ドローンを利用した送電網点検とは?メリットや必要性・将来性を解説

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電気をスムーズに発電所から使用者の元に運ぶために、送電網は欠かせない設備です。

現在、送電網の定期点検にドローンを活用するケースが増えています。

なぜ、送電網の点検にドローンを活用しているのか、メリットや必要性、ドローン点検の将来性を解説します。

送電網点検とはどのような仕事か?

出典:StockSnapによるPixabayからの画像

送電網とは、発電所で作った電気を消費地まで運ぶ設備です。

発電所で作られた電気は送電網を通過中に変圧され、適度な電圧になって使用者の元に届けられます。

送電網は定期的な点検が必要です。

ここでは、送電網の点検とはどのような仕事か、内容や現在抱えている問題を解説します。

鉄塔に上って送電線の点検をするケースもある

出典:Andrew MartinによるPixabayからの画像

送電網の点検方法は、以下のような3つの方法があります。

  • 保全員が倍率スコープを用いて地上から点検する
  • 送電線に保全員が登って送電線にぶら下がって点検する
  • ヘリコプターを用いて動画撮影をおこない、その動画を点検する

どの方法も、人手が必要で負担も大きな作業です。
送電網というと街中の電線をイメージする方も多いですが、険しい山の中腹や尾根伝いに鉄塔がある場合も珍しくありません。

高い鉄塔に登るので危険が多い仕事

送電網の点検は、長い間人手に依存していました。

高い鉄塔の上に登る作業など危険も多く、保全員として働くには高度な技術が必要です。

また、ヘリコプターから撮影した映像を元に点検をする作業も、熟練した技術が必要で、点検中作業員は気が抜けません。

映像確認の作業は、10分の1のスピードに映像速度を落として点検をするため、1時間の点検に10時間もかかる計算です。

近年は作業員の高齢化と人材不足に悩んでいる

労働人口が多い時代ならば、作業員や保全員のなり手も多く、危険が伴う作業は若い世代が行ない、40代以降は映像での点検を中心に行なうといった仕事の振り分けもできました。

しかし、少子高齢化に伴い、保全員や作業員も人材不足が深刻です。

作業員の高齢化も進んでおり、50代以降になっても現場にでて危険が伴う作業に従事する事例も増えています。

また、設備の経年劣化も問題となっています。

現在、設置されている送電網は経年劣化により取り替えを必要としている箇所が少なくありません。

しかし、膨大な送電網のどこが特に劣化が激しく、優先的に取り替えが必要なのかを判断する保全員が不足している状態では、送電網の事故がいつ発生してもおかしくない状態です。

もし、送電網の事故が発生すれば、発生箇所によっては大規模な停電が起こり、生活に多大な影響が出るでしょう。

2023年の夏のように夜間まで気温が高く、エアコンが必須の時期だった場合ならば熱中症の患者が多数発生するなど、健康被害が及ぶ恐れもあります。

送電網点検をドローンで行なうメリットや必要性

このような送電網点検の問題点を解決する方法として、現在はドローンを用いた検査の導入が進められています。

ここでは、送電網の検査をドローンで行なうメリットや必要性を紹介します。

安全に効率よく点検ができる

ドローンは、重さ数百グラム〜1キログラム程度の小型無人操縦機の総称です。

ラジコンの飛行機やヘリコプターの一種ですが、飛行機やヘリコプターよりも安定した操縦が簡単に行なえ、搭載したカメラで撮影もできます。

撮影した映像は手元のスマホやタブレットでリアルタイムで確認ができるため、ドローンを飛ばして撮影しながら、手元のタブレットやスマホで送電網の状態の点検も可能です。

送電線に登る必要もなく、高性能スコープで送電線を点検するよりも正確に送電網の点検ができるでしょう。

また、持ち運びも簡単なので、住宅街の中から山中までいろいろな場所にある送電網の点検が可能です。

鉄塔を登るより安全に手早く点検ができるのは大きなメリットです。

小回りがきくので人の目に近い状態で点検ができる

ドローンに搭載したカメラで撮影しての点検は、ヘリコプターで送電網を撮影したうえでの点検と同じです。

しかし、ヘリコプターよりもドローンはずっと小回りがききます。

送電網のすぐそばまで接近し、細部まで点検が可能です。

また、ドローンならば人の手で持ち運べるため、例えば離島のようにヘリコプターがすぐに用意できないような場所での送電網点検もすぐにできます。

コストパフォーマンスが良い

点検に使える産業用のドローンは、1台10万円台から購入できます。

ヘリコプターのチャーター代金も1時間あたり10万円台と考えると、コストパフォーマンスはかなり良いといっていいでしょう。

また、ドローンは機体を安定させるシステムが組み込まれているため、ラジコンのヘリコプターや飛行機に比べると操縦を覚えるのも簡単です。

しかも、カメラは赤外線など複数の機能を持つものを搭載できるので、いろいろな環境下での撮影もできます。

新しい技術を導入するにはコストがネックになる場合が多いですが、ドローンの導入ならば高くても100万円~200万円台で可能です。

ドローンはレンタルも可能なので、まずはレンタルしてみてから購入といった方法もできます。

ドローンを用いた送電網点検の将来はどうなる?

出典:StockSnapによるPixabayからの画像

ドローンを用いた送電網点検は、現在運用が始まったばかりです。

少しずつ取り入れる会社が増えてきていますが、まだ人の手による点検が主流、というところも多いでしょう。

では、将来的にドローンを用いた送電網点検はどのように進化していくのでしょうか?

ここでは、ドローンを用いた送電網点検の今後について解説します。

ドローンが撮影した画像をAIが解析するようになる

ドローンと並行して、送電網点検に導入が進められているのがAIです。

現在の映像点検は肉眼が主流です。

膨大な映像を点検するのは時間もかかり、長時間点検をするほど見逃しなどのミスも増えてきます。

そこで、AIに事前に電線異常など事故を起こす原因となる映像を学習させ、画像から見つけ出す作業を任せるのです。

映像から電線の異常を自動認識できれば、人はその部分だけを集中して見直せばいいため、大幅にコストパフォーマンスが改善されます。

データの蓄積により経年劣化の予測が立てやすくなる

ドローンで定期的に送電網の映像を撮影しておき、その記録を蓄積して分析すれば、経年劣化がいつ、どこで起こるのか予測がつけやすくなります。

送電網は日本中に張り巡らされており、その全てを定期的に点検するのは大変です。

もし、ドローンが撮影した映像を蓄積して分析すれば、いつ、どこの送電網で劣化が起こる可能性が高いのか予測ができます。そうすれば、劣化が予想される部分のみ重点的に点検業務を行なうことで、店兼業務の効率化が図れるでしょう。

人手がいらなくなる

現在、日本は労働人口の減少が著しく少子高齢化社会となっています。

もし、これから若年人口が増えるとしても、彼らが一人前になって社会に出るまでは長い時間がかかるでしょう。

それまで、少ない人手でこれまでと同様の仕事ができるように、技術を駆使しなければなりません。

ドローンを使った送電網の点検が普及すれば、従来の人手による点検を大幅に自動化できるでしょう。

ドローンの操縦も現在は人が目視で行なっていますが、将来的には自動化される可能性が十分にあります。

そうすれば、1人の保全員がたくさんの現場を点検できるようになるでしょう。

ドローンで送電網点検をする場合に必要なものとは?

出典:AC works Co., Ltd.によるPixabayからの画像

最後に、ドローンで送電網を点検するために必要な技術を紹介します。

2023年10月現在、ドローンは誰でも操縦できるホビーの一種に分類されています。

しかし、バッテリーを含む100g以上の産業用ドローンは、航空法が適用されるため、どこでも好き勝手に飛行させることはできません。

ここでは、ドローンを操縦する際の決まりも含めて、送電網を点検する際に必要な知識や技術を紹介します。

ドローンだけでなく確かな技術を持った操縦者が必要

ドローンで送電網の点検を行なうためには、カメラを積んだドローンの他に、ドローンの操縦技術とドローンを操縦するために必要な知識を持った操縦者が必要です。

前述したように、バッテリーを含めて総重量100g以上のドローンは航空法の適用になります。

ドローンは、たとえ山の中だろうと好き勝手飛ばせません。

国土交通省が発表しているドローンを飛行させる際に守るルールを必ず確認しましょう。

ドローンは飛ばしても良い場所だけでなく、飛ばして良い時間、操縦者の状態なども細かく定められています。

航空法に違反した場合は、100万円以下の罰金などの罰則が科せられます。

「知らなかった」ではすまされません。

また、ドローンは小型で小回りがきく分、風に流されやすいなどの欠点もあります。

送電線に引っかかるなどすると、事故につながる可能性があるでしょう。

また、住宅密集地でドローンを操縦させる場合は、どこでも墜落した際に人やものに衝突する危険性があります。

したがって、ドローンを使って送電網の点検をする場合は、確かな技術を持った操縦者がドローンを操縦してください。

自社にドローンの操縦者がいない場合は、人財が育つまで操縦者を派遣してもらう方法もあります。

また、ドローンの操縦者に自社の保全員を教育してもらい、送電網の点検をドローンで行なえるようにする方法もおすすめです。

ドローンの民間資格・国家資格を持っている方の需要が高まる

2023年10月現在、ドローンを操縦するのに特別な資格は必要ありません。

性別・年齢・国籍にかかわらずドローンの操縦は可能です。

しかし、産業用のドローンを仕事で操縦するならば、民間資格、もしくは国家資格を持っている操縦者に依頼しましょう。

ドローンは長い間民間業者が独自に資格を定めていました。

ドローンの民間資格は、無人航空機操縦技能証明証・DJI CAMPスペシャリストなどがあります。

空撮に関する技術を証明する資格には、DRONEフライトオペレーターなどもあります。

民間資格の多くは、数日の講習と座学で取得が可能です。

できるだけ自社で人材を育成したい場合は、従業員に資格を取得してもらってもいいでしょう。

費用は10万〜30万円前後が相場です。

国家資格は2022年12月に新たに導入された資格です。

「無人航空機操縦者技能証明等」という名称で1級と2級があります。

国家資格を取得すると、ドローンを操縦するのに必要な申請書の提出が一部免除されるので、申請が必要な場所での操縦がスムーズにいくでしょう。

ただし、無人航空機操縦者技能証明等は、まだ設立されたばかりの資格です。

2023年10月現在、民間資格でも十分に操縦技術が証明できます。

取得が比較的スムーズにいく民間資格を取得し、その後で国家資格に挑戦してみてもいいでしょう。

電気関係の資格とドローンの資格を併せ持てば仕事が広がる

電気工事士や、電気主任技術者など電気関係の資格とドローンの民間資格を併せ持てば、仕事の幅が広がる可能性もあります。

電気工事はガス工事や水道工事と異なり、必ず工事をする人が資格を持っていなければなりません。

送電網を点検する仕事をしている方ならば、電気工事士などの資格を取得しているケースも多いでしょう。

電気関係の資格に加えてドローンの資格も持っていれば、修理と点検の両方が可能です。

送電網の点検以外の点検の仕事をしたい場合にも役立つでしょう。

近年は、ドローンの練習ができる屋内設備も増えたので、ぜひ資格の取得にチャレンジしてみましょう。

将来的に 送電網の点検はドローンの仕事になるかも

送電網点検は、私たちの快適な生活を守るためにも必要です。

しかし、現在は保全員の高齢化や人手不足に悩まされており、このままでは送電網の点検が難しくなるかもしれません。

送電網の点検をドローンで行なうようになれば、今よりもずっと少ない人手で効率的に点検ができるでしょう。

これから、電力会社への就職を目指す方は、送電網点検の仕事に就く可能性を考え、ドローンの操縦を身に付けておくのがおすすめです。

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この記事を書いた人
ライフハックや法律、ドローンなど多数な分野に興味があり、記事を書いています。