ドローンの速度はどのくらい?主要機種の最大速度や速度規制を解説

ドローンは一体どのくらいの速度が出るのか気になる方も多いと思います。

種類にもよりますが、新幹線よりも速い時速300km超えを記録したこともあるくらい、もの凄い速さで飛ばすことも可能です。

本記事では、DJI社から販売されている主要な空撮ドローンやレース用(FPV)ドローンの最大速度を紹介。

みなさんの気になるドローンの速度制限についても、法律の観点から徹底的に解説していきます。

DJI社の主要ドローンの速度

出典:Unsplash

市販されている一般的なドローンはどのくらいの速度が出るのか?

ホビードローンの約7割ものシェアを誇るDJI社が販売する人気ドローンの最大速度を比較してみました。

最大水平速度最大上昇速度最大下降速度
Inspire 394km(Sモード)28.8km(Sモード)28.8km(Sモード)
Mavic 3 Pro75.6km(Sモード)28.8km(Sモード)21.6km(Sモード)
Air 2S68.4km(Sモード) 54km(Nモード) 18km(Cモード)21.6km(Sモード)21.6km(Nモード)21.6km(Sモード)21.6km(Nモード)
Mini 3 Pro57.6km(Sモード) 36km(Nモード) 21.6km(Cモード)18km(Sモード)10.8km(Nモード)7.2km(Cモード)18km(Sモード)10.8km(Nモード)5.4km(Cモード)

水平速度はまっすぐ飛ぶ際の速度のことです。

これらの数値は風の状況により変化します。追い風であればより速い速度が出ますし、向かい風だともっと遅くなります。

DJI Inspire 3

出典:(C)DJI

映画やCMなどで使用されるプロ向けのドローン「DJI Inspire 3」。

さまざまな環境で撮影できる仕様になっており、カメラ性能はもちろんのこと、機体の安全性や撮影に役立つ機能がたくさん搭載された素晴らしい一台です。

機体のサイズも大きくとてもパワーの出る機体で、最大速度は94km。空撮ドローンのなかではもっとも速いドローンと言えます。

約90kmで飛ばせれば、速度を必要とする車の追い撮りも問題なく、まさにどんな撮影にも対応している機体です。

DJI Mavic 3 Pro

出典:(C)DJI

DJI社が販売するフラグシップ機「DJI Mavic 3」。

個人と業者の両方に愛用されている機体で、いま業務の現場でもっとも使用頻度の高いドローンです。

小型で持ち運び可能なサイズですが、最大約75kmもの速度が出るため、こちらで車を追い撮りすることは可能ですし、速度が原因で撮れない被写体はありません。

上昇も下降も結構な速度が出るため、リヴィールショットを含め、風景撮影でも映像に動きをつけることが可能です。

DJI Air 2S

出典:(C)DJI

DJI Air 2Sは1型CMOSセンサー搭載で、価格も10万円強で購入できるコストパフォーマンスに優れたドローンです。

お手頃価格にもかかわらず、カメラ性能はもちろんのこと、機体の性能も素晴らしく、上位機種のMavic 3シリーズと比べても機体性能では大差ありません。

主に個人向けのドローンですが、風景撮影でも動体撮影でもこなせる一台です。

DJI Mini 3 Pro

出典:(C)DJI

DJI社の軽量ドローンで、小型ながら初心者でも簡単にきれいな映像を撮れてしまう携帯性抜群の機体です。

重量が軽いこともあり、風の影響を大きく受けます。風の吹き具合によっては、速度の速い被写体に追いつけないこともあるため、動体空撮向けのドローンではありません。

安全性能も低いため、速度を出して数キロ先へ飛ばすのも慎重にならなければならないドローンです。

レース用(FPV)ドローンの速度

出典:Pixabay

DJI社の空撮機とは異なり、自作するレース機(FPV機)はものすごい速さで飛行が可能で、最大300kmを超える速度を記録したこともあります。

サーキットで高速で走る車を撮影したり、ロングレンジ(長距離)飛行するときに速度を出すことで、絵に動きのある素晴らしい映像が撮れるのです。

新幹線より速い300kmを超える速度も記録

年々、最大速度を更新しているFPVドローンですが、現時点では約360km(実際には約414kmとも言われている)を記録しています。

これは新幹線と同じかそれより速い速度で、個人で5万円ほどのパーツを組み立てただけでこれほどの速度を出せてしまうのです。

今後もより速度を追求するドローンユーザーもいるでしょうから、いつかはリニアを超える500〜600kmを超えてくるのではないでしょうか?

自作の必要がない「DJI FPV」でも最高140km出せる

DJI社が販売しており、自作する必要のないすでに完成したFPV機「DJI FPV」でも140kmを出せます。追い風ならもっと出て、170km近くまで出たこともあります。

ゴーグルをかけて、自身が鳥になったような感覚で時速100kmを超える速度で空を飛べる体験は、ぜひ一度はみなさんに経験してほしいです。

空撮機よりも操作が難しいので要注意ですが、ものすごい速度で木のスレスレを通過したりできるため、空撮機では味わえないスリルがあります。

ドローンの速度制限や規制

出典:Unsplash

ドローンを飛ばすには航空法を含めさまざまな法律が関わってきます。

飛ばせる場所や飛ばし方に厳しい制限があるのですが、果たして車のように「速度」に関する制限はあるのでしょうか?

速度に関する法律の制限はない

結論を書くと、日本ではドローンの速度に関する制限はありません

速度を規制したものは航空法を含めひとつもないため、何キロ出しても問題なし。

ただし後述するように、速度を出せば出すだけ危険度が高まり、大事故に繋がるおそれがあるため、そこは自制する必要があります。速度を出すと危険なのは車と同じです。

最高速度を出すことは少ない

ドローンは空撮機でも70km以上出せる機体は多いです。

しかし、長年空撮していても最高速度を出すことはほとんどありません。撮影ではまずありませんし、出すとしたら遠くへ飛ばして帰還させるときくらいです。

車や船を追い撮りするにしても、そこまで速い速度を出して走行・航行する被写体はなく、実際の飛行では70kmも出しません。

FPV機では100kmほど出すことはありますが、こちらも最大速度で飛ばすことはほとんどありません。日本は国土が狭く法律も厳しいため、なかなか速度を出して自由に飛ばせる環境がないのです。

ドローンで速度を出す際の注意点

出典:Unsplash

これまでの飛行経験から速度を出すときの注意点を解説します。

車と同じで、速度を出せば出すほど事故を起こしたときの被害は大きくなります。いくら障害物が少ない上空だからとはいえ、細心の注意を払って飛ばさないといけません。

ロケハンで障害物を確認

速度を出す出さないに関わらず、ドローンを飛ばす前は必ずロケハンをします

飛ばす範囲にある障害物を目視で確認し、衝突の危険がある箇所を確実に把握。これを怠ると事故に繋がるため必ず行うように。

速度を出しているときは急停止できませんし、センサー類も反応できないため、気づいたときには突っ込んでいます。目視で見づらい木の枝や電線、高圧線などは要確認です。

速度がそれなりに出ていれば大事故・大破損になります。事前にロケハンし、速度を抑えて飛ばすことが安全飛行には有効です。

バッテリー消費が激しい

速度を出すとバッテリーの減りが早くなるのは覚えておきましょう。

速度を出すにはそれなりのパワーを必要とします。パワーを使うということは、電力を消費しますから、高速で飛ばしていればそのぶん飛行時間は短くなります。

いつもよりバッテリー残量に意識を置き、 空撮機であれば30〜50%くらいで警告音が鳴るように設定し、早めに帰還させましょう。レース機やFPV機であれば、ゴーグル(OSD)に表示されるバッテリーの残量(電圧)に常に気を配り、早めの帰還が安心です。

操作が難しくカクッとなりやすい

速度を出すと映像を綺麗に撮るのが難しくなり、空撮機だとカクッとなりやすいです。

なるべく急な操作をしないようにし、ゆっくりと操作するのが基本です。

もし速度を出したときに綺麗に撮れない方は操作感度の値を変更しましょう。何度かテストフライトして感度を緩やかに設定しておけば、綺麗な映像が撮れやすくなりますよ。

まとめ

ドローンの速度について解説しました。

空撮機であれば最大約70〜90kmの速度を出せますし、レース機(FPV機)であれば100〜300kmを超える速度を出すことも可能です。

現状、速度に関する規制や制限はなく、法律を遵守して安全に飛ばすことで何キロで出しても問題ありません。

ただし、速度を出せば出すほど事故したときの被害や損害が大きくなるため、飛ばす際には事前のロケハンを含め最大限の注意が必要です。

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この記事を書いた人
ドローン操縦歴9年。航空法が改正される以前からドローン空撮をしており、現在も業務・趣味問わず毎週のように撮影しております。