技術の進歩により、ドローンは撮影や測量、検査などさまざまな用途に用いられるようになりました。
それに合わせてドローンを操縦する操縦士の需要も高まっています。
本記事では、ドローン操縦士の全てと題して、ドローンの仕事や将来性、ドローン操縦士の仕事内容や求人、年収などを詳しく解説します。
ドローン操縦士の仕事に興味がある方は、参考にしてください。
結論として、ドローンの仕事は将来性があり、需要も伸び続けています。

実際に、転職や求人などの大手求人サイト「doda(デューダ)」では、2025年時点で求人数『2,800件』とドローン関連の仕事が多数募集されていることからドローン操縦士の需要が高いことが分かります。
世界最大級の求人検索を誇る「Indeed (インディード)」では、2025年時点で求人数『1,000件以上』もあるなど、ドローン関連の仕事の需要が多いことが分かります。
また、厚生労働省の職業情報サイト「jobtag」によると、令和4年度のドローンパイロットの有効求人倍率は「4.21」でした。
求人数と求職者数の比率を表す指標のこと。有効求人倍率が高い場合、求人が多く、求職者が比較的少ない状況を示しています。
ドローン操縦士の有効求人倍率は1よりも大幅に高いため、「求人は多いが応募者が不足している」という状況が浮かび上がると思います。
しかし、ドローン業界は最近注目を集めており、まだまだ参入者が少ないことからチャレンジする価値は高いと言えます。
前述で、求人・転職サイトでドローン関連の仕事は需要があるということを解説しましたが、それでも「ドローンの仕事はあまりない」「ドローンの仕事は需要がない」と言われています。
そこでここでは、ドローンの仕事は需要がないと言われる理由を解説します。
1.法律や条例などの規制が厳しい
2.ドローン技術の浸透と市場競争の激化
3.産業の特異性と需要の限界
それでは1つずつ紹介・解説します。
ドローンの仕事は需要がないと言われる理由1つ目は、法律や条例などの規制が厳しいことが挙げられます。
ドローンは人や建物の上空で使用されることもあるため、安全性を確保するために様々な法律による制限が設けられています。
具体的な法律例は以下の通りです。
・航空法
・小型無人機等飛行禁止法
・道路交通法
・民法
・電波法
特に航空法は厳格で、空港周辺や150m以上の上空、人口集中地域などでの飛行には適切な申請手続きが必要です。

また、東京都の「都立公園条例/都立海上公園条例」を始めとする、都道府県や市区町村も独自の条例を設け、ドローンの飛行を制限しています。
これらの制限は、ドローンを飛行を行う際の障壁が高いことを示しており、「仕事にならない」という印象を生み出している可能性があります。
ドローンの仕事は需要がないと言われる理由2つ目は、法律や条例などの規制が厳しいことが挙げられます。
近年では、ドローン技術が急速に進歩しており、その利用が広まっています。
これにより、多くの人々がドローン関連の仕事に興味を抱き、大企業から個人まで、さまざまな規模の企業が市場に参入しています。
その結果、需要に対する供給が増え、競争が激化し、求人数が限られている傾向があります。
しかし、前述で記載したように求人サイト内でのドローン求人は1,000件を超えるなど、需要が高いことが分かったので競争が激化する前にドローン関連の仕事に就くことをおすすめします。
ドローンの仕事は需要がないと言われる理由3つ目は、産業の特異性と需要の限界が挙げられます。
ドローンは多岐にわたる産業で使用されていますが、一部の業界や特定の用途に需要が集中しています。
たとえば、農業や測量、建設業界ではドローンが幅広く利用されていますが、他の業種では需要が制限されており、まだまだ市場がニッチな状況です。
また、ドローン関連の仕事は、特定の技能や知識が必要なため、需要と供給のバランスを取りにくくなることがあります。
そのため、正しい知識を身につけるためにもドローンスクールへ通い、国家資格を取得することをおすすめしています。
ドローンを使った仕事といえば空撮が有名ですが、現在は空撮以外にもドローンを使った仕事が増えています。
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ここでは、ドローン操縦士の仕事の種類や業務内容などを詳しく解説します。
土木現場やインフラ施設では、従来人が長時間かけて行っていた測量・点検をドローンで行うケースが増えています。
自動航行ルートを設定すれば、高精度な空撮データを収集し、解析ソフトで3Dモデル化することも可能です。人が入りにくい地形でも作業できるため、安全性向上と作業時間短縮の両立が期待できます。
点検分野では、赤外線カメラやズームレンズなど特殊機材を搭載し、設備の劣化状態を精密に確認します。高所作業に必要な足場の設置を省略できるため、コスト削減とリスク低減に貢献します。
精確な飛行操作に加え、測量の場合は測量士・測量士補などの資格が求められることもあるため、専門性の高い職種といえます。
ドローンの測量に関する詳しい情報は、以下記事を合わせて参考にしてください。
ドローンを使用した測量とは?具体的な費用・やり方、必要な資格を徹底解説!
観光地のPR動画から映画、ドラマ、広告、音楽PVまで、映像制作の現場では空撮の需要が拡大しています。
地上では撮れないアングルや高度な動きが再現できるため、クリエイティブ性を求められる仕事です。
空撮では機体操作とカメラワークを同時に行うため、滑らかな動きや正確な構図作りが重要です。また撮影後の編集スキルも求められ、高品質な映像に仕上げられる人材は特に評価されます。
観光業や不動産、イベントの配信など幅広い産業で空撮活用が進んでおり、今後も需要増が見込める分野です。
農業現場では、農薬や肥料の散布、種まきなどをドローンで実施する流れが広がっています。
人力より圧倒的に効率が良く、セスナ・ヘリによる散布より低コストのため、生産性向上に直結する作業として注目されています。
一定の高度と速度を維持しながら飛行させる必要があるため、飛行技術の習熟が欠かせません。
農林水産省が推進するスマート農業との相性も良く、担い手不足の解決策として導入が進んでいます。
農家や農業法人からの依頼が増えており、地域密着型のドローンパイロットとしても活躍しやすい分野です。
農業用ドローンの運用には免許が必要?必要な手続きを徹底解説!
十分な操縦技術と専門知識を身につければ、講師として後進育成に携われます。スクール勤務はもちろん、個人でレッスンを開講するケースもあります。
教える内容は操縦だけでなく、機体構造、メンテナンス、法律・ルール、空撮方法、編集技術など幅広い領域に及びます。
受講生が理解しやすいよう説明する力も必要で、コミュニケーション能力が成果に直結する仕事です。
講師として認められるには一定の実績やカリキュラム構築が求められますが、資格需要の高まりにより、教育分野での活躍機会は増えています。
ドローン国家資格を取得した方の中には、映像撮影の仕事からドローンスクール講師になった方もいらっしゃいます。
映像撮影の仕事からドローンの認定講師へ!|卒業生インタビュー
ドローンの製造・開発に関わる職種は、機体を設計するハードウェア系と、飛行制御を構築するソフトウェア系に大別されます。
ハードウェア分野では、産業用途に合わせた機能追加やカスタム設計が中心です。荷物配送、精密点検、高所作業など、クライアントの課題に応じて最適な機体を開発します。
ソフトウェア分野では、自律飛行や障害物回避、風への補正など、飛行中の挙動を制御するプログラムを構築します。
高度な技術者が不足しているため、エンジニアの需要は年々上昇しています。
ドローン市場が拡大する中、開発の現場では多様な分野の技術が求められ、将来性の高い専門職として注目されています。
現在、急速に法整備が進められているのは、ドローンを利用した物流です。
ドローンを操縦して荷物を運べれば、早くたくさんの荷物を運べます。
また、2024年問題と呼ばれる「トラックドライバーの時間外労働規制」によって生じる物流業界の問題にも対応ができると期待されています。
現在、基本的にドローンの目視外飛行は許可されていません。
しかし、法整備と技術の進歩により、ドローンの目視外飛行が可能になると、ドローンによる荷物の運搬が活発化することが予想されます。これに伴い、ドローンの操縦士の需要も一層高まるでしょう。
2024年5月現在、資格を保有していなくてもドローン操縦は可能です。
ただし、バッテリーを含め総重量100g以上のドローンを、以下のような場所で飛行させる場合は、国土交通省に申請して許可を得る必要があります。
【2023年最新】ドローンを飛ばすのに必要な免許や資格について徹底解説
しかし、ドローン操縦士として働く場合、自身の技術を客観的に示すためには資格を取得していたほうが有利です。
ここでは、ドローン操縦士になるために必要な資格を紹介します。
ドローン免許制度(国家資格)についてもっと詳しく知りたい方は、以下記事を参考にしてください。
無人航空機操縦士は、2022年12月に誕生した国家資格です。
取得すれば無人航空機を飛行させるのに必要な知識や能力を証明できるほか、ドローンを飛行させるために必要な許可の取得手続きが省略できます。
また、一等無人航空機操縦士(一等資格)を保有し、第一種認証機体を飛ばす際はカテゴリー4である夜間飛行・目視外飛行も可能です。
受験資格は16歳以上で、心身と共に健康なら誰でも受けられます。
無人航空操縦士には、一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の2区分があり、学科試験と実地試験の2つに合格すれば取得できます。
ただし、登録講習機関の講習を受けて受験すれば実地試験が免除されます。
学科試験・実地試験とすべて受験すると取得まで1ヵ月ほどかかる長丁場の試験になります。
ドローンの国家試験は、自動車の運転免許試験に例えられます。
技術を自動車学校に相当する登録講習機関で学べば学科試験の合格は容易です。
費用も講習費を含めれば20万円程度かかりますが、取得して許可を取れば夜間飛行、目視外飛行が可能などドローン操縦士として幅広く活動できるようになります。
詳しいドローン免許取得に掛かる費用や流れなどは、以下記事を参考にしてください。
民間資格とは、ドローンを製造・販売するメーカーやドローン操縦士の団体が独自に認定している資格です。
ドローンの代表的な民間資格は、以下が挙げられます。
・IAU認定資格
・DJI CAMPスペシャリスト
・測量:ドローンが空撮した画像を処理して測量する
・JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)
・DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)
資格によって難易度が異なり、初心者が3~4日講習に参加すれば取得できる資格から、一定のドローン飛行経験がないと取得できない資格もあります。
したがって、資格を取得する場合はどのレベルの資格か、資格取得までに必要な工程を確認しておきましょう。
2024年現在、ドローン操縦士には無資格でもなれます。
ただし、ドローン操縦の技術だけでなく航空法の知識を習得しないと、法規制に違反し、最悪の場合逮捕される可能性があるので注意が必要です。
ドローンの飛行に関する決まりは国土交通省の該当ページに詳しくまとめられているので、参考にしてください。
最後に、ドローン操縦士の平均年収や求人倍率などについて紹介します。
ドローン操縦士の仕事をしたいが、生活が成り立つのか心配な方は、参考にしてください。
職業情報提供サイト「jobtag」によると、ドローン操縦士の平均年収は453.8万円です。
これは、トラックドライバーの平均年収とほぼ同等です。
また、ドローン操縦士の平均年齢は44.2歳と若いですが、これは、まだドローン操縦士が新しい仕事のため、「経験を積んだ年配者」がほぼいないためといえます。
なお、これから物流にドローンが本格的に参入すれば、経験があるドローン操縦士の年収はさらに高まることが予想されます。
ドローン操縦士の求人倍率は令和3年度で1.62倍です。
需要に対して供給がやや少なめなので、レベルの高いドローン操縦士は高給でもいいからほしいという企業もあるでしょう。
なお、ドローンを検査や測量で使う企業は増加の一途をたどっているので、これからも需要は下がりにくいと考えられます。
さらに、物流にドローンが本格参戦すれば、ドローン操縦士の需要は一気に高まり操縦士の不足が起こるかもしれません。
その時にドローン操縦の技術があれば、有利な条件で転職できる可能性が高まります。
本記事では、ドローンの仕事や将来性、ドローン操縦士の仕事や必要な資格を紹介しました。
ドローン操縦士は年々、活躍の場を着実に増やしている職種です。
特に、物流業界はドライバー不足に長年悩んできたため、ドローンの活用が期待されています。
もし、ドローンが物流に使えるようになれば、ドローン操縦士の需要は一気に高まり、高い技術を持った操縦士は引っ張りだこになる可能性もあるでしょう。
ドローン業界はこれからも伸び続ける職種であるからこそ、国土交通省「登録講習機関」に認定されているドローンスクールを受講し、ドローン国家資格をいち早く取得してほしいと思います。