2023年、NTTと東京大学は、「ドローンの航法精度向上のためミリ波RFIDタグ」を世界で初めて開発したと発表しています。
本記事では、当該ニュースとRFIDの基本情報について解説します。物流面などでドローンを活用しやすくなるテクノロジーなので、ぜひチェックしてみましょう。
まずはミリ波RFIDの前提となる、「RFID」について以下の3点を解説します。
RFIDとミリ波RFIDはどちらも電波という点では同じですが、同一のものではありません。「RFIDがそもそも何かわからない」という方は、本項をチェックしてみてください。
「RFID」とは「Radio Frequency Identification」の略語で、電波を発するRFIDタグを読み取る機能を指します。RFIDをスキャンしてデータを読み取りますが、バーコードのようにタグを探して読み取らなくても、電波が届く距離であれば瞬時に読み取れるのが特徴です。高速で複数のタグを読み取れるため、物流倉庫などで荷物の大量検品やレジでの読み取りなどで活用されます。
また、タグが直接見えない位置にあったり、タグの表面が汚れていたりしても電波が発せられていれば読み取れるため、環境にも左右されにくいのが利点です。
RFIDは無線機器に該当するため、電波法で規制されています。ただし、電波の出力によって申請の要不要が分かれます。電波出力が251mW以上のRFIDリーダーを使用する場合は、各総合通信局にて電波利用申請を行って下さい。
逆に電波出力が251mW以下であれば申請が不要ですが、出力が必炒め読み取り範囲が狭くなるなどのデメリットもあります。
また、RFIDはいくつかの周波数帯が存在し、特に「UHF帯」と呼ばれる帯域のRFIDを使用する場合は国によって使える周波数が違います。日本の製品でそのまま海外のRFIDタグを読み取れるわけではない点は覚えておきましょう。
RFIDは倉庫などの入荷検品で活用されることが多いですが、他にも身近な例としては以下のようなものがあります。
どれも見かけたことのある方は多いのではないでしょうか。大手アパレル「ユニクロ」のレジでは、購入した商品をカゴごとレジに置くと瞬時に価格が表示され支払いができます。
これはRFIDタグをレジが読み取って料金を表示しているのです。
同じ原理で、一般的な店の入り口に防犯ゲートが設置されていることがあり、未会計の商品を持って外に出ようとするとブザーが鳴ることがあります。
こちらは、RFIDを読み取るとゲートから音が鳴るように設定されているためです。上記のように、日常生活の至るところでRFIDは活用されています。
RFIDの仕組みを踏まえて、ミリ波RFIDを活用したドローンの航法精度向上に関するニュースを以下3点解説します。
ニュースの内容が気になる方はこちらも確認してみてください。また、各公式ホームページでの原文は以下のリンクを参照しましょう。
2023年10月、東京大学とNTT「世界で初めてドローンの航法精度を向上するミリ波RFIDタグを開発」したと共同でプレスリリースしています。
これは、「ミリ波」と呼ばれる高速で大容量通信に向いた電波を用いたRFIDタグを開発したことで、ドローンの飛行精度の向上に繋がるという内容です。
ミリ波は天候など周囲の環境の影響を受けにくいという特性があるため、将来的に情報把握が困難な地域や、災害地域などでも安定して物資運搬や情報収集が行えることが期待されます。
なお、ミリ波はスマホ「5G」における通信技術などにも活用されており、近年日常的にも使われているテクノロジーとなっています。
ミリ波RFIDタグにより、読み取る際に天候などの周囲の環境の影響を受けにくくなります。現在のドローンはカメラ映像によ画像認識に大きく依存しており、夜間や雨天時など画面を確認できないと飛行精度が著しく落ちるのが難点です。
しかし、ミリ波RFIDを活用することでより周囲の情報を把握しやすくなり、救助活動や物資運搬などの面で大きな効果が期待されています
ミリ波は電波なので、RFIDのようにミリ波を活用した無線機器を扱う場合は電波法において規制があります。
周波数帯によっても異なるため、申請が必要な場合はまずは総務省に問い合わせるのが良いでしょう。
本記事では、NTTと東京大学が「ドローンの飛行精度向上に向けたミリ波RFIDタグを世界で初めて開発」というニュースについて解説しました。RFIDは私たちに身近でも活用されるテクノロジーで、電波を発するタグを広範囲かつスピーディに読み取れるのが利点です。
ミリ波と呼ばれるスマホの「5G」などにも活用される電波をRFIDに活用することで、ドローンの飛行精度向上に繋がるとされています。今後人命救助や物資運搬などの現場で、より効率よくドローンが運用できる日が来るのではないでしょうか。