ドローンを使用して事業(個人事業主を含む)をしている方は、購入したドローンを経費として計上する際に「減価償却」をする必要があります。
一定額のドローンは一括で計上するのではなく、原則、減価償却費として耐用年数に応じて毎年少しずつ経費として処理します。
本記事ではそもそも減価償却とは何なのか?また、減価償却する際の耐用年数や実際の計算方法をわかりやすく解説していきます。
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減価償却とは、資産(ドローン)の取得にかかった金額を耐用年数で分割し、複数年に渡って経費計上することを指します。
対象となるのは、取得した金額が10万円以上、耐用年数が1年以上のもの。業務で扱う多くのドローンは取得に10万円以上かかるため、一括で経費計上するのではなく、減価償却をする必要があるのです。
具体的には、100万円で購入したドローンの耐用年数が5年とした場合、年間20万円(100万円÷5年)を減価償却費として計上し、これを5年間続けるということです。
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10万円以上の資産(ドローン)は原則的として減価償却を行います。
ただし、10〜20万円未満の場合は「一括償却資産」、30万円未満は「少額減価償却資産の特例」が適用され、一括で経費計上することも可能です。
10万円未満 | 経費(一括) |
10万円以上 | 減価償却 |
10万円以上20万円未満 | 一括償却資産 |
30万円未満 | 少額減価償却資産の特例 |
取得金額が10万円未満のドローンは、購入した期(年)に一括で経費計上します。
経費にする際の勘定科目は「機械装置」や「器具備品」などを使うことが一般的ですので、そちらの欄に取得金額を入力すればOKです。
ドローンの取得金額が10万円以上のものは、取得金額とドローンの耐用年数に応じて一括ではなく、資産として複数年に渡り減価償却を行います。
10万円以上かつ20万円未満のドローンは「一括償却資産」の特例を利用できます。
この一括償却資産は、ドローンの取得価額を3年間で均等償却できるものです。これは企業の規模に関わらず利用でき、事前の届け出も必要ありません。
「少額減価償却資産」の特例を利用すると、30万円未満のドローンを取得年度に全額償却できます。
対象となるのは青色申告を行う中小企業や個人事業主で、取得時期によっては従業員数も限定されるため、国税庁のホームページなどで最新情報の確認が必要です。
特例を利用するには、以下の方法での申告が求められています。
少額減価償却資産の特例は、期間が定められていますが、これまで延長が繰り返されています。さらに延長することや、特例が廃止になることも考えられるため、利用を考える場合は最新の情報を確認することが望ましいです。
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空撮用ドローンの耐用年数は「5年」です。
国税庁の公式ホームページで以下のように言及されています。
「器具及び備品」の「4 光学機器及び写真製作機器」に掲げる「カメラ」に該当し、その耐用年数は5年となります。(引用:空撮専用ドローンの耐用年数|国税庁)
農業で使用される農薬散布用のドローンは、農機具と同じく機械装置の「農業用設備」に該当することから、一般的に耐用年数は7年」。また、運搬用であれば機械装置の「運輸に附帯するサービス業用設備」に該当し10年で計算します。
農薬散布用ドローンや運搬用ドローンは、国税庁の公式ホームページで言及されていないことから、実際に経費計上する方は税理士などに相談すると確実です。
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減価償却の計算には主に「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。
定額法 | 固定資産の取得価格を耐用年数で割った額を、毎年一定額として減価償却する方法 |
定率法 | 固定資産の帳簿価額に一定の率(定率)をかけて、毎年の減価償却額を計算する方法。初年度の減価償却額が大きく、年々その額は減少していく |
定額法は、シンプルで計算が簡単。毎年の負担が均等であるため、予算策定や予測がしやすいメリットがあります。しかし、初年度の減価償却費が定率法と比べて少なく、税効果が小さい場合があることがデメリットです。
定率法は、初年度の減価償却費が多いため、税金の節税効果が高まる一方、後年度の減価償却費が減少するため、経年による利益の変動が生じやすいです。あとは計算がやや複雑なのがデメリット。
例: 500万円で購入したドローンの耐用年数が5年とします。
◾️定額法
年間の減価償却費 = 500万円÷5 年=100万円
このドローンの場合、毎年100万円を5年かけて減価償却していきます。
◾️定率法(20%の定率を適用する場合):
1年目: 500万円×20% = 100万円
2年目:(500万円−100万円)×20%=80万円
以後、毎年この計算を繰り返し減価償却費を算出します。
ドローンの減価償却について解説しました。
取得金額が10万円以上のドローンは、一括で経費計上するのではなく、原則、取得金額を耐用年数で割った額を5年に渡って減価償却する必要があるのです。
減価償却は処理が少し複雑になるため、もし調べてわからなければ適当にやるのではなく、一度税理士に相談したうえで正しく申告しましょう。