ドローンは空撮や測量、物流など幅広い分野で活用が進んでいますが、飛行ルールを守らない利用が増加し、社会問題にもなっています。
特に2015年の「首相官邸ドローン落下事件」を契機に、法規制は急速に整備され、現在では重量100g未満の小型機でも飛行場所や状況によって規制の対象となります。
それでも違反が後を絶たないのは、知識不足やSNS映えを狙った危険な飛行、規制改正への理解不足など、複数の要因が重なっているためです。
本記事では、ドローンに関する法律と違反事例、さらに最新の法改正のポイントを整理し、安全に運用するための注意点を解説します。
ドローン規制が強化される契機となった代表的な出来事として、2015年に発生した『首相官邸へのドローン落下事件』があります。
4月22日、首相官邸の屋上で小型無人機が発見され、その機体には放射性物質を示すマークが貼られていました。
調査の結果、セシウム134とセシウム137が検出され、大きな社会的関心を呼びました。
※参考:日本経済新聞「首相官邸にドローン落下 けが人はなし」
当時は大きなニュースとなったため、多くの人の記憶に残っていると思います。
この事件をきっかけに、日本の危機管理体制の不備が浮き彫りとなり、ドローン利用に対する規制強化と法整備の必要性が一層強調されることとなりました。
日本では100g未満のドローンであっても、飛行場所や状況によって法律や条例の規制を受けます。
航空法では空港周辺・高度150m以上・災害対応空域での飛行が禁止され、国や空港の許可が必要です。
また、小型無人機等飛行禁止法により、国会議事堂や皇居、防衛施設、空港などの周辺300mでは一切飛行できず、違反すれば懲役や罰金の対象となります。
さらに、民法では私有地上空を飛行する際に所有者の同意が必要で、電波法では「技適マーク」を取得した機体を使用しなければなりません。
道路交通法では、道路での離着陸や通行の妨害となる飛行に許可が必要です。
加えて、東京都や鎌倉市のように公園での飛行を禁止する自治体もあれば、大阪府や山梨県のように利用を推奨する地域もあります。
つまり、重量に関わらずドローンを飛ばす際は、国の法律・自治体の条例・土地所有者の権利を確認し、安全を最優先に行うことが求められます。
ドローンの法律や法規則について、もっと詳しく知りたい方は以下記事を合わせてご確認ください。
ドローンの普及に伴い、飛行ルールの違反が増えている背景にはいくつかの要因があります。
要因①知識不足による違反
要因②SNSや動画映えの影響
要因③手軽に入手できる機体の普及
要因④規制更新への対応不足
要因⑤商業利用拡大による飛行機会の増加
それではここから、ドローン飛行でルール違反が増えている要因を1つずつ詳しく解説します。
ドローンの利用者が急増している一方で、飛行に関する法律や規制の知識が十分に浸透していません。
特に個人ユーザーの中には、禁止区域や高度制限を理解しないまま飛行させてしまうケースが多く、違反につながっています。
SNSや動画投稿サイトの普及により、印象的な映像を撮影したいという欲求から、ルールを無視した飛行が増えています。
夜間飛行や立入禁止エリアでの飛行など、映像のために危険を冒す行為が問題視されています。
安価なドローンが市場に広がったことで、誰でも簡単にドローンを入手して飛ばせる環境が整いました。
しかし、講習や基礎知識を身につけないまま飛行させる人が増加しているため、結果として違反件数の増加につながっています。
ドローン関連の法規制は年々改正が進んでいますが、すべての利用者が最新情報を把握しているわけではありません。
そのため、意図せず違反行為をしてしまうケースも少なくありません。
農業、測量、物流、撮影など、商業分野での活用が拡大したことで飛行機会が増えています。
飛行回数が多くなるほど、ルール違反が発生する可能性も高まり、統計的に違反件数が増加する要因となっています。
ここでは、ドローン飛行における過去の違反事例8選を紹介します。
事例①夜間に目視外で飛行させた複合違反
事例②国道上空で無許可飛行を行い摘発
事例③飲酒状態での操縦により書類送検
事例④花火大会での無断飛行による違反
事例⑤原発周辺での無登録ドローン飛行
事例⑥住宅街での目視外飛行と墜落事故
事例⑦花火大会で飛行計画の通報漏れ
事例⑧屋根点検時に補助者を置かずに飛行
過去の違反事例から、同じことが起こらないように気を付けましょう。
飛行マニュアルにより制限されているにもかかわらず、「夜間飛行」と「目視外飛行」を同時に実施し、結果として違反とみなされた事案があります。
包括申請でそれぞれ承認を得ていたとしても、両方の条件を組み合わせた飛行には別途許可が必要であることを把握していない操縦者が少なくありません。
2023年後半、建設関連業者が適切な申請を行わずに国道上空でドローンを飛行させ、法令違反で処分を受けました。
交通量の多い道路や第三者上空では、包括申請は適用されず、必ず個別許可が求められます。
さらに、鉄道や高速道路上空も同様に規制対象であり、関係機関との調整が不可欠です。
青森県の「ねぶた祭」にて、酒気帯びの状態で夜間にドローンを操縦した男性が2022年に摘発されました。
ドローンの飛行では、少量のアルコールでも違反とされるため、飲酒運転同様の厳しい姿勢が求められます。
夜間飛行にも事前承認が必要ですので、ルールの理解が重要です。
イベント上空を許可なく飛行するドローンが増加傾向にあります。
特に花火大会などの大型イベントでは、多くの観客が集まるため、事故につながる恐れもあります。
このような場所での飛行は、主催者や自治体などとの事前調整が必要で、勝手な飛行は重大な違反とされます。
2023年4月、原子力発電所周辺で、機体登録をせずにドローンを飛行させた男性が書類送検されました。
この地域は「小型無人機等飛行禁止法」により厳しく制限されており、所有者の承諾や事前の通報が義務付けられています。
国家の重要施設周辺でのドローン飛行は、特に注意が必要です。
2016年、住宅地で視認できない状態でドローンを飛ばし、墜落させた操縦者が摘発されました。
目視外での飛行には国土交通省の承認が必須です。
また、飛行場所が人口集中地区(DID)に該当する場合、たとえ自宅敷地内であっても飛行許可が必要となります。
静岡県沼津市の事例では、花火大会のドローン空撮にあたって許可は得ていたものの、飛行計画の通報を怠ったことで違反とされました。
このようなケースでは、撮影した映像の使用が制限される場合もあります。特定飛行を行う際は、計画の提出が義務化されていますので見落とさないようにしましょう。
ドローンを使った屋根点検で、補助者を配置せず飛行させたことが原因で違反となる事案が報告されています。
目視外飛行に該当する場面では、補助者や立入り管理の実施がマニュアルで求められており、これを無視すると法令違反となります。飛行マニュアルは必ず確認しましょう。
ドローン産業はまだ進化の途中にあり、技術の拡大や多様な用途の実用化に伴って、法規制も頻繁に更新されています。
最新の2025年改正では、以下のような重要な変更が導入されました。
こうした改正に無自覚だと、従来の運用で違反となるリスクがあります。
そのため、ドローンに関わる事業者や操縦者は、改正情報を逐次確認し、最新の法規に即した運用を徹底することが不可欠です。
ドローン合宿は、東京都墨田区両国に本社を構える株式会社メルタが運営する国土交通省の「登録講習機関」に認定されたドローンスクールです。
当スクールでは、ドローン国家資格が取得できるコースとJUIDA資格のコースを用意しており、未経験者でも最短1泊2日で資格を取得可能です。
また、「楽しく・わかりやすく」を重視した短期集中合宿型で、自然豊かな環境で学べることから、県内外問わず多くの方が受講しています。
さらに、2022年3月から2023年7月までの受講生アンケートで、講習内容の満足度92%、スタッフ対応の満足度97%、アフターサポートの満足度93%を獲得しています。
ドローン合宿は、『高知校』『岡山校』『山梨校』『鳥取校』『奈良校』『広島校』にもスクールがあるので、お近くの方は是非受講または無料説明会に参加してほしいと思います。
2025年現在は、高知校・岡山校・山梨校で二等無人航空機操縦士の国家資格、鳥取校・奈良校・広島校でJUIDA民間資格が取得できるコースが用意されています。
スクール名 | ドローン合宿 高知校 |
運営会社/団体 | 株式会社メルタ(登録講習機関 事務所コード:T048001) |
所在地 | 〒130-0026 東京都墨田区両国2丁目3-6 桜井ビル1F |
お問い合わせ | 070-9206-2407 https://form.jotform.com/240311336288452 |
ウェブサイト | https://school-drone.com/ |
SNS | X(旧Twitter):https://x.com/melta_inc |
ドローン合宿 高知校は、「JR「阿波池田駅」より四国交通バス大歩危線で約30分」「高知自動車道 大豊IC から約20分」の位置にあるため、電車や車でも通いやすい立地となっています。
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ドローン合宿 岡山校は、「JR津山駅から「飯岡」バス停まで約30分」「中国自動車道「美作IC」からは約50分」の位置にあり、少し離れていますがアクセス環境は悪くないと言えます。
ドローンの普及により利便性は大きく広がりましたが、その一方で違反行為や事故も目立つようになりました。
過去には夜間の無許可飛行やイベント会場での危険な飛行、さらには飲酒操縦といった深刻なケースも報告されています。
こうした問題を防ぐためには、国の法律や自治体の条例を正しく理解し、最新の規制改正に対応する必要があります。
また、事業者だけでなく個人利用者も「知らなかった」では済まされない時代になっています。
ドローンを安全に活用するためには、知識の習得とルール遵守を徹底することが求められるのです。