ドローンと言えば空撮を思い浮かべる方が大半だと思いますが、実は橋梁点検や鉄道点検、映画の撮影などビジネスシーンでも活躍しています。
ドローンは誰でも操縦できるため、人との接触や技術力不足による墜落など、事故も増えています。
そこで、飛ばす場所や方法など、多くの規制が設けられ、ドローンユーザーはこれら法規制を遵守しなければなりません。
この記事では、ドローンに関する5大規制を1つずつ詳しく解説していきます。
また、2022年~2024年に改正されたドローン規制も紹介するので、ドローンパイロットやドローン操縦士を目指している方などは参考にしてください。
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ドローンは、墜落や接触といった事故のリスクが高いことや、プライバシーの侵害に対する懸念があるため、さまざまな規制が設けられています。
1.飛ばす場所に関する規制
2.飛ばす方法に関する規制
3.免許(国家資格)に関する規制
4.機体の登録に関する規制
5.その他や条例・各種法律
ここからは、上記ドローンに関する5大規制の概要を詳しく解説するので、今後ドローンを活用する方は参考にしてください。
ドローンはどこでも自由に飛ばせるわけではなく、飛行可能な場所は法律や条例によって制限されています。
特にドローンには、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などの規制があり、その他にも地域ごとの条例が存在するため、違反を避けるためには飛行ルートを慎重に選ぶ必要があります。
航空法では、飛行が可能なエリアに対して『①許可が必要なエリア』『②許可が不要なエリア』『③飛行禁止エリア』の3つのカテゴリが設定されています。
許可が必要なエリアでは、国土交通大臣に申請し、許可が下りた場合に限り飛行が可能です。
具体的には、以下のエリアが該当します。
特に注意が必要なのは、人口集中地区(DID地区)です。
これは、住宅地やビジネス街など、人が多く集まる場所で、原則として無許可での飛行は禁止されています。
つまり、多くの都市部では無許可での飛行は難しいということになります。
さらに、警察や消防などが活動する緊急用務空域もあり、このエリアでは、飛行許可があったとしてもドローンの飛行は禁止されています。
一方で、航空法の規定に基づき、無許可で飛行できるのは上記に該当しない空域となります。
しかし、都市部の大部分がDID地区に該当するため、実際にドローンが自由に飛行できる場所は限られているということを覚えておきましょう。
航空法についての詳しい情報を知りたい方は、国土交通省「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」をご確認ください。
警視庁が定める『重要施設周辺における小型無人機の飛行を規制する法律(小型無人機等飛行禁止法)』では、特定の重要施設とその周囲約300mの範囲が飛行禁止区域として定められています。
この『特定の重要施設』に該当するのは、いずれも国にとって重要な役割を持つ以下の施設になります。
施設の真上だけでなく、周辺の空域も含まれるため、誤って規制範囲に接近しないよう十分に注意しましょう。
小型無人機飛行禁止法の詳しい情報を知りたい方は、「小型無人機等飛行禁止法の概要」をご確認ください。
航空法では、飛行方法に関する規制が設けられており、どこで飛行させる場合でも、それに従う必要があります。
飛行方法に関する規制は、大きく分けて「禁止・遵守事項」と「飛行にあたり承認が必要な場合」の2種類があるため、それぞれ詳しく説明します。
ドローンを飛行させる際には、場所にかかわらず守らなければならない規則がいくつか存在します。
例えば、以下の禁止・遵守事項が挙げられます。
ドローンによる事故は重大な損害や人命に関わる可能性があるため、これらの規則を遵守して安全な飛行を心がけることが求められます。
飛行させる場所に関わらず遵守する規定の詳しい情報を知りたい方は、国土交通省「無人航空機の飛行の方法」をご確認ください。
前述でも解説した通り、通常は禁止されている飛行方法でも、特定の条件下で国土交通大臣の承認を得ることで実施が可能となる場合があります。
以下のような飛行方法は、事前に国土交通大臣の許可を取得すれば、実施できる可能性があるので覚えておきましょう。※日時や特定のイベントなどが開催される際は、飛行許可が下りない場合があります
ただし、国家資格を取得して一定の条件を満たしている場合には、許可申請が不要または手続きが簡略化されることがあります。
2022年12月からドローン免許制度(国家資格化)が開始し、レベル1~レベル3までの飛行全てで、国土交通省への飛行許可申請が簡略化されるようになりました。
また、一等無人航空機操縦士の国家資格を保有していると、レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が解禁され、ドローン活用の幅を広げられるメリットがあります。
一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の違いは、レベル4飛行ができるか、できないかが異なります。
ビジネスなどでより高度な操縦技術が求められるパイロットは、一等無人航空機操縦士の国家資格取得がおすすめです。
さらに、2025年12月からドローン民間資格をエビデンスとした飛行許可申請が廃止されるため、今のうちに国家資格を取得することをおすすめします。
航空法に基づき、ドローンの機体は国土交通省への登録が義務化されています。
未登録のまま飛行させた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があるので注意が必要です。
それではここから、ドローン機体の登録に関する規制を詳しく紹介します。
100gを超える重量のドローンは、国土交通省への登録が義務となっています。
ドローン本体とバッテリーを合わせた重量が100gを超える「無人航空機」が対象で、ドローン(マルチコプター)だけでなく、ラジコン飛行機や農薬散布用ヘリコプターなども含まれます。
それぞれの機体について個別に登録が必要で、複数の機体を所有している場合はすべての機体に対して登録しなければなりません。
登録は、「ドローン情報基盤システム(DRS)」を通じてオンラインで申請するか、郵送で申請書を提出することで完了します。
一方で、100g未満の機体は「模型航空機」として扱われ、航空法の対象外となるため、登録の必要がありません。
さらに、以下のような場合には登録義務が免除されるケースも存在します。
これらの条件に該当し、国土交通大臣へ「試験飛行届出」を提出している場合は、登録が免除されます。
機体登録の詳しい情報を知りたい方は、埼玉県警察「ドローン等の飛行に関するルール」をご確認ください。
ドローンの機体登録が完了した後、各ドローンには個別の「登録記号」が割り振られ、必ず機体に表示しなければなりません。
機体の管理を適切に行うためには、登録記号の表示に関するルールを守る必要があります。
以下の指示に従い、明確で見やすい形で登録記号を表示しましょう。
登録記号は手書きでも問題ありませんが、見やすく、かつ長期間耐久性が保てるよう工夫して表示しましょう。
ドローンにおいて、リモートID機能の搭載が義務付けられており、この機能をドローンに内蔵するか、外付けの装置を使って搭載する必要があります。
「リモートID」とは、ドローンの情報を遠隔で確認できる仕組みのことを指し、以下のデータが含まれます。
これらの情報は電波を介して送信されるため、飛行中のドローンがどの機体であるか、受信装置を使えば即座に把握できます。
これにより、不審な飛行や危険な操縦を行う機体、未登録の機体を特定でき、ドローンの安全な運用が可能となります。
ただし、以下の条件に該当する場合には、リモートID機能の搭載が免除されることがあります。
航空法や小型無人機等飛行禁止法以外にも、ドローンの運用にはさまざまな法律が関係しています。
さらに、関連するガイドラインや規則にも従う必要があります。
また、これらの他にも規制があるため、他の法律やガイドラインの内容についてもしっかりと確認しておくことが重要です。
ドローンの操作やデータ通信では電波を使用するため、電波法を遵守しなければなりません。
通常、電波を利用する際には無線局の免許が必要ですが、特定の周波数帯や低出力の電波を使用する場合は免許を取得する必要はありません。
具体的には「2.4GHz帯で出力が10mW以下」の条件をクリアし、かつ「技適マーク」があるドローンは、無線局の免許なしで飛行が可能です。
ちなみに、大手メーカーのドローンの多くはこれらの条件をクリアしています。
なお、技適マークは技術基準適合証明を受けた製品に付けられるもので、ドローンを購入する際にはこのマークがあるかどうかを確認することが重要です。
ドローンに関する電波法や無線設備の詳しい情報は、総務省「1.ドローン等に用いられる無線設備について」をご確認ください。
ドローンを使った空撮の際には、総務省が提示している『ドローンによる撮影映像等のインターネット上での取扱いに関するガイドライン』をしっかりと守る必要があります。
SNSやYouTubeでドローン撮影の映像や写真を公開したいと考える方がいますが、インターネットに公開する際には、いくつかのリスクを考慮することが重要です。
ドローンは広範囲を空撮できるため、意図せず他人のプライバシーを侵害したり、個人情報を収集してしまう可能性があります。
例えば、ベランダの窓越しに室内が撮影されてしまったり、車のナンバープレートが映り込んでしまうことが考えられます。
これらの問題を防ぐためにも、総務省のガイドラインに基づき、以下の点に注意して撮影・編集し、インターネット上で公開しましょう。
ドローン関連の法規制は、各事業や新しい技術に伴い年々変化しています。
そこでここでは、2022年から2024年にかけて改正されたドローン規制を徹底解説します。
1.ドローン免許制度(国家資格化)の開始
2.機体重量100g以上が航空法対象に変更
3.国土交通省へのドローン機体登録の義務化
4.「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の改正
それではここから、改正されたドローン法規制を1つずつ詳しく紹介します。
2022年12月5日より、ドローン免許制度(国家資格化)が開始され、一等無人航空機操縦士・二等無人航空機操縦士の国家資格が誕生しました。
ドローンの操縦は国家資格がなくても、誰でも飛ばせてしまうのが現状ですが、ドローンビジネスの需要が年々増加している現在では、ドローン国家資格を保有していると仕事上で有利になります。
また、2025年12月からドローン民間資格による国土交通省への飛行許可申請が廃止される背景もあり、ドローン国家資格取得の重要性が高まっています。
ドローン国家資格では、引き続き国土交通省への飛行許可申請の簡略化が可能となっているので、今からドローン関連の資格を取得する方は一等・二等無人航空機操縦士の取得をおすすめします。
ドローン国家資格は、民間資格と異なり、独学での習得が難しいため、全国各地にあるドローンスクールを受講することをおすすめしています。
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これまで、航空法においては「機体重量が200g以上」のドローンが規制の対象とされていましたが、2022年に「機体重量が100g以上」に変更されました。
従来、200g未満の機体は飛行禁止区域や飛行ルールなど、航空法で定められた規制から除外されていましたが、今回の法改正によって、多くの小型ドローンが新たに規制の対象となっています。
100g未満の航空法の対象外になるトイドローンでも、高性能カメラを搭載したモデルも存在します。
誰でも気軽に始められるため、ドローン初心者の方や久しぶりに操縦する方などは、まずは100g未満のドローンを購入しましょう。
ドローンが誰の所有物であるか、また機体の安全性が確保されているかを容易に確認できるよう、国土交通省への機体登録が義務付けられました。
将来、街中で多数のドローンが飛行することを想定し、墜落や接触事故、危険な飛行などのトラブルが増加するリスクを抑えるために、この登録制度が導入されています。
登録によって、安全性が確認された機体だけが飛行できるようにし、事故が発生した場合でも所有者がすぐに特定できるため、管理責任の明確化が図られています。
2024年6月10日、国土交通省航空局から「無人航空機に関する規制の運用における解釈」が改正されました。
この解釈は、2015年12月に改正された航空法により、ドローン飛行に対する許可や承認が必要となった際に制定されたもので、これまでにも幾度か改定が行われてきました。
しかし、今回の改正は特に大きな変更が加えられたため、注目が集まっています。
今回の改正では、ドローンの飛行許可申請において、航空局が一貫した判断基準を示すためのガイドラインが強化されました。
これにより、行政書士やドローン運用者が航空局とのやり取りにおいて従来は曖昧だった、最新の共通理解が明文化され、新たに追記されています。
まとめると、申請や飛行に関連する法律用語や規制の解釈を明確にするための重要な資料となっています。
本記事では、ドローンに関連する5大規則を徹底解説しました。
また、2022年から2024年にかけて改正されたドローン規制の概要を1つずつ詳しく解説しています。
ドローンは、誰でも操縦でき、便利な反面で墜落や人との接触を始めとする事故のリスクが高いものになります。
また、他人の敷地や車のナンバーなどを映してしまうといった、プライバシーの侵害も懸念されています。
このような事故やプライバシー侵害を未然に防ぐために、ドローン5大規制が設けられています。
さらに、ドローン関連の法規制は、事業や新技術発展に伴い年々変化しています。
ドローン操縦歴が短い方やプロのパイロットでも、気づかないうちに法規制を犯してしまっている可能性があるため、ドローンを使う際は法規制をもう一度見直してから飛ばすようにしましょう。
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