ドローンスクール高知、岡山、山梨を運営するドローン合宿。国土交通省「登録講習機関」に認定されたスクールとしてドローン免許(国家資格)が受講可能です。

農業用ドローンの運用には免許が必要?必要な手続きを徹底解説!

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農業において作業の効率化や省人化が求められる中、農業用ドローンの活用が急速に進んでいます。しかし、いざ導入を検討すると「免許や資格は本当に必要なのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

実際には、農業用ドローンの運用に国家資格が必ずしも必要というわけではありません。ただし、使用するドローンの機体重量や飛行場所、運用方法によっては、特定のライセンスや技能認定の取得が求められるケースもあります。

さらに、農薬の散布を行うには、法律に基づいた手続きや安全基準をクリアしなければなりません。ドローンの飛行ルールや必要な手続き、技能認定の詳細を正しく理解しておくことが、安全で効率的な農業運用の第一歩となります。

本記事では、農業用ドローンの「免許の必要性」について、制度の仕組みから技能認定の流れ、費用、補助金情報まで詳しく解説します。

この記事でわかる内容
・農業用ドローンに免許(国家資格)は必要かどうか
・農業用ドローンの概要
・免許の代わりに必要な『技能認定(ライセンス)』の詳細情報
・農薬散布に必要な手続き

農業用ドローンに免許(国家資格)は本当に不要?

農業用ドローンの操縦に免許(国家資格)は本当に必要なのか疑問に思う方が多いと思いますが、結論から申し上げますと免許(国家資格)がなくてもドローンは飛ばせます。

しかし、ドローンの種類や飛行環境によっては「資格に準ずる知識や技術」が求められるケースがあります。特に、機体の重量が100g以上のものは「航空法」により飛行ルールが定められており、農業用ドローンのように大きくて高性能な機体では、その制限も厳しくなります。

また、2022年12月にスタートした国家資格「無人航空機操縦者技能証明制度」により、一定の飛行(例:有人地帯での補助者なし目視外飛行)には一等または二等の操縦ライセンスが必要となりました。農業用ドローンがこの対象に該当する場面もあり、状況次第では免許が必須になることがあります。(参照:無人航空機レベル4飛行ポータルサイト

加えて、農薬を搭載して散布を行う場合には、農薬取締法に基づいた「安全な使用」が求められ、自治体や関係機関から研修の受講を推奨されたり、散布実績の報告義務が生じることもあります。

そのため、「免許が不要」というのは正確には「すべての場面で不要ではない」という意味であり、実際の運用では法令遵守・安全確保の観点から、専門知識と技能を有することが強く求められます。

そもそも農業用ドローンとは?

農業用ドローンとは、農作業の効率化や精密化を目的として開発された無人航空機です。

従来は人手や機械によって行われていた作業、たとえば農薬や肥料の散布、作物の生育状況の観測などを、空中から自動または遠隔操作によって実施できます。

これらのドローンは、GPSやセンサー技術、AIによる画像解析機能を搭載しており、飛行ルートを自動で設定したり、散布量を調整したりすることが可能です。そのため、広大な農地でも短時間で正確な作業が行えます。

マルチスペクトルカメラ搭載のドローン画像
出典:SEKIDO

また、近年ではマルチスペクトルカメラを搭載したモデルも登場し、作物の健康状態を「見えない情報」からも把握できるようになっています。これにより、病害虫の早期発見や収穫時期の判断にも役立ちます。

農業用ドローンの導入は、省力化や人手不足対策だけでなく、収量の安定化や農薬の使用量削減といった面でも注目されています。今後のスマート農業を支える重要な技術の一つです。

免許の代わりに必要な「技能認定(ライセンス)」とは?

農業用ドローンの操縦には、自動車免許のような国家資格は不要ですが、一部の機体では購入や運用にあたって『技能認定(ライセンス)』が必要です。

特に、農林水産航空協会(農水協)の認定機や、DJI・クボタ製の農業用ドローンを使用する場合は、専用の教習施設で講習を受け、技能認定を取得しなければなりません。

農水協は、農業分野におけるドローン活用の安全性や効率性を高めるため、性能試験を行い、基準を満たした機体を「認定機」として認めています。

これらの機体を利用するには、農水協が指定する教習施設で技能講習を受ける必要があります。同様に、DJI・クボタの機体には、UTC(ドローン教育機関)による『農業ドローン技能認定証明書』が求められます。

技能認定は、安全性や信頼性の観点から重要であり、補助金制度の対象となるケースも多いため、導入前には機種と運用目的に応じて必要なライセンスを確認しておくことが大切です。

技能認定(ライセンス)取得にかかる費用と日数

ドローン資格の取得にかかる日数は、操縦経験の有無によって異なりますが一般的には、2日から5日ほどが目安です。

受講費用については、開催地や選択する講習コースにより異なりますが、概ね10万円〜30万円前後と考えておくと良いでしょう。

農業用ドローンは自動航行機能を搭載しているため、講習時間も比較的短く設定されています。

経験者であれば2日、未経験者の場合は3日程度のスケジュールとなっており、1人あたりの費用は12万円〜15万円が目安となっています。

技能認定(ライセンス)は補助金が使える

ドローンの技能認定を取得する際、多くの自治体や国の制度によって補助金を活用できるケースがあります。

特に、地域産業の活性化や人材育成を目的とした補助制度では、ドローンの操縦技術を学ぶスクールの受講費用に対して「人材開発支援助成金」や「地域活性化補助金」などの名目で支援が行われることがあります。

これらを活用することで、通常数十万円かかる講習や資格取得費用を、大幅に抑えることが可能です。企業や個人事業主であれば、条件を満たすことでさらなる優遇を受けられる場合もあります。

ただし、補助金の対象となるスクールや講座は限られており、事前の確認や申請が必要です。

ドローンの補助金や助成金をもっと詳しく知りたい方は、以下記事を合わせてご確認ください。

技能認定(ライセンス)の有効期間

農業用ドローンの技能認定資格には、有効期間が定められています。これは自動車の運転免許と同様に、定期的に技術や知識を確認するための仕組みです。

多くの認定制度では、ライセンスの有効期間は取得日から2年間とされています。

たとえば、2023年11月に資格を取得した場合は、2025年10月末までに更新手続きを行う必要があります。更新期限を過ぎると、認定の効力が失効し、再講習が求められることもあるため、十分な注意が必要です。

発行されたライセンスカードや認定証には、取得日が明記されているため、有効期限を把握する際の参考になります。更新を忘れないよう、スマートフォンのカレンダーなどでリマインドを設定しておくと安心です。

なお、更新時には簡単な確認講習や座学、実技の受講が求められることがあります。これは、安全運用の継続や最新の法令・技術に対応するために行われます。

農薬散布に必要な手続きはどのくらいある?

農業用ドローンで農薬を散布するには、事前にいくつかの重要な手続きを済ませておく必要があります。

以下では、ライセンス取得後から実際の散布までの基本的な流れと、散布前に行う3つの主要なステップを詳しく解説します。

農薬散布に必要な手続き

①機体登録
②国交省への飛行許可・承認申請
③飛行計画の登録

手続きは原則として「ドローン情報基盤システム(DIPS)」というオンラインサービスで行います。

それではここから、1つずつ詳しく解説します。

ステップ①機体登録

2022年6月以降、100g以上の無人航空機は登録が義務化されています。

未登録の機体は飛行できませんので、必ず登録手続きを済ませましょう。

※参考文献:無人航空機登録ポータルサイト

ステップ②国交省への飛行許可・承認申請

無人航空機を飛ばす際には、法律や地域ごとの条例により制限が設けられている場合があります。

対象地域での飛行が可能かを確認し、必要に応じて土地の管理者等から事前の許可を得る必要があります。

また、許可・承認の審査には一定の時間がかかります。余裕をもって申請を行いましょう。

国交省への申請について
・申請の目安:飛行予定日の少なくとも10営業日前までに提出(平日換算)
・注意点:書類に不備があると、追加対応でさらに日数を要するため、理想的には飛行予定日の3〜4週間前に申請しておくことが推奨されます。

ステップ③飛行計画の登録

実際に飛行するには、事前に「いつ・どこで・何を飛ばすか」を国土交通省に届け出る必要があります。

この手続きにより、航空機との衝突リスクを回避し、安全な飛行が可能になります。農薬散布を行うたびに、その都度の登録が求められます。

まとめ

本記事では、農業用ドローンに免許(国家資格)は必要なのかを徹底解説します。

また、免許の代わりに必要な『技能認定(ライセンス)』の詳細やドローンによる農薬散布で必要な手続きについても詳しく紹介しています。

農業用ドローンの操縦には、必ずしも国家資格が必要というわけではありません。

しかし、航空法や農薬取締法といった関連法令を遵守するには、一定の知識や技能の習得が不可欠です。特に、安全性や正確性が求められる場面では、技能認定を取得しておくことが強く推奨されます。

また、自治体によっては補助金制度が用意されており、ライセンス取得にかかる費用を抑えることも可能です。

ただし、有効期間や更新手続きにも注意が必要であり、計画的な運用が求められます。

農業用ドローンは、今後のスマート農業を支える重要な技術のひとつです。法令や制度を理解したうえで、正しい知識とスキルを身につけ、安全かつ効果的に活用していきましょう。

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この記事を書いた人
ドローン合宿コラムサイト専属の女性ライター。ドローン関連のお仕事に6年間以上携わっています。また、ドローンショーが好きで定期的にイベントを見に行きます。ドローンに関する情報をいち早く発信致します。