょう。バッテリー残量低下の警告音を40%や50%などに設定しておくと安心です。
風が吹いている場合には、必ず風上から風下へ飛ばすよう心掛けましょう。もし帰還時に風下から風上へ飛ばすことになったら、向かい風でなかなか進まず、そのままバッテリー残量が0%になり戻ってきません。
海でドローンを回収するのは事実上不可能です。
水深が浅い場所であれば可能ですが、それ以外ではほぼ無理。
一部のドローンには取り付け可能な浮き輪などもありますが、現実的ではないため、いかに海上で墜落させないようにするかが大事です。
海での事故はバッテリー切れによる墜落が大半ですので、余裕を持ってドローンを帰還させ、風の強い日は飛ばさないことでリスク回避ができます。
ドローンを海で使用する際には、様々な許可や承諾が必要になりますが、それだけ危険が伴う飛行方法ということになります。
1.目視外飛行による事故
2.悪天候下での事故
3.万が一事故が起きた場合の対処法
そこでここでは、ドローンを海で使用する際に起こる事故やその対処法を詳しく解説します。
ドローンをモニターの映像を見ながら操作していると、つい映像に集中しすぎて操縦が疎かになることがあります。
このような状況では、以下のようなトラブルが発生する可能性があるため、注意が必要です。
これらの事故は、操縦者が基礎的な知識を身につけ、冷静に対応することで未然に防ぐことが可能です。
常に基本を意識し、操縦スキルの向上を心がけましょう。
地上で風が穏やかに感じられても、上空では想像以上に強風が吹いていることがあります。
例えば、地上では風速5m/s未満の環境にいるとしても、空中では5m/s以上になるケースは珍しくありません。
風が強くなるとジンバルのバランスが乱れ、映像の安定性が失われるほか、突風で機体が流されホバリングが困難になることもあります。
最悪の場合、建物や障害物に接触するリスクがあります。
さらに、海の近くでの飛行にも注意が必要です。海面から3m以内での飛行では、風による波の影響でセンサーが誤作動し、墜落を招く恐れがあります。
海上飛行時は十分な距離を保ち、安全な操縦を心がけましょう。
どれだけ注意していても、ドローンは機械である以上、完全に事故を避けることは難しい側面があります。トラブルが発生した際は、迅速かつ適切な対応が求められます。
そこで事故が起きた際の対処法として、以下の手順を確認しておきましょう。
事故の種類 | 対処法 |
負傷者がいる場合 | 飛行を即座に中止し、けが人の救護を優先してください。状況に応じて119番通報や応急処置を行いましょう。 |
火災が発生した場合 | 速やかに消防へ通報し、現場の安全確保を行います。 |
行政機関への報告 | 事故が発生した日時・場所・状況などを、DIPS2.0を通じて国土交通省へ報告してください。また、警察への通報も行うと安心です。 |
機体の回収ができない場合 | 万が一、墜落した機体が見つからず回収できないまま放置してしまうと、「不法投棄」として扱われる可能性があります。必ず警察に連絡し、指示を仰ぎましょう。 |
近年では各自治体で不法投棄の監視強化が進められています。
事故時の通報は、法令遵守の観点からも非常に重要です。
また、虚偽の報告を行った場合は、罰則(罰金・逮捕)を受ける可能性もあるため、誠実な対応を徹底しましょう。
ここでは、海でのドローン飛行でよくある質問と回答を記載します。
ドローンが海に落ちてしまった場合、以下5つの対処法を実践してください。
ドローンが海や水辺に落下した際は、迅速な引き上げ、通電禁止、長期乾燥の3つが鉄則です。
水没直後に焦って電源を入れるのではなく、冷静に処置を施すことで復旧の可能性が高まります。
また、万が一に備えた保証内容の確認や加入も、ドローンユーザーにとっては重要です。
海でドローンを使用する際には、場所や飛行方法によって法律上の手続きが必要になることがあります。
特に、操縦者の視界外での運用(目視外飛行)や夜間のフライト、また人や船舶から30メートル以内の飛行は、「特定飛行」に該当し、航空法に基づく許可や承認が求められます。
さらに、飛行エリアによっては、海上保安庁や港湾管理者への事前連絡や許可取得が必要となるケースもあるため、飛行前に必ず確認しておくことが重要です。
海でのドローン飛行について解説しました。
航空法などを守った上であれば、原則、海では自由に飛ばせます。しかし船が航行する「航路」や離発着地点となる「港」や「海岸」の場合には、管理者へ事前に連絡し、承諾を得たうえで飛ばすようにしましょう。
また、海上でも空港や基地、原発など重要施設の周辺は飛行禁止です。誤って侵入しないように注意してください。