ドローンによる事故発生時の対応は?実際の事例も解説

ドローンの普及と共に事故の件数も増えているのはご存じでしょうか。そこで本記事では、ドローンの事故発生時の対応や予防策を解説します。

ドローンは事故発生時に報告義務や負傷者救護義務もあるので、ドローンを実際に操縦する方はぜひ内容を押さえておきましょう。

ドローンによる事故発生時の報告事務について

出典:(C) 国土交通省「無人航空機の事故等の報告及び負傷者救護義務」

ドローンによる事故発生時の対処法などについて、国土交通省の通達などに基づき解説します。

  • ドローン事故では刑事・民事上の責任が発生
  • 国土交通省による事故・重大インシデントについての概要
  • 事故・重大インシデントの報告方法

ドローンを扱っていると、不意の事故に遭遇する可能性があります。そんな時のガイドラインも、国土交通省からは通達されているので必ず目を通しておきましょう。

特に「事故・重大インシデント」に該当する内容は、報告義務だけでなく民事・刑事などの責任が発生する場合もあるため要チェックです。

ドローン事故では刑事・民事上の責任が発生

ドローンで事故を起こした場合、民事・刑事の両方で責任を問われる可能性があります。意図的にぶつけた場合は当然として、例えば、故意でなくとも操作ミスや故障などが原因で相手にケガをさせてしまった場合は「過失傷害罪」にあたります。

●刑法

(過失傷害)

第209条 過失により人を傷害した者は,30万円以下の罰金又は科料

に処する。

出典:法務省

相手に重い障害が残った場合や、最悪死に至った場合などはさらに重い罰則を受ける可能性もあるので注意してください。

また、ドローンの接触により物を壊した場合は民事上の損害賠償が発生したり、業務上発生した事故については使用者責任が問われたりする場合もあります。ドローンの操縦には責任がつきまとうことを覚えておきましょう。

国土交通省による事故・重大インシデントについての概要

国土交通省からは、ドローンの事故の報告や負傷者救護が義務化されています。

この制度は、無人航空機(ドローン)に関する事故や重大インシデントが発生した際に負傷者を救護し、発生した日時・場所・内容などを国土交通大臣に報告しなければならないというものです。

事故や重大インシデントに該当する内容は以下の通りです。

事故・無人航空機による人の死傷(重傷以上の場合)・第三者の所有する物件の損壊・航空機との衝突または接触
重大インシデント・無人航空機による人の負傷(軽傷の場合)・無人航空機の制御が不能となった事態・無人航空機が飛行中に発火した事態・航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた時

出典:国土交通省 事故・重大インシデントについて

なお、単純な操作ミスでの墜落などは該当しません。該当するかどうか判断できない場合は、航空局などに問い合わせて確認しましょう。

事故・重大インシデントの報告方法

事故・重大インシデントが発生した場合は、ドローン情報基盤システム(DIPS 2.0) の事故等報告機能で報告します。DIPSは国土交通省によるドローンの機体登録・管理や事故報告などを包括的に行えるアプリとなっています。

事故内容によって報告先の官署が異なり、以下の通りです。

許可・承認を受けた飛行飛行許可・承認を発行した官署
許可・承認を受けていない飛行※カテゴリーⅠの飛行など飛行場所を管轄する官署

出典:国土交通省 事故・重大インシデントについて

何らかの事情でDIPSが使えない方は、事故等報告用フォーマットに内容を記載してメールなどで送ってもOKです。

ドローン事故を防ぐためのポイント

ドローン事故を防ぐためのポイントを以下の2点に分けて解説します。

  • ドローン事故の原因や墜落時の対応
  • ドローン事故を未然に防ぐポイント

ドローンを操縦するうえでは、事故が起こりやすい状態を知り、未然に防ぐための行動が重要です。自身がけがをしたり、他人にけがをさせないためにも、ドローン事故の原因や予防策を押さえておきましょう。

出典:(C) UnsplashNathan Dumlaoが撮影した写真   

ドローン事故の原因や墜落時の対応

ドローン事故が起こる際は、主に以下のような原因が考えられます。

  • 操縦スキルの不足
  • 日頃のメンテナンス・点検不足
  • 天候の変化や危険な場所での飛行
  • 電波障害が発生している

どうしても不測の事故が発生することはありますが、予防できるポイントも数多くあります。事故が起こりがちな原因を、飛行時の注意点として覚えておきましょう。

ドローン事故を未然に防ぐポイント

ドローンを事故を未然に防ぐには、主に以下の3つの観点を意識することが重要です。

  • 基本的な技術・知識の習得
  • 事前の整備・点検
  • 飛行場所・天候・環境等の確認

事前準備や確認をしっかりと行うことで、事故を起こす確率を下げることができるでしょう。ドローンを飛ばす前にはぜひ上記のポイントをチェックしてください。

基本的な技術・知識の習得

まずは基本的な操縦スキルやドローンについての知識の習得が必要です。無理な飛行はせず、安全な場所で飛行訓練を十分に行うようにしてください。

ドローン操縦スキルのアップには、目安として資格取得を目指したり、ドローンスクールを受講したりするのも有効です。

事前の整備・点検

ドローン本体に問題が無いか、バッテリーは充電されているかなど、事前の点検は十分に行いましょう。プロペラやモーターなどはドローンの飛行に直結するので、特に念入りに行います。

また、パーツが外れかけていると落下して事故やケガの元です。飛行前のメンテナンスは確実に行いましょう。

飛行場所・天候・環境等の確認

飛行場所の安全が十分に確保されているか、人が密集していないかなど場所の確認も必ず行ってください。事前に許可を得ていても、状況によって飛行を中断する判断も必要です。

また、場所に問題が無くても雨天や強風など、ドローンの飛行に影響を与えるような天候は事故の原因になります。ドローン本体の故障にも繋がるため、危険を感じる場合はただちに飛行を中止しましょう。

ドローンの実際の事故事例

出典:(C) UnsplashKenny Eliasonが撮影した写真   

最後に、ドローンが原因で起こった実際の事故事例について解説します。

  • 事例1:大分県で操縦訓練中に骨折の大けが
  • 事例2:福島県で走行中の電車にドローンが接触
  • 事例3:ドローンイベントでドローン落下により6人軽傷

上記以外にも官邸にドローンが落下したり、農薬散布中に家屋に衝突したりとさまざまな事故が毎年起こっています。令和5年度には事故や重大インシデントに該当する案件だけでも80件以上発生しており、非該当案件も含めれば300件以上です。

いずれの事例もドローンを操縦するうえでは決して他人事ではありません。自身もドローンを扱うという方は、同じような事故が起こらないよう改めて注意を徹底しましょう。

事例1:大分県で操縦訓練中に骨折の大けが

2023年7月14日、大分県九重町でドローンが電柱に接触し、落下した機体に触れようとしたところプロペラの回転で指の骨を骨折する事故が発生しています。

参照:産経新聞

令和4年の航空法改正でドローン事故の報告義務化されて以降、重傷を負って事故と認定された初めてのケースとなりました。

プロペラは高速回転しているため、ドローン墜落後も絶対に手を触れないようにしてください。

事例2:福島県で走行中の電車にドローンが接触

2023年7月27日、福島県を走るJR磐越西線にて走行中の列車にドローンが衝突して緊急停止する事故が発生しました。

参照:TBS NEWS DIGS

乗客と乗員にケガはありませんでしたが、電車の運転がストップし、さらに飛行禁止区域だったということもあり大きな事故に繋がる寸前となっています。

場合によっては脱線などの重大事故や死傷者が出る可能性もあるため、線路の傍などでドローンは飛ばさないようにしてください。

事例3:ドローンイベントでドローン落下により6人軽傷

2017年11月4日に、岐阜県大垣市で開催されていた「ロボフェスおおがき2017」というイベントで、ドローンが落下して男女6人が軽傷を負うという事故が発生しました。

参照:日本経済新聞

ドローンでお菓子を撒くというイベント中に発生した事故で、人が密集した上空をドローンが飛行することの危険性が分かる内容です。

公園など人がいる環境でドローンを飛ばす際はくれぐれも注意しましょう。

ドローンの事故発生時は報告義務あり!事故の予防も意識しよう!

出典:(C) UnsplashGeneroso De Biaseが撮影した写真   

本記事では、ドローンの事故発生時の対応や予防策について解説しました。

国土交通省からは、ドローンの事故や重大インシデント発生時の報告義務化が通達されています。民事・刑事上の責任を問われる場合もあるので、事故が起きた場合は速やかに管轄の官署に報告してください。

また、操縦スキルの向上だけでなく日頃の点検や飛行場所の確認など、事前準備で事故の確率は下げられます。ドローンを飛ばす際は、ぜひ入念な点検や状況確認で安全に操縦を行いましょう。


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この記事を書いた人
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