2025年5月、ついにDJIの最新軽量ドローン「DJI Mini 4 Pro」が、国土交通省より第二種型式認証を取得しました。
これにより、特定の飛行環境において許可申請が不要となるケースが生まれ、より柔軟で効率的な運用が可能となります。
航空法の一部適用外となる249g未満の機体ながら、4K映像や自律飛行などの先進機能を備えたこのモデルは、個人ユーザーはもちろん、事業者や自治体にとっても注目すべき存在です。
本記事では、型式認証制度の概要と「DJI Mini 4 Pro」が取得した型式認証で今後どのような運用方針になるかなどを徹底解説します。

DJI Mini 4 Proは、249g未満の軽量ボディながら、最新の映像技術と自律飛行機能を搭載した超高性能ドローンです。
| 製品名 | DJI Mini 4 Pro |
| 重量 | 約249g(バッテリー装着時) |
| サイズ(展開時) | 148×94×64mm(折りたたみ時) 298×373×101mm(展開時、プロペラ含む) |
| 最大飛行時間 | 最大34分(インテリジェントフライトバッテリー) |
| 最大飛行速度 | 16 m/s(スポーツモード) |
| 最大伝送距離 | 最大20km(日本国内仕様:12km) |
| カメラセンサー | 1/1.3インチ CMOS(有効画素数:48MP) |
| 動画解像度 | 最大4K/60fps(HDR) |
| 静止画解像度 | 最大8064×6048ピクセル |
| 障害物検知 | 全方向(前方/後方/左右/上下) |
| 自律機能 | ActiveTrack 360°、APAS 5.0、高精度RTH |
| 映像伝送方式 | O4(最大20km) |
| 内蔵ストレージ | 2GB |
| 対応アプリ | DJI Fly |
| 防塵・防水性能 | なし(屋外飛行時は要注意) |
従来モデルの優れた携帯性をそのままに、前後左右上下すべての方向への障害物検知や「ActiveTrack 360°」、高精度のRTH(帰還)機能など、上位機種に匹敵する先進性能を備えています。
プロ仕様の撮影に対応する48MPカメラと4K/60fps HDR動画、最大34分の飛行時間、長距離伝送システム「O4」なども搭載しており、個人ユーザーから映像制作者、自治体や事業者まで幅広い層に適した万能モデルです。
機体認証とは、特定飛行(例:空港周辺や人口密集地での飛行)を行うドローンについて、その構造や強度、性能などを国が審査し、安全性を確認する制度です。
使用者が所有するドローン1機ごとに検査を受け、基準に適合していることを証明する必要があります。
しかし、個別に毎回検査を行うとなると、時間もコストもかかり、実用面で大きな負担となります。そこで登場するのが「型式認証」です。
型式認証は、製造業者やメーカーが設計・製造した量産機を対象に、その機種全体としての安全性と均一性を国が評価・認証する制度です。
自動車や航空機などでも採用されている方式で、個別の製品検査を簡略化するための合理的な仕組みです。
この認証を取得したドローンは、機体認証を受ける際に、すでに確認済みの部分について検査を省略することが可能になります。
結果として、ユーザーはよりスムーズに飛行許可を得られるようになります。
国が定める安全基準に準拠していることを確認する「型式認証制度」は、ドローン運用における重要な認証のひとつです。
特に「第二種型式認証」を取得した機体は、飛行に関する手続きが簡素化されるなど、操縦者にとって多くの恩恵があります。
1.許可申請が不要になる場合がある
2.特定飛行の幅が広がる
3.操縦者の業務負担が軽減
4.社会的信用を獲得できる
5.ドローン導入を後押しする制度
ここでは、その主なメリットを詳しく解説します。
「第二種型式認証」に対応する機体を、「二等無人航空機操縦士技能証明」と併用することで、特定の飛行に関して許可申請が不要となるケースがあります。
たとえば、人口が集中しているエリアの上空や、人や建物から30m以内の距離での飛行が、従来は申請を要していたのに対し、認証済み機体ではその必要がなくなることがあります。
このように事前準備の手間が大幅に軽減されるため、すぐにドローンが使えるメリットがあります。
「第二種型式認証」を受けたドローンは、さらに条件を満たすことで、夜間飛行や目視外での運用など、従来制限のあった飛行も許可申請不要で実施できるようになります。
これにより、点検業務や空撮、警備など、より多様な業務シーンでの活用が現実的になり、事業展開の可能性が広がります。
飛行許可に関する手続きが不要になることで、操縦者や企業にかかる事務的な負担が減少します。
書類の作成や提出、審査結果を待つ時間が不要になり、突発的な運用ニーズにも柔軟に対応できます。
特に、手続きに不慣れな方にとっても安心して運用できるのは大きなメリットとなります。
型式認証を取得した機体を使用することは、安全性を重視しているという姿勢の表れにもなります。
これは、公共施設や人の多い場所での運用時に、周囲からの信頼を得る要素になります。
行政や企業が関わる業務での活用においても、高い評価につながる要素といえるでしょう。
型式認証制度は、安全な運用を促進するだけでなく、新たな分野へのドローン展開を支える制度です。
手続き不要の運用範囲が拡大することで、物流、点検、災害対応といった社会的ニーズの高い領域への導入が進み、業界全体の発展が期待されます。
ここでは、2025年5月23日時点で型式認証を取得している機体一覧を紹介します。
| 型式認証書番号 | 第1号 |
|---|---|
| 型式名 | ACSL 式 PF2-CAT3 型 |
| 型式認証保有者 | 株式会社 ACSL |
| 機体の種類 | 回転翼航空機(マルチローター) |
| 初回認証日 | 2023/03/13 |
| 型式認証基準 | 型式認証データシート第Ⅰ-1号 参照 |
| 飛行禁止空域の飛行 | – |
| 重量区分 | 4kg以上25kg未満 |
| 有効期間満了日 | 2026/03/12 |
| サーキュラーNo.8-001 | – |
| その他の基準 | – |
| 飛行の方法 | – |
| 項目 | 第1号 ソニーグループ式 ARS-S1 型 |
第2号 センチュリー式 D-HOPE Ⅰ-J01 型 |
第3号 DroneWorkSystem 式 EGL49JR1 型 |
第4号 イームズ式 E6150TC 型 |
第5号 エアロセンス式 AS-VT01K 型 |
第6号 DJI 式 DJI Mini 4 Pro 型 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 型式認証保有者 | ソニーグループ株式会社 | 株式会社センチュリー | 株式会社ドローンWORKシステム | イームズロボティクス株式会社 | エアロセンス株式会社 | DJI JAPAN株式会社 |
| 機体の種類 | 回転翼航空機(マルチローター) | 回転翼航空機(マルチローター) | 回転翼航空機(マルチローター) | 回転翼航空機(マルチローター) | 回転翼航空機(その他) | 回転翼航空機(マルチローター) |
| 初回認証日 | 2023/12/22 | 2024/03/29 | 2024/03/29 | 2024/04/05 | 2024/06/05 | 2025/05/23 |
| 型式認証基準 | 令和4年12月2日付 国空機第645号まで、航空局見解書(FT237 G-1・F-1、令和5年12月14日) | 令和4年12月2日付 国空機第645号まで、連絡書 CAB-FT2334-001(2024/01/16)及び CAB-FT2334-003(2024/02/16) | 令和4年12月2日付 国空機第645号まで、連絡書 CAB-FT2331-001(2024/01/12)及び CAB-FT2331-003(2024/02/20) | 令和6年3月27日付 国空機第724号まで | 令和4年12月2日付 国空機第645号まで、連絡書 CAB-FT2332-001(2024/01/12)及び CAB-FT2332-003(2024/02/16) | 令和6年3月27日付 国空機第724号及び 令和7年3月24日付 国空機第1020号まで |
| 飛行禁止空域の飛行 | C | – | – | なし | – | なし |
| 重量区分 | 4kg以上25kg未満 | 4kg以上25kg未満 | 25kg以上 | 4kg以上25kg未満 | 4kg以上25kg未満 | 4kg未満 |
| 有効期間満了日 | 2026/12/21 | 2027/03/28 | 2027/03/28 | 2027/04/04 | 2027/06/04 | 2028/05/22 |
| サーキュラーNo.8-001 | c | b | b, c | a, b, c | b | a, b, c, d |
| その他の基準 | – | – | – | – | – | – |
| 飛行の方法 | – | – | – | – | – | – |
第一種型式認証については、株式会社ACSLが取得している「PF2-CAT3型」の1件のみが確認されました。
この機体はマルチローター式の回転翼航空機で、重量区分は4kg以上25kg未満、有効期間は2026年3月までとされています。
飛行禁止空域に関する特記事項や補足基準の記載はなく、比較的シンプルな運用が可能と考えられます。
一方、第二種型式認証では、ソニーグループやDJI JAPAN、ドローンWORKシステムなど、国内外の計6機種が登録されています。
認証日が2023年から2025年前半に集中していることから、型式認証制度の実用化が近年加速していることが推察されます。
本記事では、型式認証を取得した『DJI Mini 4 Pro』の概要や特徴、型式認証を取得することで起こるメリットを徹底解説しました。
また、2025年現時点で型式認証を取得している機体一覧も紹介しています。
DJI Mini 4 Proが第二種型式認証を取得したことで、軽量ドローンの運用がより柔軟かつ効率的になります。
都市部や建物付近での飛行も、一定条件を満たせば申請不要で実施できるため、映像制作や点検、災害対応などの現場で即時運用が可能になります。
また、認証機を導入することで信頼性や安全性を示す根拠となり、行政や企業での活用も促進されます。
今後、型式認証取得済みドローンの普及が進めば、個人からプロ用途まで、運用のハードルが大きく下がり、より身近なツールとして定着していくでしょう。