ドローンビジネスの市場は急速に成長しています。ドローン自体の性能も向上しているので、多岐にわたってその活用に期待が寄せられています。アメリカ、中国は特に進んでおります。ドローンを使った仕事を紹介するとともに、海外の先進事例についても紹介します。
ドローンがビジネスで活躍する理由について考えてみたいと思います。まずは、ドローンの飛行特性です。小さい、操作性、ホバリングなどの技術があげられます。飛行機やヘリコプターと違い、どこでも簡単に飛ばすことができます。操作性に優れ、障害物をよけて、人が入れないところも簡単に入っていけます。
ホバリングして上空で安定して静止することができます。カメラを搭載することで、上空からの撮影が容易になりました。センサーによる上空からのデータ解析も可能です。また、飛行の自動化により、自動運行機能でドローンを直接操作することなく作業することが可能です。
そのため、作業の効率化やコストダウンを図ることができます。特に地方においての過疎化は深刻で労働力の確保が困難ですので、ドローン活用が有効です。また、従来の作業にとってメリットがあるだけでなく、新規サービスの創出という点でもドローンビジネスのイノベーションに期待できます。
映像分野においてのドローン活用は比較的スピードが早かったです。CM・映画・テレビなどでの空撮は今では当たり前になりました。低コストで予算の少ない撮影案件を可能にし、温泉街や地方の観光プロモーションでの利用などが増えてきております。
スポーツにおいても、ドローン活用が広がっていて、被写体との近い距離での撮影は、より迫力のある映像が楽しめます。映像を活用し、サッカーなどではポジション解析などにも役立てています。
土木工事は、生活の基盤となる構造物、インフラの建設する工事です。橋、河川、ダム、道路、港湾などがあげられます。土木工事における人材不足は深刻で、ドローンによる効率化、コスト削減が図られています。
地形や構造物を簡単にスキャニングできるドローンがあれば、工事の管理、進捗が容易になり、また完成後の点検にも利用できます。インフラメンテナンスは今後の大きな問題とされています。いまあるインフラの多くは高度成長期に作られているため、50年近く経過しているわけです。インフラの老朽化は喫緊の課題であり、ドローンの活用が期待されています。
農業分野では、アメリカ、中国では、すでにドローン利用が当たり前になっています。もともと大規模農場での飛行機による農薬散布が普通で、そして農場に飛行場があるわけです。
日本での大規模農場化は進んでいませんが、農業人口の減少は顕著で、人材不足をドローンで効率化を図ることがねらいです。農薬散布、肥料散布も現在は液剤だけでなく粒剤も対応可能となったため、その利用の幅が増えました。センシングと併用することで、可変施肥が可能となりました。
作物の育成に応じて、肥料の量を変えて散布することで、ロスなく、無駄のない作業ができます。それと、農業従事者の高齢化も問題で、農業のノウハウをそっくり失いかねません。ドローンによるセンシングや、気象情報などのデータ解析により、農家の勘をデータ化することで、長年培われた農業のノウハウを「見える化」することに利用されています。
物流業界においてもドライバー人材の確保が難しくなっています。特に地方おいてはそれが顕著で、行政と一緒に全国各地で実証実験が行われています。日本には148の離島がるため、離島への配送の合理化が困難です。物流分野において期待のかかるドローンですが課題も多いです。
長時間運航、大きな積載量を可能とするためのドローンの大型化です。自動化するためのIoT環境の整備も必要です。この分野では法改正も進められていて、国をあげて取り組んでいるところです。
日本は世界でも稀にみる地震大国です。そして、近年の異常気象による台風の大型化による水害、風害など、その発生率も大きくなってきました。災害時の初動対応、被害状況の把握と観察、救難活動にも活躍しています。火山の噴火の状況などは、火口付近は危険で近づけませんが、ドローンであれば接近することが可能です。救助の際にも瓦礫で入れないところも、小型のドローンがあれば障害物をよけながら、中の様子を把握できまし、赤外線によるサーマルカメラ搭載のドローンは夜間や山林での捜索が可能となります。
「ゴールドラッシュで儲かったのは、働くための衣服を販売したリーバイスの会社だ」という有名な言葉がありますが、ビジネスの周辺分野にも成長が見込まれます。ドローンビジネスの周辺分野にも触れてみたいと思います。
ドローン操縦の必要な技術や知識を教える資格発行スクールです。従来の産業は、各メーカーや国が等が主となって運営されていました。しかし、ドローンについての法整備は進んでおらず、民間資格はそれぞれの分野で生まれ、各業界の行政機関が認定するというかたちで進められていました。近年では法制化が進んでいます。
2017年に技能講習ということで、国土交通省が認定制度となり、2022年12月から免許制度が誕生し、登録講習機関というカタチで統一されました。当然、登録講習機関は要件も難しくなっています。ただし、技能講習自体が無効になったわけではありませんので、今後もドローンスクールの活況も続くと予想されます。
ドローン免許の一番の魅力は、許可申請が不要となることです。ドローンを特定飛行させる場合は、国土交通省への許可申請が必要です。しかし、ドローン免許があれば、この許可申請が不要になるため、より多くドローンを使用する会社であれば操縦士の必要性は高くなります。
現在、ドローン操縦士・講師の短期派遣ビジネスも見られます。ドローン関連事業会社にとっては、免許を持っている方を採用したいニーズは大きくなることでしょう。
ビジネスとしてのドローンだけでなく、趣味としてのドローンも人気です。ドローンレースやゴーグルを使ったドローンは迫力があって、だれでも楽しめます。屋内でのドローン飛行は航空法の規制はありませんので、自由に遊ぶことができます。
DJI Arenaは東京にもあり、筆者も一度体験したことがあります。
ドローン先進国といえば中国です。現在、DJIを筆頭に中国のメーカーがドローンの市場のほとんどを占めています。日本の国産のドローンといっても、中国で作られた部品を国内で組み立てているケースが多いです。国産メーカーが中国メーカーのドローンをそのままOEMで販売しているケースもあります。
ドローンのメインのパーツがフライトコントローラーといいますが、これもほぼ中国で生産されています。すべてが中国の本社で管理されているため、国内での開発に期待されています。
ここで紹介したドローンビジネスは、海外ではすでに取り組まれています。データ分析事業、構造物調査、空撮素材販売サービス、農業支援サービス、林業支援サービス、測量ソリューション、自動在庫管理サービスなどの分野でビジネスとして展開されています。
スウェーデンの企業で開発された「ONE」。
1人乗りのドローンで、体重制限95kgです。時速100㎞まで出る上に、体重85kgの場合20分間飛行可能です。
完全自動ホームセキュリティドローン「Sunflower」。
完全自立型で、1.6ヘクタールの敷地内で、何らかの異常を感知したら30秒以内に調査に向かうという。範囲を設定しておくと、自動で飛行経路決めて、障害物も避けながら、巡行する。巡行が終わればベースステーションに戻って充電する。このベースステーションの名前が「HIVE」という蜂の巣を意味する。
ドローンを使った仕事を紹介しました。日本はまだまだ遅れているということがお分かりいただけたかと思います。そのため、ドローンに関する法整備も日に日に変わっていってしまいます。
ドローンビジネスはまだまだこの先も成長していくと予想されますが、ドローンビジネスの法制度についてのアップデートを怠らないよう、注意しなくてはなりません。