国土交通省が提供する「ドローン情報基盤システム2.0」。通称「DIPS2.0」や「DIPS APP」などと呼ばれるアプリについて解説します。
従来のDIPSとの違いや、使い方などを紹介しているので、何に使うものなのか分からない方はぜひ参考にしてみてください。
「ドローン情報基盤システム2.0(以下DIPS2.0)」とは何か、以下の3点を解説します。
DIPS2.0は2022年の航空法改正に合わせてシステム刷新が行われており、さまざまな手続きをアプリまたはWebサイトから行えるようになっています。ドローンを日常的に使用する方にはほぼ必須のシステムなので、ぜひ概要を押さえておきましょう。
DIPS2.0はドローンの機体登録や飛行許可といった各種申請・手続きが行えるポータルアプリです。Webサイトまたはアプリから申請可能で、パソコン・スマホどちらからも使用できます。
また、利用するためには事前に本人確認などを済ませてアカウント開設が必要です。背景として、2022年12月から施行される航空法の改正により、ドローンの機体登録の義務化など、規制が厳しくなったことが挙げられます。
100g以上の無人航空機がドローンとして定義されるようになり、該当する機体は機体登録などが必須です。
事故発生時の報告義務化や各種飛行許可申請など、ドローンを飛行させる際にはさまざまな手続きが付いて回るので、DIPS2.0の利用はドローンユーザーにはほぼ必須と言えるでしょう。
2022年11月にリリースされたDIPS2.0ですが、それ以前にも「ドローン情報基盤システム」はあり、その中の「飛行許可承認申請機能」がDIPSとして使われていました。
他にも「飛行情報共有機能(FISS)」や「ドローン登録システム(DRS)」の、合計3つのシステムが並んでいました。
上記の機能をひとつにまとめたものがDIPS2.0です。これまでは各システムごとにアカウントが必要でしたが、DIPS2.0では一つのアカウントで全ての機能を賄えるようになっています。
DIPS2.0のアカウント作成は、DIPS2.0公式サイトから行えます。
手順は以下の通りです。
以上でアカウントが作成できます。マイナンバーカードと紐づけたい方は、「マイナポータルアプリ」から登録することも可能です。
ドローンポータルアプリ「DIPS2.0」でできることは、以下の7点です。
ドローンを扱う上で必要となる手続きのほとんどを、DIPS2.0で行うことが可能です。逆にいえば、ドローンを所持している方はDIPS2.0の使用は避けては通れないと言えます。
ドローンをこれから購入するという方は、DIPS2.0の使い方やできることも合わせて押さえておくようにしましょう。
DIPS2.0では、機体登録やリモートIDの届出が可能です。2022年6月より、100g以上のドローンは国土交通省に機体登録が義務化されており、個人情報との紐づけが必要になっています。
また、登録完了後は機体への登録記号の表示と、リモートID機能の搭載が必要です。リモートIDとは、車におけるナンバープレートのようなもので、機体ごとの個別の識別情報を指します。
リモートID機能は内蔵型のドローンと、外付け(後付け)の2パターンがあるので、所持している機体に合わせて対応しましょう。
機体登録のステップは以下の通りです。
以上で登録は完了です。基本的には、まずは最初にこちらの機体登録から行ってください。
リモートIDの書き込みには、機器を接続する必要があるので接続方法は各機種のマニュアルを参照してください。
DIPS2.0では機体認証の取得申請が可能です。機体認証には第一種と第二種があり、それぞれ以下のようなことができるようになります。
レベル4の飛行を行う際は機体認証が必須となりますが、レベル3以下の場合は別途飛行許可が下りれば機体認証は必須ではありません。しかし、許可申請の手続きが省略できるため、該当する方法でドローンを飛ばすという方は取得しておくと良いでしょう。
取得のステップとしては以下の通りです。
機体認証を行うには、先にドローンの機体登録が必要です。
DIPS2.0では、技能証明の取得申し込み手続きができます。技能証明はいわゆるドローンの国家資格のことで、取得することで特定の飛行ができたり、一部の許可申請が省略できたりします。
資格 | 可能となる飛行カテゴリー | カテゴリーの概要 |
一等無人航空機操縦士 | カテゴリーⅢ | 有人地帯での目視外飛行 |
二等無人航空機操縦士 | カテゴリーⅡ | 無人地帯での目視外飛行 |
一等無人航空機操縦士を取得するとカテゴリーⅢのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が可能です。
業務でドローンを活用する方は取得を目指しましょう。ステップは以下の通りです。
資格試験自体は別途専用サイトで申し込む必要があるので注意してください。
以下のような場所・状況下での特定飛行を行う場合の許可申請も、DIPS2.0で行えます。
上記のような場合は、飛行許可・承認手続きが必要なので必ず許可を取ってください。ステップは以下の通りです。
なお、上記以外でも条例で飛行が禁じられている場所や、県営公園など施設側の許可が必要な場合があります。
その場合はDIPS2.0ではなく、別途管轄の官署に問合せのうえ許可申請を行いましょう。
DIPS2.0では、飛行計画の通報・確認も合わせて可能です。ドローンを飛ばす際には、飛行許可とは別に飛行計画の通報(提出)が必要となります。
ステップは以下の通りです。
こちらも飛行許可と合わせて必須なので、忘れないように行ってください。
ドローンによる事故や重大インシデント発生時には、負傷者救護と報告が義務付けられています。DIPS2.0から報告手続きができるので、以下のような事故や重大インシデントを起こした場合は必ず行ってください。
事故や重大インシデントに該当する内容は以下の通りです。
事故 | ・無人航空機による人の死傷(重傷以上の場合)・第三者の所有する物件の損壊・航空機との衝突または接触 |
重大インシデント | ・無人航空機による人の負傷(軽傷の場合)・無人航空機の制御が不能となった事態・無人航空機が飛行中に発火した事態・航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた時 |
事故報告は以下のステップで行います。
近年ドローンの事故は増加傾向にあり、民事・刑事における責任の対象ともなるため、十分に注意しましょう。
その他DIPS2.0では、ドローンを業務に使用する事業者向けに、以下のような申請も可能です。
個人ではあまり使用する機会はありませんが、業務で活用している方は覚えておきましょう。
出典:(C) StockSnapによるPixabayからの画像
本記事では、「ドローン情報基盤システム2.0(通称 DIPS2.0またはDIPS APP)」について解説しました。
DIPS2.0は、従来の3つの許可申請機能を1つに統合した便利なWebサイト・アプリです。ドローンの飛行時にはさまざまな手続きが必要となるため、1つで対応できるDIPS2.0は必須といえます。
これからドローンの購入を検討している方は、機体登録から飛行許可まで一手に担えるDIPS2.0の利用方法を押さえておきましょう。