ドローンは誰でも気軽に飛ばせる航空機として普及していますが、万が一墜落すれば、大きな事故につながります。そこで重要になるのがドローン保険です。ドローン保険には大きく賠償責任保険、機体保険がありますが、商品によって条件もさまざまです。本記事でドローン保険について理解を深めていただき、皆さんにとって最適なドローン保険をお選びください。
ドローン保険に加入する理由は、3つ挙げられます。まずドローンの墜落や他者との接触などにより、誰かに損害を与えてしまった際に補償するためです。この場合の誰かとは、人はもちろん、他人の所有物や公共物も含まれます。
2つめの理由は、空撮によって他人の権利を侵害してしまった場合の補償です。空撮では通常では見えない視点から、広い範囲を見渡すことができるので、予期せず他者の肖像権やプライバシーを侵害してしまう恐れがあります。
3つめの理由は、ドローンが故障したり盗難されてしまった場合の損害に対する補償です。
ドローン保険には賠償責任保険と機体保険があります。賠償責任保険とは、ドローンの飛行によって他人を傷つけてしまった場合、例えば建物や車といった他人の所有物や、街灯や電柱といった公共物を壊してしまった場合の補償をするための保険です。ちょうど自動車保険の対人賠償、対物賠償と同じと考えればよいでしょう。さらに賠償責任保険では、空撮による肖像権やプライバシー侵害など、人格権の補償も含まれます。
次に機体保険は、自動車保険なら車両保険に相当する保険です。機体保険では、ドローンが墜落した場合の修理費用、行方不明になった機体の捜索費用、盗難や天災、水濡れなどによって生じた損害を補償してくれます。
ドローン保険に賠償責任保険と機体保険があることをお伝えしましたが、加えて法人・事業主向けと個人向けがあります。両者の違いで気をつけなければならないのは、個人向けの保険では、人格権の補償が含まれないという点です。個人用の賠償責任保険では、趣味として空撮した映像をインターネット上に公開し、肖像権やプライバシー権の侵害を訴えられた場合は補償されません。例え趣味であったとしても、空撮映像をインターネット上に公開するなら、法人・事業主向けの賠償責任保険への加入が必要です。
ここからは現在販売されているドローン保険を紹介します。それぞれの商品の特徴についてまとめたので、これら情報を参考の上、ご自身にあった保険をお選びください。
エアロエントリーはDJI公認ドローン保険を扱っている会社です。DJI製のドローンを購入すると購入特典として「無償付帯賠償責任保険」が、登録から1年間利用できます。また無償付帯賠償責任保険の満了後も、有料で賠償責任保険に加入することができます。なお購入特典の無償付帯賠償責任保険には、機体保険は含まれていません。ドローン購入直後から、事故や盗難に対する補償を受ける場合には、有料の機体保険に加入しましょう。
エアロエントリーの保険では、賠償責任保険、機体保険ともにA、B、Cの3つのプランを選ぶことができます。
DPA(ディーパ)は一般社団法人 ドローン操縦士協会の略称で、ドローンの健全な発展を目指した活動を行っており、DPAが東京海上日動火災保険と独自に創設した保険制度がDPAドローン総合保険です。この制度には、自動付帯保険制度と任意付帯保険制度があります。
自動付帯保険制度では、DPA認定ライセンス保有者が、業務以外や業務中に発生してしまった事故について、ライセンス保有者が負担しなければならない法律上の賠償責任を補償してくれます。
任意付帯保険制度では、自動付帯保険制度よりも充実した補償、そして機体の損傷や盗難といった、一般的な機体保険に相当する補償が含まれます。加入にはDPAの認定校にて、資格対象となるコースの修了が必要です。
SORAPASS care(ソラパスケア)とは、ドローンを飛行させる際に役立つ飛行支援地図サービスと、損害保険ジャパン株式会社のドローン保険がセットになったサービスです。SORAPASS careのドローン保険の最大の特徴は、業務利用・ホビー利用のどちらでも補償してくれることでしょう。飛行禁止エリアの閲覧や、飛行エリアの共有といった地図サービスはもちろん、趣味で空撮をし、映像をネット上にも公開したい方にとっては加入しやすい保険です。
グッド保険サービスは鉄道ファンの保険、社交ダンスの保険、お遍路さんの保険といった、特徴ある商品を扱っている保険の代理店です。ドローン保険は法人向けに用意されています。賠償金の支払いは対人賠償、対物賠償、機体の破損、捜索や回収が対象ですが、いずれも業務使用目的に限定されます。
さまざまな保険サービスの引受会社になっている東京海上日動ですが、FLIGHTSというサービスを通じてドローン保険を提供しています。この保険はFLIGHTSが提供する無料動画講習を視聴した個人事業主、または法人が加入できます。賠償責任保険、機体保険ともに「ライトプラン」「スタンダードプラン」「海外プラン」の3つが用意されています。
SkyLink Japan (スカイリンクジャパン)はドローンの販売、ドローンを活用したビジネスのコンサルティングなどを行っている会社であり、ドローンの保険として「ドローンほけん」を提供しています。施設所有管理者賠償責任保険と、動産総合保険が用意されています。加入できる対象機種が決められてるので、検討時にまず確認してください。
RCKラジコン保険はホビー用のラジコン補償制度です。日本ラジコン電波安全協会のラジコン操縦士に登録した人が対象であり、趣味での事故に限られた保険です。
ドローンに関するさまざまな保険をご紹介しましたが、ドローンデータ復旧サービスという、データ消失に対する補償が受けられる保険もあります。エアロエントリーのDJI公認保険サービスのオプションとして用意されています。空撮業務をされる方なら、検討してみる価値はあるでしょう。
本記事はドローンを飛ばすならドローン保険への加入が重要であることと、現在販売されている保険の特徴をご紹介しました。現時点(本記事執筆は2023年4月)でドローン保険は義務付けられていませんが、公共の場でドローンを飛ばすなら、ドローン保険への加入は社会への責任と捉えるべきでしょう。またドローン保険に加入したからといって油断せず、ドローンを飛行させる際には常に安全への配慮を忘れないことが何よりも大切です。