ドローンとラジコンときくと、どのようなイメージをお持ちですか?
ドローンとラジコンは同じじゃないの?
と思われる方もいると思います。
ドローンとラジコンは似ているようで、性能で大きな違いがあります。
まずは、ドローンとラジコンの定義についてみていきましょう。
ラジコンの定義は「ラジオコントロール」の略です。ラジコンは無線を使ったシステムで、様々な種類の無線や方式などがあります。
ちなみに、「ラジコン」や「ラジコンヘリ」「ラジコンカー」という方が多いですが、「ラジコン」が登録商標であることをご存じですか?
歴史をたどると、玩具メーカーの増田屋コーポレーションが、1955年に無線操縦可能なおもちゃに対して「ラジコン」と命名し、販売を開始しました。
ラジコンは増田屋コーポレーションの商標ですので、本来はラジコンに似た玩具を、増田屋の許可なく「ラジコン」として販売することはできません。
ラジコンに似た玩具を販売するメーカーとして、タミヤがあります。
無線操縦できるミニカーを、タミヤでは「Radio Control」の頭文字をとって、RCと命名しています。
ドローンの定義は、航空法によって定められています。
航空法におけるドローンの位置付けは「無人航空機」です。
航空法第11章の規制対象となる無人航空機は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(100g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」です。いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
引用:国土交通省より
注意点として、2022年5月までは200g未満のドローンの重量は航空法の対象外でしたが、2022年6月に法改正がありドローンの重量が100g未満に引き下げられました。
ドローンの法改正は頻繁に更新されているので、注意が必要ですね。
ドローンと一言でいっても、「トイドローン」と呼ばれる1万円未満の機体、測定機器や大型カメラを搭載した「産業用ドローン」、速く飛ぶことを目的とした「レーシングドローン」、軍事目的で使われる「軍用ドローン」まで、多くの種類があります。
言葉の定義からだと、ドローンとラジコンは同じであると解釈することができます。
言葉の定義だとドローンとラジコンの違いが、わかるようでわからないですね。
性能面からみたドローンとラジコンの大きな違いは「自律性」です。
ラジコンもドローンもプロポを使って操縦しますが、ラジコンの場合はすべてを手動で操縦する必要があります。
ラジコンの基本操作はホバリングですが高度な技術が必要なため、誰でも簡単に操縦できるものではありません。
ドローンは種類にもよりますが、GPSや電子コンパス、気圧センサー、加速度センサー等が搭載されており、手動で操縦しなくても操縦することができます。
「回転の仕組み」の違いもあるため、みてみましょう。
ドローンには4枚羽のプロペラがあります。
それぞれのプロペラの回転方向が異なり、プロペラの回転数を変えることで安定したホバリング、多方面へスムーズな移動が可能です。
一方ラジコンは、中央にある大きなプロペラ回転とテール部分にある小さなプロペラの回転です。中央とテール部分の回転方向を逆にすることでバランスを取っています。
それぞれのプロペラの回転数を変えて移動するドローンと違い、ラジコンは方向転換するためにプロペラを傾ける必要があります。
つまり、ドローンはラジコンの進化系で「自律性」に優れているといえますね。
UnsplashのWilliam Bayreutherが撮影した写真
ドローンとラジコンは、プロポ(送信機)を使って遠隔操作で飛行させることは共通しています。
定義で説明したように、ドローンもラジコンも「無人航空機」に分類されるため、航空法が適応されます。
たとえば、「150m以上の高さの空域」「空港周辺」「人口集中地区」などの特定区域の飛行が制限されます。
さらに、「夜間飛行」「イベント上空飛行」「目視外飛行」などの特定の飛行方法は国土交通大臣の承認が必要です。
また、ラジコンとドローンのほとんどはリチウムイオンバッテリーで動いています。
1994年に登場したリチウムイオンバッテリーは、高容量で放電能力があり、従来のバッテリーと比較すると軽量ということで、電動飛行機のバッテリーで重宝されるようになりました。
非常に便利なバッテリーですが、取り扱いを間違えると発火や爆発する危険があり、取り扱いには充分注意する必要があります。
UnsplashのMaël BALLANDが撮影した写真
ドローンとラジコンだとどちらが優れているといえるのでしょうか?
農薬散布から比較してみましょう。
農薬散布用のラジコンヘリにヤンマー産業用無人ヘリコプター「YF390AX」があります。
メリットとして、「作業料金が単位面積であり、料金がわかりやすい」「1回の飛行で広大な面積の散布ができる」「業者に依頼するだけで散布を終わることができるので、手間がなく楽」などがあげられます。
農協や民間企業が毎年時期を決めて散布を行っているので、業者に外注するのが通例です。
デメリットとして、「操縦がむずかしい」「農薬散布の日が指定できない」「機体が500万以上と高価、散布面積が広いと高価」「飛行騒音が大きい」「機体が大型で重量があるため、3人以上の人手が必要」などがあげられます。
ほとんどの地域の農薬散布時期は一致していることが多いため、業者への依頼が殺到し、希望日に農薬散布できる保障はありません。
では、ドローンをみてみましょう。
農薬散布用のドローンには日本製の「飛助MG」があります。
メリットとして、「狭い圃場や複雑な地形の散布が可能」「一機購入すれば自分のタイミングで散布できる」「飛行騒音が小さい」「機体が100万からなので、ラジコンヘリと比べると安い」「重量が軽いため一人でも取り扱いが可能」「操縦が簡単で安全性の高い」などがあげられます。
一番のメリットは、自分の好きなタイミングで農薬散布が行えることです。
業者にお金をかけて頼むこともなく、好きなタイミングで農薬散布ができます。
さらに、GPSとセンサーが搭載されているため、誰でも簡単に飛ばすことが可能です。農業に携わるご老人でもゆっくりと操作ができます。
ちなみに、ラジコンと同様に、農業用ドローンでの農薬散布も散布代行サービスが存在します。農業用ドローンでの代行散布サービスも、作業料金が単位面積で決められてます。価格も安価で、飛行時の申請なども代行業者が行ってくれるので、ドローンの操縦に不安がある方は、代行サービスを活用することができます。
デメリットとして、「バッテリーの関係で一回の飛行で散布できる範囲が10分程度と少ない」「作地面積によっては、外注した方が安い」などがあげられます。
農薬散布にラジコンヘリとドローンどちらを購入するか検討するときは、「作地面積の広さ」が判断基準になるといわれています。
しかし、ドローンによりタブレットやスマートフォンから簡単に操作することができ、勝手に農薬散布をしてくれるという「楽さ」が魅力となり、ドローンによる農薬散布の方がラジコンより注目されています。
ちなみに、農業用ドローンはスマート農業の推進として助成金制度を国や自治体が実施していることがあります。
制度を活用するための申請を行い、認可されると、機体購入費用の約9割を補助される場合もあり、100万の農業用ドローンでは約10万円で購入できるかもしれません。
機体の購入費用を抑えることができれば、維持費を含めても、代行サービスを使い続けるよりも安価になることが考えれます。
農業におけるドローンの存在は欠かせないものになっていますね。
ドローンとラジコンの違いをスマート農業から紹介しました。
私たちのより身近な日常で比較してみましょう。
もし、子供にラジコンかドローンを購入するとしたらどちらをプレゼントしますか?
私は安全面を考慮して「自律性」に優れたドローンを購入したいと考えています。
もちろん、すべて手動で操作するラジコンは子供を夢中にさせるでしょう。
ドローンも完全に安全というわけではありません。
ドローンを子供のプレゼントで購入したいけど、どのドローンを購入したらいいかわからない方に向けて、おすすめのおもちゃドローン3選を紹介します。
「Holy Stone HS170」は、重さわずか41gのおもちゃドローンです。
4,280円(税込)という低価格ながらプロペラガードが付属しており怪我をするリスクが低く、緊急停止・ヘッドレスモードなど基本的なドローン機能が搭載されているので、子供が安心して遊ぶことができます。
また「Holy Stone HS170」は頑丈です。
子供にありがちな「すぐにぶつけてドローンを壊してしまった」というアクシデントが少ないです。
万が一、ドローンが壊れても他のドローンに比べ安価のため、親の負担が減ります。子供に思いっきり遊んでほしい親心を叶えてくれるドローンです。
「Holy Stone HS170」がはじめてのドローンだったという方は多いので、子どもへのプレゼントに最適です。
ただし、空撮はできないため注意が必要です。
室内で遊びたい方におすすめのおもちゃドローンです。
「LEGGERO GB180」は日本のラジコンメーカーである、ジーフォースが開発したカメラ付きのおもちゃドローンです。
12,320円(税込)とカメラ付きドローンとしては安い価格設定ですが、4K写真・2K動画の撮影が可能という優れたスペックを備えています。
さらに、重量わずか60gで、パスポートサイズなので持ち歩きが便利です。
子供の相棒のような存在になりそうですね。
自動ホバリング機能搭載、離陸も着陸もワンキー操作で可能、プロペラガードが付属しているので、初心者でも安心してドローン飛行ができます。
ドローン空撮に興味のある子供へのプレゼントにおすすめです。
出典:(C) RYZE
「Tello」は世界一楽しいドローンを作るという想いで設計されました。
「Tello」は12,980円(税込)とお手頃な価格ながら、初心者にも扱いやすい高性能のトイドローンです。
ただドローンを飛ばすだけでなく、プログラミングもできるため幅広い年齢でまで楽しむことができます。
重さはわずか80gで航空法の規制を受けません。
飛行の安定性が高く、操縦のしやすさが魅力となっています。
初めての方でも安心して操縦することができ、屋内で飛ばすことも可能です。
写真と動画撮影も可能で、iPhoneやiPadなどから簡単に操作することができます。
高品質映像プロセッサーが搭載されているので、きれいな写真を撮影することができます。
子供よりも大人が夢中になりそうですね。
いかがでしたか?
ドローンとラジコンの共通点、相違点について紹介しました。
知っているようで意外と違いについて知らなかった方も多いのではないでしょうか?
ドローン、ラジコンはそれぞれに魅力があります。
航空法の定義でいうとドローンとラジコンは大きな括りにまとめられますが、性能で違いがでます。
ドローンとラジコンの違いについて農業分野で紹介しましたが、他の分野でもお互いが大いに活躍をしています。
子供のプレゼントに、ドローンやラジコンを検討されている方は多いと思うので、ドローンとラジコンどちらにしようか検討されている方は本記事を参考にして頂けると幸いです。
今後も、ドローンとラジコンの発展が楽しみですね。
最新情報をこれからも発信していきます。