天候に大きく左右されるドローン飛行ですが、果たして雨のなかを飛行させても大丈夫なのでしょうか?
多くの人が気になる雨天時のドローン飛行について、機体の安全性や法律の観点から、飛行しても問題ないのか解説していきます。
さらにドローンが雨に濡れたときに故障しないよう、多くの操縦者が実践している対処方法も伝授。
現在は防水対応のドローンも販売されていますので、降雨時にも飛ばせるドローンを気になる人は最後まで要チェックです。
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結論から書くと、雨のなかドローンを飛ばすのはNGです。
ドローンは電化製品で防水対応しておらず、故障の原因になります。また、航空法の飛行マニュアルや国土交通省のガイドラインにも、雨での飛行は制限される旨が記載されているため、飛ばすのはやめましょう。
具体的に雨天時の飛行を避けるべき理由は以下3つです。
上記のことをひとつずつ解説していきます。
ドローンはバッテリーによって駆動する電化製品です。
電化製品が水に弱いのはご存知のとおりで、水分が機体内部の基盤にまで達すると、墜落したり誤作動を起こす可能性が高まります。
例えば、雨のなか飛行させていて問題なくても、突然電源がOFFになり、そのまま墜落することが考えられるのです。
機体内部の状態を確認できないため、防水対応ではないドローンを雨のなか飛ばすのは、安全の観点から絶対にNGなのです。
実際に雨のなかドローンを飛ばしたことのある人は多く、無事に飛行させれた経験がある人は結構います。正直なところ雨のなかでも普通に飛びます。
しかし雨が降っているときには風が吹いていたり飛行環境が悪いことが多いです。悪条件が重なることで、墜落のリスクは高まるため飛行は避けたほうが賢明です。
ほかにも水滴がカメラに付着することにより、進行方向や機体周辺の状況を確認できなくなることも。水分がセンサーに付着すれば、誤作動を起こし、意図しない操作が起こることも考えられます。
このような事態を避けるためにも、雨が降るなかドローンを飛ばすのはかなりリスクの高い飛行なのです。
雨のなかのドローン飛行は法律によって直接は禁止されていません。
ただし、国土交通省へ飛行許可・承認申請をしている人は、申請する際の「飛行マニュアル」のなかに以下の記載があるため、雨天時の飛行は事実上禁止されています。
ドローンを飛行する際には、ほとんどのケースで国土交通省への飛行許可・承認申請が必要になります。そして許可を受けたとしても、申請時の飛行マニュアルを遵守する必要があり、上記の内容を守らなければなりません。
つまり、飛行許可・承認を受けた人は、雨のなかでの飛行はもちろんのこと、雨が降りそうな場合の飛行も禁止されているのです。
また、たとえ申請の必要がない場所や飛ばし方で飛ばす場合にも、国土交通省は雨のなかでのドローン飛行は推奨していません。
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飛行中に雨が突然降ってくることも考えられます。
前述したように、ドローンは電化製品で防水対応していませんので、そのまま放置しておくと故障してしまう可能性があり、濡れたときには適切な対応が必要です。
万が一、機体が濡れた場合には具体的に以下の順番で対処しましょう。
もし飛行中に雨が突然降ってきたらドローンを即帰還させ、すぐに電源を落としてバッテリーを抜きます。
水に濡れた状態で電源が入ると、基盤が壊れて二度と電源がつかなくなる可能性もあるので、濡れた状態でドローンの電源がONにならないようバッテリーを外すのです。
たとえ機体表面の水分をすべて取り除いたとしても、乾燥させるまでは電源をONにしてはいけません。
バッテリーを抜いたら、機体に付着している水分を完全に拭き取ります。
ひとまず機体の表面に付着している水分をタオルなどで拭き取りますが、ジンバルカメラの箇所が拭き取りづらいので、そこはティッシュなどを使って入念に拭き取りましょう。
次に機体内部ですが、これは分解しなければわからないため、基本的にドローンを乾燥させることで対処します。
湿度の低い場所で24時間以上ドローンを置いておき、徹底的に乾燥させます。見た目は大丈夫そうでも、内部は湿っている可能性があるため、必ず24時間以上は電源を入れることなく乾燥させておきましょう。
次回飛行させる際には、必ずドローンの動作確認を行います。
墜落しても大丈夫な場所を選び、ドローンを目視できるところでさまざまなスティック操作を行い、挙動や問題ないか、音は正常か確認します。
少しでも問題があれば即着陸させ、修理に出したり、新品に交換しましょう。
一度濡れたドローンは、そのときは問題なくても、いつ墜落や誤作動を起こすかわかりませんので、その後の飛行は要注意です。
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雨が降るなかでも飛行可能な防水対応のドローンも存在します。
ただし、それらのドローンは産業用ドローンと呼ばれ、映像や写真撮影が目的のドローンではありません。災害時の捜索や調査、点検など、過酷な条件で飛行させることを前提に製造されたドローンであり、購入金額も高くなります。
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DJI Matrice 30(M30)は、DJI社が発売した耐候性に優れたドローンです。
極端な気象条件にも対応できるよう設計されており、激しい雨や強風、高地、さらには氷雪の条件でも飛行できます。これはDJIが進化させた防水シールによるもので、IP55の防塵・防水評価を持っており、雨のなかでも確実に飛行させられます。
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SOTEN(蒼天)は、株式会社ACSLが開発・販売している国産の小型空撮ドローンです。
防災、点検、測量など、多様な分野での活用を想定しており、飛行データや撮影データ、通信などに対して厳重なセキュリティが施されています。
防水仕様ではないため、基本的には雨天時の飛行は推奨されません。しかし、保護等級IP43相当の防塵・防水性を持つため、故障しにくい構造になっています。これにより、突発的な雨などで濡れてしまった場合でも、故障のリスクを軽減することが可能です。
PowerEgg XはPowerVision社が製造するドローンで、最大の特徴は防水性能です。
雨天時や水上での使用が可能で、「Wizardパッケージ」には防水アクセサリー(防水ケースと着水フロート)が含まれていて、これによりドローンは水上からの離陸や着水が可能となります。
激しい雨のなかや水上イベント、海上救助作業などさまざまな状況でのパフォーマンスが可能なのです。
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雨が降る状況でのドローン飛行について解説しました。
電化製品であるドローンには防水性能はないため、雨のなか飛行させると故障の原因になり墜落の危険もあります。
国土交通省への申請時に使う飛行マニュアルにも「雨のなかでは飛行させてはならない」と記載があるため飛行は基本的にNGです。
雨のなかで飛行させるには、防水対応の産業用ドローンを使用し、航空法を遵守したうえで飛ばしましょう。