この数年、多くの企業がドローン配達の実証実験を始めました。
その理由はさまざまです。
主に運送業の担い手不足や山間部や離島の過疎化などがあげられます。
この問題をドローンを用いて解決しようとしているのです。
ここでは、ドローン配達の現状や取り組んでいる企業、その取り組みを紹介します。
ぜひ最後まで読んでください。
出典:(C)AMP
配達にドローンを活用した場合、効率よく配達ができます。
ドローンはトラックと違って上空を飛行します。
ゆえに、交通渋滞の影響を受けません。
また、トラックでは難しい山間部や離島への配達も効率よくおこなえます。
配達にドローンを用いれば、昨今の人手不足解消にもつながります。
とくに、2024年からはトラックドライバーの時間外労働に制限がかかります。
ゆえに、配達の効率化が求められるのです。
ドローンの需要はますます増えています。
ドローンによる配達において最大の課題の一つは、セキュリティ面についての懸念です。
人間の手を介さずに配達が可能という特性は、ドローンの大きな利点である一方で、それが逆にデメリットにもつながる可能性があります。
例えば、悪意を持つ第三者が存在するとしましょう。そのような人物によって運搬物が破壊されたり、ドローン自体が損害を受けるリスクが実際に存在します。
今のところ、荷物の破損や盗難といったリスクに対する確固とした対策はまだ確立されていません。
ドローンの損失はもちろん、重大な問題ですが、それ以上に重要なのは「顧客の荷物を確実に安全に届けることができるか?」という問題です。
荷物を安全に配達することは、運送業者の最も根本的な責務です。それが満足に遂行できないのであれば、ドローンを用いるという選択自体が見直しを要する問題と言えるでしょう。
ドローンで配達する際、GPSで飛行状況を把握できます。
それにも関わらず、ドローンの位置情報が正確に把握できないという問題が頻発しているのが現状です。
通信技術が5Gや6Gへと進化すれば、このようなトラブルも軽減される可能性が高まります。
しかしながら、現時点ではまだ実用化に向けて多くの課題が残されているというのが実情です。
ドローンの活用には便利さがある一方で、その運用は天候に大きく影響を受けるという課題も存在します。
例えば、トラックでの配達なら問題なくこなせるような天候でも、ドローンを利用した配達では障害となることがあります。その一つが風の影響です。
強風の中では、ドローンは制御を失い、飛ばされてしまう可能性があるのです。
また、雷雨が発生している場合は、ドローンが落雷に遭う危険性も無視できません。
このような理由から、ドローン配達は物流の安定性を維持するのが難しいというデメリットがあります。
これは、ドローン配達の有効活用に向けて克服すべき課題と言えるでしょう。
出典:(C)Resource Systems Group, Inc
ドローン配達は天候に左右されるのが弱点です。
とくに、強風時は注意が必要です。
風速5m以上でのドローン飛行は難しいでしょう。
また、雨天時も危険です。
ドローンには本体の熱を逃がすための隙間が多くあり、雨天時はその隙間から浸水して故障する可能性があります。
一般的な産業用ドローンの配達可能重量は5㎏です。
ドローンは飛行距離に限界があります。
1回の飛行での航続可能距離は2,30㎞です。
ドローン配達にはさまざまな課題があります。
しかし、心配いりません。
技術の進歩でそれらの課題は必ず解決できます。
現在のバッテリーで航続可能距離は2,30㎞ですが、ハイブリッドタイプの機体開発も進んでいます。
機体の重心を保つ機能、人間でいえば体幹です。
それも研究が進み、向上しています。
多少の悪天候でも配達可能なドローン機体も近い将来出てくるでしょう。
Dxを推進すれば、さらなる効率化が望めます。
伊那市とゼンリンの実証実験「INAドローン アクア・スカイウェイ事業」では、ゼンリンの3D地図を活用した場合、6.6kmの配達距離を10.3kmまで伸ばせました。
これからもドローン研究は続きます。
技術革新が質の良いサービスを提供してくれます。
ドローンの操縦は主に以下の4つのカテゴリーに分けられます。
ちなみに、ドローンを活用して宅配配達事業を実現させるにはレベル4飛行が不可欠です。
レベル1飛行 | 目視内かつ操縦飛行 | |
---|---|---|
レベル2飛行 | 目視内かつ自立飛行 | |
レベル3飛行 | 目視外かつ無人地帯 | |
レベル4飛行 | 目視外かつ有人地帯 |
ドローン操縦の国家資格は2種類あります。
一等無人航空機操縦士の資格を有していれば、前述した全カテゴリー操縦が可能です。
ドローン配達の実用化にはこのレベル4飛行が不可欠です。
二等無人航空機操縦士の資格を有していれば、レベル3飛行まではおこなえます。
ちなみに、二等無人航空機操縦士はレベル4飛行の資格は有していません。
空港周辺や人口過密地区などは国土交通大臣の許可や承認が必要です。
航空法では、飛行許可申請が必要な空域のドローン飛行を特定飛行と呼びます。
主に以下の状況がそれに該当します。
日本においては離島や山間部でのドローン配達が一部の地域で始まっています。
まずは、過疎化が進む地域で実績を作ります。
ゆくゆくは全国にドローン配達サービスを浸透させる計画です。
ECコマースで購入した商品がドローンで配達される日も遠くありません。
現時点でアメリカにおけるドローン配達は実証実験の段階です。
しかし、ドローンに関連する技術が成熟して商業利用のめどが立ってきました。
近い将来、自動車で配達してもらったり自ら店舗に足を運んだりしなくてもよくなります。必要な薬やテイクアウトの夕食などをドローンが宅配してくれるからです。
広東省深圳市で、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」がドローン配達サービスを開始しました。
今年6月時点の受注件数は2500件に上ります。
一部の地域でのドローン配達は始まっていますが、アメリカや日本のように浸透するのかは不透明です。
その理由は物流事情にあります。
中国では物流サービスが発達しています。
さらに人件費も低いため、新しい配達方法は大幅なコスト削減と効率化が求められます。
ゆえにドローン配達は現在の中国では浸透しない可能性があります。
現時点でのドローン配達は実証実験の段階です。
鉄塔、橋梁などのインフラ点検、測量、農業などの他分野商用化は進んでいます。
しかし、ドローン配達は未だに実証実験の段階です。
公表されている商用化配達は楽天が千葉県のゴルフ場でおこなっているサービスです。
そのサービスは軽食や飲み物をドローンで運ぶサービスです。
プレーヤーがスマートフォンアプリで商品を注文すると、クラブハウスからティーまでの距離をドローンが往復してくれます。
2013年11月に設立された千葉大学発のスタートアップ企業です。
ドローン専業メーカーでは国内唯一の上場企業であり、自律制御システムを独自開発しています。
その技術を用いた産業用ドローンの開発・製造・販売をおこなっています。
多くの企業がACSL製ドローンを用いています。
また、他社と共同開発やドローン宅配便の実証実験などもおこなっています。
次世代ドローンの研究開発を手がけるテクノロジースタートアップです。
コアテクノロジーは独自の構造設計技術4D GRAVITYです。
この技術は機体重心を最適化します。
それにより産業用ドローンの安定性、効率性、機動性といった基本性能を向上させます。
エアロネクストは前述したACSLとも提携しています。
2022年3月22日、4D GRAVITYを用いた物流専用ドローン「AirTruck」を発表しました。
これはACSLとの共同製品です。
また、国産初の量産型物流専用ドローンです。
セイノーホールディングスはヤマト運輸や佐川急便などの競合他社よりもいち早くドローン配達の実用化を進めてきました。
セイノーホールディングスは前述したエアロネクストと協業しています。
2021年11月1日、山梨県小菅村でこの2社はドローン配達の実装実験を開始しました。
その内容は以下のとおりです。
前者はドローンを利用したECコマースです。
後者は地域小売店をつないだ配送サービスです。
小菅村で実績を重ねた後、全国で816市町村(小菅村を除く)の過疎地域にこのサービスを展開していく計画です。
2020年5月20日、ANAホールディングスはエアロネクストと物流ドローンの共同開発で業務提携しました。
他にもセブンイレブンや調剤薬局大手のアイングループと提携し、ドローン配達の商用化を着実に進めています。
2020年12月、福岡市西区の能古島でドローン配達の実証実験をおこないました。
島民が日用品などを注文すると、能古島まで2,3㎞の距離をドローンが飛行して商品を配達します。
注文から能古島に品物が届くまでは約20分。
実証実験中に合計で約54回の商品をドローンで配達しました。
佐川急便は2025年度中にドローンによる配達サービスを実用化する方針です。
その計画を実行するためにドローン配達の実証実験も本格的に始めました。
今年度中に東京都青梅市の山間部で1カ月間の実証実験を始めます。
その内容はネットや電話で注文した日用品や医薬品をドローンで配達するサービスです。
配達可能重量は10㎏で、配達は最大で1日5往復します。
これまでもドローンで実証実験してきましたが、いずれも1〜2日間の短期間でした。
24年度には人口密度の高い都市部での実証実験に入ります。
そして、25年度にサービスを開始する計画です。
佐川急便に限らず、運送業者がドローン配送実用化を急ぐのには理由があります。
その理由は2024年問題です。
2024年4月1日からは多くの業種で時間外労働に制限が設けられます。
自動車運転業務も例外ではありません
原則として月45時間、年360時間が上限規定です。
日本の過疎地や離島はドローン配達を最も必要としています。
理由は以下の2点です。
1点目は若い世代が都市に流出してしまっていること、現在の担い手が高齢化していることです。
これまで地域の物流を担っていた人たちは想像以上に疲弊しています。
2点目は昨今のトレンド「カーボンニュートラル」です。
過疎地の宅配は配達先がまばらで、配達効率が悪いのです。
そのような場所は都市部に比べるとCO₂の排出が多くなります。
昨今は持続可能なビジネスモデルが求められるため、過疎地の配達は配達業者には悩みの種です。
前述した2点を解決するポテンシャルがドローン配達にはあります。
ドローン配達は医療弱者救済にもつながります。
高齢者や身障者は外出が困難で病院を受診できないケースが多々あります。
オンライン診察、電子処方箋、ドローン配達。
この3つを組み合わせれば、医療弱者を救えます。
しかし、日用品などの配達と違って医薬品の配達には厳しいガイドラインがあります。
以下の項目です。
多くの企業がドローンを活用して配達サービス維持のために奮闘しています。
近い将来、ドローンが我々の生活に欠かせない道具になります。
ここでは、企業の取り組みやドローン配達の現状について説明しました。
最後まで読んでくれてありがとうございます。