ドローンの国家資格には「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」があり、その中でも一等資格は、人がいる上空で安全に飛行するための重要な免許です。
物流やイベント空撮など、商業利用の幅を大きく広げる一方で、取得には高い技術力と知識、そして相応の時間と費用が必要です。
この記事では、一等資格の概要や二等資格との違い、取得にかかる期間・費用、メリットと注意点、さらに取得方法までをわかりやすく解説します。
一等無人航空機操縦士の国家資格は、ドローンを「人の上空」で安全に飛行させることを認める免許です。
この資格は、物流業務や大規模イベントでの空撮など、人が集まる場所での業務に欠かせないため、商業利用を目指す方にとって極めて重要な資格となります。
ただし、取得の難易度は高く、「一等を取ればすぐに飛ばせる」という単純な考えでは合格に至りません。
さらに、資格を持っているだけでは条件を満たせません。該当する機体の使用や、適切な飛行申請の手続きなど、追加の要件をクリアする必要があります。
つまり、資格を取得しただけでは、人の上空での飛行は実現できないという点を理解しておくことが大切です。
二等無人航空機操縦士(通称:二等資格)は、無人地帯において目視外でドローンを飛ばすことが認められる国家資格です。
運用レベルでは「レベル3」に該当する飛行が可能となります。
一等資格と二等資格の主な違いは、飛行できる地域や運用方法の範囲にあります。
二等資格は一等資格よりも取得難易度は低めですが、安全な操縦や運用に必要な一定水準の知識・技能が求められます。
また、受験費用は一等資格の方が高額に設定されています。
ドローン国家資格の一等・二等無人航空機操縦士の違いについて、もっと詳しく知りたい方は、下記記事を参照してください。
一等資格取得に必要な講習時間は、受講者の経験によって異なります。
項目 | 内容 |
初学者 | 実技講習は最低50時間以上が必須。基礎的な操縦から高度な飛行まで段階的に学習します。 |
経験者 | 実技講習は最短10時間の短期集中。Aモード相当の十分な飛行経験が前提で、日常的に操縦していない場合は合格水準に届きにくいことがあります。 |
ただし、この短時間で資格レベルに到達するには相応の飛行経験(Aモード)が必要です。
日常的にドローンを扱っていない場合は、合格水準に達するのが難しいケースもあります。
一等資格の合格率に関する正確な統計は公開されていません。
一般的には合格率が60〜70%程度といわれていますが、この数字には経験者も含まれるため、初心者にとっては難易度が高い傾向にあります。
スクールで学習する場合、すでに一定の知識や10時間以上の飛行経験がある人はおおむね20時間以上、全くの初心者は70時間以上の学習時間を確保する必要があります。
受講費用の目安は、経験者で40万〜70万円、初心者で70万〜110万円ほどです。
ドローン国家資格の難易度や合格率についての詳細は、以下記事を合わせてご確認ください。
一等資格は、ドローン操縦者にとって大きなアドバンテージとなる可能性があります。しかし、全てのパイロットに必須というわけではありません。
ここで、ドローン一等国家資格を取得するメリット・デメリットを解説します。
メリット | ・「人の上」で飛行するための許可条件の一つを満たせる ・ドローンの活用範囲が大きく広がる ・一等資格保有者としての信頼度や肩書きが上がる ・特定のビジネス案件で有利になる可能性がある |
デメリット | ・取得に時間と費用がかかる ・国家試験の難易度が高く、合格保証がない ・活用場面が限られ、不要な場合も多い ・高額な機体の購入や飛行計画・申請が必要 |
さらに、資格を取っただけでは終わらず、高額な機体の導入や、詳細な飛行計画の策定・申請も必要になります。
ドローンの一等資格を取得するには、大きく分けて2つの方法があります。
1つは国土交通省から認定を受けた登録講習機関(スクール)に通う方法、もう1つは指定試験機関で直接試験を受ける方法です。
ここでは、それぞれの特徴を解説します。
登録講習機関では、学科と実地の両方の講習を受講できます。
必要な知識や操縦スキルを体系的に学べるため、合格への近道と言えます。
さらに、スクールの修了試験に合格すると、実地試験が免除されます。
費用の目安は、二等資格でおよそ20〜30万円、一等資格では70〜150万円程度です。
スクールに通わず、指定試験機関で学科試験・実地試験・身体検査をすべて受ける方法もあります。
この場合は独学で知識と操縦技術を習得する必要があり、難易度は高めです。
試験料も比較的高額なため、確実な合格を目指す場合はスクール受講を検討するのが無難です。
一等無人航空機操縦士は、人の上空でドローンを安全に飛ばすために必要な国家資格で、物流やイベント撮影などの業務で活躍の場が広がります。
しかし、資格を得たからといってすぐに飛行できるわけではなく、該当機体の導入や飛行申請など追加の条件を満たす必要があります。
二等資格よりも難易度や費用は高く、初心者の場合は長期間の講習が必要です。
取得方法は、登録講習機関で学ぶか、指定試験機関で直接試験を受けるかの2つがあり、確実な合格を目指すならスクールでの学習がおすすめです。
資格は大きなアドバンテージとなる反面、活用機会やコスト面も考慮して取得を検討することが重要です。