ドローンを学ぶには「スクールに入会するべきか」と考える方もいるでしょう。しかし、今は大学でドローンを学ぶ場が用意されています。
この記事では、ドローンの研究内容や授業をおこなっている大学を紹介します。これから大学でドローンを学びたい方や、興味ある方はぜひ参考にしてください。
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大学では、ドローンに関する授業が開かれています。ドローンの基本的な操作方法はもちろんのこと、機体の仕組みやプログラミング、設計や制作まで可能です。
また、実際に学んだ知識を活かして研究や実験もおこなわれています。
近年、ドローンの使用は国内外で広がっており物流や農業、医療や防災などさまざまな場面で活躍しています。大学は、これらの使用用途を見据えた教育でドローンが学べて、将来的にドローン技術の活用ができる環境です。
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大学ではどのようなドローンの研究がされているのか、下記の5つを紹介します。
大学によって研究内容も違い、これからのドローンの未来に繋がる可能性を秘めた研究です。
関西大学では、屋内用小型ドローンの飛行経路や動作計画に関する研究が進められています。研究の目的は、ドローンが互いに情報交換しながら、自律的に飛行する「ドローンの群れ」の実現です。
それぞれの機体が独立して飛行し、知能を持つ制御プログラムを持つ設計を目指しています。他にも、昆虫の群れのように集団で動く行動からヒントを得て、複数のドローンが同時飛行できないかも研究内容の1つです。
また、ドローンが互いの衝突を避けながら、目的地に到達するためのシミュレーションや、障害物をさけながらのルートを計画しています。
九州大学の「システム制御研究室」では、ドローンのシステム制御や変形ドローンに焦点を当てて研究しています。
システム制御は、ドローンを含む自律移動ロボットの制御の研究をおこない、自動車の隊列走行や複数ドローンの同時飛行など、複数の車両やロボットの制御技術が目的です。
また、変形ドローンの研究は、フレームの一部を変形させて機体の自由度を向上させる内容で進められています。通常のドローンが飛行できない災害現場や特殊な環境下で使用できる機体を作る研究をしています。
千葉大学の「自律制御システム研究室」では、ドローンを含む空中ロボットの研究をしています。この研究は、ドローンの行動を自動で決定できる自律システムの開発です。
例えば、生き物のように自由に行動できるロボットにして、制御工学とロボティクスの分野での進歩を追求しています。千葉大学は、こういったドローン技術が将来的に活用され、さまざまな分野で利用されるように研究を進めています。
また、実際に研究の一環として、森林内の下草をドローンで刈る実験をしており、安全飛行が確認できたため実用化に向けて調整段階です。
日本工業大学は、ドローンによる空中ネットワーク構築と小型ドローンの研究をしています。
ネットワークの構築では、複数のドローンが飛行し、空中で通信ネットワークの形成が可能です。そのため、地形や建物に邪魔されずに、災害現場の情報伝達や救助活動の支援が実現できます。
また、小型ドローンの研究は、農作物の受粉にドローンを活用できないか進められています。ハチの行動からヒントを得て、特殊な通信システムを開発し、トマトの農作物の受粉を自動化する研究内容です。
ドローンの自動化やネットワークの構築で、人の操作が必要だった災害現場や農業分野での利用を目指しています。
大阪公立大学では「ドローン学際科学研究所」が設置され、陸海空のドローンの普及と発展に向けた研究をしています。
この研究は建設や農業、物流などさまざまな分野での利用拡大を目指し、災害時の情報収集への役立ても期待されています。
しかし、改善点が挙げられており安定性向上や危険回避、遠隔制御などが現状の課題です。他にも、ドローンの用途を拡大するのであれば、高い信頼性と安全性も求められています。
そういった課題に向けて、大学内の各研究員が情報共有しながら研究を進めています。
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では実際にドローンに関して学べる、下記3つの大学を紹介します。
単純な操作方法だけでなく、技術や設計まで学べる大学ですので気になった方はチェックしておきましょう。
岐阜女子大学では、ドローンが建築業界での活躍を見据え授業を開催しています。
1年生はドローンの基本的な知識を学び、実際に操縦体験が可能です。さらに、学内にはクラブ活動で「ドローンクラブ」が設置され、学生は卒業後のドローンスキルの活用や研究、就職活動への役立てを目的に活動しています。
また、JUIDA認定スクールのドローンカレッジも設立されており、学生はドローンに関する資格取得を目指せます。そのため、岐阜女子大学はドローン技術の教育と実践の場を提供している大学です。
千葉科学大学には「航空工学・ドローンコース」が学科として選択できます。
この学科は、航空機の設計や運航技術を支える専門家の育成が目的です。流体力学や航空機の維持管理に関する学習にくわえ、2022年度からドローンの設計や操縦に関する科目が追加されました。
学生はドローンの基礎知識から操作技術、設計までを学び実際に制作もおこないます。また、流体力学や航空機の知識をドローンに応用すれば、飛行精度の高い機体の開発も可能です。
日本工業大学には、ドローンに興味がある人に向けて下記5つの学科が設置されています。
機械工学科ではドローンの設計と製造の基礎を学び、電気電子通信工学科ではドローンの電子回路や制御システムの知識を学びます。
また、データサイエンス学科では、ドローンが収集したデータの分析と活用が学べ、情報メディアやロボティクスではドローンの設計や制御、情報発信技術の習得が可能です。
そのため、5つの学科から興味ある分野を選択して、ドローン技術の向上ができるでしょう。
大学の研究や学科を紹介しましたが、学校によってはドローンを使用した実験もおこなわれているため紹介します。
中部大学は、災害時にドローンを使用した救援物資の運送実験を実施しました。この実験は、災害時に孤立した地域への救援物資輸送を想定しおこなわれました。
実験には物流専用ドローンを使用し、約1.5kmの距離を約3分で物資を配送しています。また、自動運転バスの運行管理システムをドローンにも読み込ませ、バスとドローンの運行管理が同時に可能なことも検証済みです。
他にも、買い物が難しい地域への飲食物や日用品を配送するなど、さまざまな場面でドローンの活用が期待されています。
立命館大学では、警備会社と連携して、キャンパス内の巡回業務をドローンに任せる実験を実施しました。ドローンの自動化を目的として、通常は人間がキャンパス内を回る巡回業務を、自動化されたドローンが警備しています。
実験では、3種類の異なる特徴を持つドローンを使用し、映像解像度や人の動きを感知する能力を検証。また、不審者を発見しドローンから声掛けをして、実際の運用に近い形で検証されました。
この実験から立命館大学は、今後ドローンの警備実用化を目指して、研究を進めています。
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今回は、大学で実施されているドローンの研究や授業について紹介しました。
ドローンを学ぶのはスクールだけでなく、今や学校で授業の一環としても取り入れられています。また、生活や産業の幅を広げるため運搬や農業、災害時を想定した実験もおこなわれています。
大学では将来を見据えた内容でドローン技術を学べますので、今回紹介した学校の中で気になる場所があれば公式サイトから飛んでみましょう。