ドローンの普及が進む一方で、「どこなら飛ばしてもいいのか分からない」という悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
ドローンの飛行には、航空法や小型無人機等飛行禁止法など複数の法規制が関係しており、無許可で飛ばせる場所は限られています。
事故やトラブルを防ぐためにも、飛行可能エリアのルールをしっかり理解することが重要です。
そこで本記事では、ドローンを安全かつ合法的に飛ばせる場所と、飛ばしてはいけない場所の違いを詳しく解説します。
さらに、ドローン飛行に役立つ便利なアプリや、実際に飛ばせる施設情報も紹介します。
ドローンを飛行させる際、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などの関連法令により、飛行が制限されているエリアを避ける必要があります。
安全に運用するためには、これらの規制に該当しない適切な場所を選ぶことが重要です。
1.空港や周辺の空域以外の場所
2.人口集中地区(DID)以外の場所
3.高度150メートル未満の場所
4.国の重要施設の周辺300メートル以外の場所
5.国の重要文化財の周囲以外の場所
6.他人が所有・管理する私有地の上空以外の場所
7.公園など自治体管理地では各自治体のルール
そこでここでは、具体的にどのような場所でドローンが飛行できるのか、飛ばせる場所はどこなのかを徹底解説します。
空港やその周辺では、航空機との衝突リスクを避けるため、ドローンの飛行が厳しく制限されています。
そのため、飛行させる前に、以下の飛行禁止エリアに該当していないかを必ず確認しましょう。
これらの範囲では、空港敷地内に限らず、飛行機の離着陸ルートにあたる空域も含まれます。
そのため、対象エリアではドローンを飛ばせないので覚えておきましょう。
人口が密集しているエリアでは、ドローンが落下した場合に人や建物への被害が大きくなるおそれがあるため、原則として飛行が認められていません。
また、総務省統計局では人口集中地区について以下のように基準を定めています。
人口集中地区の設定に当たっては、国勢調査基本単位区及び基本単位区内に複数の調査区がある場合は調査区(以下「基本単位区等」という。)を基礎単位として、1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有するこの地域を「人口集中地区」とした。
引用元:総務省統計局
この『人口集中地区(DID)』は、5年ごとに実施される国勢調査の結果をもとに設定されており、東京都・大阪市・名古屋市など、大都市圏の中心部はほとんどが該当します。
万が一の操作ミスや機体トラブルにより、ドローンが制御不能となって墜落する可能性もゼロではありません。
そのようなリスクを回避するためにも、ドローンの飛行は人口集中地区外の安全なエリアで行うことが重要です。
地上や水面から高度150メートルを超える空域では、ドローンの飛行は禁止されています。これは主に次の3つの理由によるものとされています。
このような理由から、飛行可能な高度には上限が設けられています。
ドローンを飛ばす際は、必ず150メートル未満の高さを守るようにしてください。
国が指定する重要施設およびその周囲300メートル以内のエリアでは、ドローンの飛行が規制されています。
これらの場所では、万が一ドローンの事故が発生した場合の影響が非常に大きいため、飛行を控えるのが賢明です。
安全上のリスクや法的トラブルを避けるためにも、該当エリアでのドローン操作は行わないようにしましょう。
国の重要文化財に指定されている建造物やその周辺地域では、ドローンの使用を制限する旨の看板が設置されている場合があります。
これらの文化財の保護管理者が、敷地内やその上空、または周辺地域でのドローン飛行を禁止しているときには、そのルールに従う必要があります。
土地の所有権に関しては、民法第206条に次のような規定があります。
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
引用元:民法
このため、他人が管理・所有する敷地の上空において、無断でドローンを飛行させることは原則として認められていません。
なお、私有地の上空でドローンを飛ばした場合でも、必ずしも「所有者の権利を違法に侵害した」と判断されるとは限りませんが、トラブルを避けるためにも、許可を得ずに飛ばすのは控えるようにしましょう。
最低限のマナーとして、私有地では事前に許可を取ることを心掛けてください。
各市区町村が管理する公園の中には、ドローンの飛行を条例によって禁止している場所も存在します。
公園は一見するとドローンを飛ばすのに適しているように思えるかもしれませんが、事前に飛行が認められているかを確認することが大切です。
なお、東京都が管理しているすべての公園や庭園では、ドローンの使用が全面的に禁止されていますので、特に注意しましょう。
前述では、ドローンを飛ばせる場所と飛ばせない場所を紹介しましたが、「結局どこで飛ばせるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
1.ドローンスクール
2.ドローン練習場
3.自宅などの屋内空間
4.自分で保有する私有地
5.飛行禁止区域ではない河川敷
そこでここでは、許可がなくてもドローンを自由に飛ばせる場所を紹介します。
許可なしでドローンを自由に飛行できる場所として、ドローンスクールが挙げられます。
ドローンスクールとは、ドローンに関する基礎知識や操作スキルを体系的に学べる専門の教育施設です。
一等・二等国家資格を始めとする様々な資格を取得でき、プロの講師から直接指導してもらえるなどメリットがあります。
当社運営のドローン合宿でも、合宿形式を用いながらドローン国家資格を取得でき、ドローン操縦訓練のお手伝いをさせていただきます。
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ドローンの練習施設は東京都内をはじめ、全国各地に点在しています。
自宅や勤務先の近くにもある可能性が高いため、最寄りの施設を探して活用しましょう。
また、ドローンスクールの受講者向けに、練習場を無料で利用できる特典を提供しているケースもあります。こうした情報は各施設の公式サイトに掲載されているため、あらかじめ確認することをおすすめします。
屋内環境、たとえば自宅などでは、法律上の規制を気にせずにドローンを飛ばすことが可能です。
とくに軽量タイプのトイドローンであれば、室内で操縦スキルを安全に磨くのに適しています。
ただし、飛行中は家具や家族など周囲への影響に配慮し、事故のないよう安全対策を講じて運用しましょう。
自分が所有している私有地であれば、基本的にドローンを飛ばしても問題ありません。
しかし、たとえ自分の土地であっても、周辺が人口集中地区(DID)に該当していたり、重要な政府関連施設が近くにある場合には、飛行が制限されるため十分な注意が必要です。
河川敷であっても、航空法で定められた「飛行禁止空域」に該当しない場所であれば、基本的にドローンの飛行は可能です。
ただし、「高度150m以上の空域」や「人口集中地区(DID)」のような特別な飛行制限区域ではなく、かつ地方自治体の条例や土地の管理者による飛行禁止の指定がないことが前提となります。
結論から申し上げますと、ドローンを飛ばす場合には、『ドローンスクール』または『ドローン練習場』がおすすめです。
ドローンスクールで設けている屋内・屋外施設は、基本的に飛行許可申請が必要なく、スクールによってはコース受講後に半永久的に練習場を利用できる権利が得られる場合があります。
ドローン練習場は、その名の通りドローンを練習するための施設であるため、施設利用の手続きだけで自由にドローンを飛ばせます。
ドローンの知識や操縦技術を身に付けたい方は『ドローンスクール』、ドローンの飛行練習だけで問題ない方は『ドローン練習場』をおすすめします。
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日常の生活圏や地図を見ただけでは、「この場所でドローンを飛ばしてよいのか」を瞬時に判断するのは非常に難しいのが実情です。
そこで活用をおすすめしたいのが、飛行可能エリアをひと目でチェックできる便利なアプリです。
1.SORAPASS
2.ドローンフライトナビ
3.DJIフライトマップ
4.地理院地図
それでは、それぞれのアプリが持つ機能や特徴について、詳しく紹介します。
「SORAPASS」は、ドローンを飛ばせるかどうかを地図上で簡単に確認できるWebサービスです。
地図には人口密集地域や空港、政府関連施設などが色分けされて表示され、視覚的に飛行可否が判断できます。
また、JUIDAが運営する試験場など、飛行に適したエリアも確認可能で、手軽に練習場所などを探せます。
利用には公式サイトにアクセスし、アカウントを作成すればOKです。初回のみ無料登録が必要ですが、Web上で使えるため、PCやスマホなど複数の端末から閲覧できます。
有料版に切り替えると、風速・風向き・日の出や日の入り時間といった気象情報も確認できるようになり、飛行判断に役立ちます。
サービス名称 | SORAPASS(ソラパス) |
地図上の情報 | ・人口が集中しているエリア ・空港の位置 ・ドローン利用可の試験場 ・そのほかの重要施設 |
使用方法 | インターネットブラウザ |
料金 | 無料(機能拡張プランあり) |
対応デバイス | 特に指定なし |
「ドローンフライトナビ」は、iOS端末専用のアプリで、飛行制限区域を確認できるツールです。
アプリを起動するだけで、マップ上に飛行制限エリアが色分けされて表示されるため、直感的に使用できます。
例えば、赤は人口集中地区、青は空港やその周辺、黄色は小型無人機飛行禁止区域を示しており、場所ごとの飛行可否を把握しやすくなっています。
ログインは不要で、インストールすればすぐに利用可能となっており、ドローンの飛行計画前に、対象エリアをチェックするのに便利なアプリとして活用できます。
アプリ名 | ドローンフライトナビ |
表示可能なエリア | ・人口密度の高い場所 ・空港とその周辺(立入制限空域含む) ・法律で定められた小型無人機飛行禁止区域 |
利用環境 | モバイルアプリ(iOS) |
価格 | 無料で使用可能 |
動作プラットフォーム | iPhoneなどのiOS端末 |
「DJIフライトマップ」は、DJI社が提供する地図サービスで、飛行制限や推奨エリアを確認できます。
日本国内はもちろん、海外の飛行情報にも対応しており、海外でのドローン使用を予定している方にも役立ちます。
特に、独自に危険と判断された警告エリアなどが視覚的に確認できる点が特徴です。
ただし、すべての制限区域が反映されているわけではないため、最新情報の確認も併せて行いましょう。
サービス名 | DJI Flight Map |
確認可能な情報 | ・特定許可が必要な空域 ・独自基準の警告エリア ・推奨される安全な飛行ゾーン |
提供形式 | Webベース |
料金設定 | 無料で利用可 |
推奨端末 | 特定の制限なし |
「地理院地図」は、国土交通省管轄の国土地理院が提供するWeb地図です。
住所や地名を検索すると、その周辺の人口集中地区や空港の位置が表示され、ドローン飛行の計画時に活用できます。
特に、人口集中エリアは赤色で示されており、視認性に優れています。
ただし、空港周辺の表示は誤差が生じている場合があるため、該当エリアでの飛行を検討している場合は、空港や関係機関への確認が推奨されます。
ツール名称 | 地理院地図(GSI Maps) |
地図で分かること | ・人口が密集している市街地 |
利用媒体 | パソコンやスマートフォンのブラウザ |
利用料金 | 完全無料 |
対応機種 | OS問わず利用可 |
ここでは、ドローンを飛ばせる場所についてよくある質問とその回答を記載します。
ドローンを飛ばせない場所は、以下になります。
ドローンを自由に飛ばせる場所は、前述で解説した場所です。
詳細なルールや規制は場所によって異なるため、飛行する数か月前から調査しておきましょう。
ドローンの飛行に免許が必要かどうかは、「機体の重さ」と「飛行する場所」によって異なります。
機体重量が100g未満であれば、航空法の適用外となり、基本的には許可を得ずに飛ばすことが可能です。
ただし、室内以外での飛行や、空港周辺・市街地などの飛行禁止区域では、たとえ軽量なドローンでも制限が設けられています。
一方で、100g以上のドローンを使用する場合は、飛行の内容やエリアによって、国土交通省への許可申請が求められるケースもあります。
ドローンを飛行させる際に関連法規に違反すると、懲役刑や罰金が科せられる可能性があります。
処罰の内容は違反の種類や状況により異なりますが、たとえば無登録のドローンを飛行させた場合には、「1年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」が科せられることがあります。
また、無線の使用において電波法に違反したケースでは、「1年以下の懲役」あるいは「100万円以下の罰金」が適用されることもあります。
さらに、夜間にドローンを飛行させるには、あらかじめ国土交通大臣の承認が必要です。この承認を得ずに夜間飛行を行った場合には、「50万円以下の罰金」が課される可能性があります。
ドローンの国家資格を取得した場合でも、すべての飛行禁止エリアで自由に飛ばせるわけではありません。
たとえば、航空法で定められている飛行制限区域の中でも、「人口集中地区(DID)」における飛行については、条件を満たせば許可申請が一部不要になるケースがあります。
ただし、そのためには国家資格の取得に加え、使用する機体が機体認証を受けている必要があります。
なお、空港周辺や高度150m以上の空域など、その他の飛行制限区域では、引き続き個別の許可が必要です。
この記事では、ドローンを飛ばせる場所と飛ばせない場所を徹底解説しました。
また、許可がなくてもドローンを飛ばせる場所や飛行可能な場所が分かるアプリについても紹介しています。
ドローンの飛行にはさまざまなルールがあり、安全かつ合法に運用するには場所の選定が非常に重要です。
空港周辺や人口集中地区、重要施設の周辺などでは飛行が厳しく制限されていますが、ドローンスクールや練習場、自宅の屋内空間、自分の私有地、飛行禁止区域外の河川敷などでは比較的自由に飛ばすことが可能です。
とくに初心者や資格取得を目指す方には、法的に安心して飛行練習ができるドローンスクールや専用練習場の活用がおすすめです。
また、飛行可能エリアを手軽に確認できるアプリを併用することで、日常的な飛行判断にも役立ちます。
ドローンを飛ばす際は、必ず最新のルールと周辺環境を確認し、安全第一で楽しみましょう。