上記のような悩みを抱えている方は多いと思います。
それを解決できるのが、DJI社から販売されている「AGRAS T30」です。従来のドローンよりもペイロードが増え、1回の飛行で広範囲に農薬散布を行えます。
あらゆる性能が向上し、これまで対応していなかった果樹園でも散布残しがなく、効率的な散布が可能となりました。
本記事では、大容量の農薬散布ドローン「AGRAS T30」の性能(スペック)や特徴、前機種との比較も行なっていますので、ぜひ機体選びの参考にしてください。
出典:(C)DJI
DJI社が販売する農薬散布用ドローン「AGRAS T30」の希望小売価格は約170万円(税抜)です。全国のDJI農業ドローン正規販売代理店で受注・販売中。
バッテリーの販売価格はおおよそ22万円(税込)。
容量は29000mAhで、最大充電電力は7200Wあります。AGRAS T30のバッテリーは移動中でも充電できるため、効率的に運用可能です。
出典:(C)DJI
長さ×幅×高さ(アーム展開時) | 2,858mm×2,685mm×790mm |
長さ×幅×高さ(アームとプロペラ折り畳) | 1,170mm×670mm×857mm |
重量 | 26.4kg(バッテリー含まず) |
作業タンク量 | 30L |
作業ペイロード | 30kg |
最大動作速度 | 7m/s |
最大風圧抵抗 | 8m/s |
最大飛行高度 | 4,500m |
推奨動作環境温度 | 0℃~45℃ |
飛行時間 | 10〜15分/2ha |
1時間あたりの作業効率 | 最大16ha |
全方向性障害物回避レーダー | 搭載 |
遠隔操作の計画精度 | RTK/GNSS |
タンクの取り付け方法 | 固定農薬タンク |
より詳しいスペックはDJI社の公式ホームページをご確認ください。また、AGRAS T30の組み立て方法や基本操作は公式マニュアルをご覧ください。
YouTube動画(DJI AGRAS T30 / T10 紹介映像)
AGRAS T30の主な特徴、進化した点を挙げていきます。
出典:(C)DJI
「AGRAS T30」は30リットルのタンクを装備しており、一度の飛行で広範囲に大量の農薬を散布できるドローンです。
具体的には1時間あたり16ha、1フライトで2haの散布が可能となりました。これは前機種「AGRAS T20」の3倍となり大幅な向上です。
ほかにも16個のノズルが搭載されたことにより、約9mの範囲へ散布可能。一度に散布できる面積が増えており、これも効率的に散布できる理由です。
また、AGRAS T30は複数のセンサーとアルゴリズムを利用し、農地の地形や作物の状態を認識、必要な量の農薬を適切に散布できます。これによって、農薬の無駄遣いや農薬の過剰な使用を避け、環境への影響を低減させられるドローンに仕上がっているのです。
実地検証している様子は以下のYouTube動画から確認できます。
国内最大級ドローン【DJI T30 /T10】最新のDJI農薬散布機30L/10L実地検証
出典:(C)DJI
「AGRAS T30」は前モデルよりも進化した安全機能が2つ搭載されています。
第一に「球面型全方位レーダー」が取り入れられたため、これまで検知できなかった上方向にある障害物も検知できるようになりました。
畑や果樹園などには「電柱」などの障害物があります。これまでは接触するリスクがありましたが、AGRAS T30の優秀なセンサーにより安全性の高いドローンへと進化したのです。
第二に「前後のFPVカメラ」が追加されました。FPVとは、ドローンからの第一人称視点のことで、ドローンは前後の状況を方向転換なしで確認でき、周囲の状況把握が簡単になります。
さらに、AGRAS T30のカメラには従来の2倍の明るさのLEDライトが搭載されているため、夜間でも周囲の環境をよく見ることが可能です。
出典:(C)DJI
農薬散布ドローン「AGRAS T30」には、果樹園での農薬散布を可能にした新たな散布モードが搭載されています。
ノズルの角度を変えた斬新なノズル変形モードによる「気流二相流構造」を採用し、果樹などの葉裏にも農薬を付着させることができるのです。
果樹園でのドローンによる農薬散布を考えている方は以下の動画も参考に。
ついにドローンで果樹散布が!?「DJI Agras T30」
出典:(C)DJI
AGRAS T30は液剤のほかにも粒剤散布にも対応したドローンです。
液剤タンクに40kgの粒剤を入れることができ、肥料や除草剤などの粒剤を効率的に散布することが可能。IP67の定格耐水性により、洗浄可能かつ耐食性があり、肥料、種子、飼料の散布に適したドローンになっています。
AGRAS T30では液剤から粒剤タンクへの交換装着も約1分で行うことができ、作業効率が大幅に高まります。
出典:(C)DJI
大型ドローン「AGRAS T30」は80%まで折り畳みでき、持ち運びが以前よりも簡単になりました。
農薬散布用のドローンは大型で、持ち運びの面が以前からの課題でした。しかしAGRAS T30ではワンタッチロック式のアームを取り入れたことでよりコンパクトになり、しかも閉め忘れのアラームもあって操作上の安全性も高まったのです。
出典:(C)DJI
農薬散布用ドローン「AGRAS T30」のバッテリー1本分の飛行時間は10〜15分。
この飛行時間も1フライトで広範囲へ散布できる要因のひとつです。
ドローンのバッテリーの充電時間はT30専用発電機(充電器付)で約18分。1,000回の充電と4,942エーカーの飛行をカバーする保証が付いています。
出典:(C)DJI
AGRAS T30は、GPSの高精度版であるRTK(Real Time Kinematic)高精度測位モジュールにより、センチメートルレベルのドローン飛行が可能になっています。
あらかじめ飛行ルートを設定することで自動航行が可能。
この優秀なドローン「AGRAS T30」では、自動航行中は残りの薬剤量をリアルタイムで表示し、適切な補充ポイントと作業時間を示してくれる助かる機能もあります。
AGRAS T30 | AGRAS T20 | |
ペイロード | 30kg(1フライト2ha) | 16k(1フライト1ha) |
散布幅 | 9m | 7m |
レーダー | 球面型全方向レーダー | 全方位デジタルレーダー |
FPV | 搭載 | 搭載 |
保護等級 | IP67 | IP67 |
バッテリー | 1000回 | 1000回 |
RTK | 搭載 | 搭載 |
価格 | 約170万円 | 約120万円 |
AGRAS T30は、ひとつ前のドローン「AGRAS T20」よりも性能が向上し、そのぶん価格も高くなっています。
もっとも大きな違いは散布効率が2倍に向上している点。AGRAS T30では、1フライトあたり2haの広さに農薬を散布できますが、AGRAS T20では1フライトあたり1haの散布効率でした。
また、AGRAS T30は大型30リットルのタンクを搭載しており、現在の農薬散布ドローンでは最大のタンク容量です。ひとつ前のドローン「AGRAS T20」は16リットルでしたので、こちらも倍になっています。
出典:liu xiaozhongによるPixabayからの画像
農薬散布用ドローン「AGRAS T30」は30Lの大容量タンクで、1回のフライトで広範囲に農薬散布できるドローンです。容量が増えたにもかかわらず、折り畳み式を採用したことで、持ち運びが簡単になりました。
散布に関わる機能の精度があがり、ハードでもソフトでも農薬散布する人にとって完成されたドローンに仕上がっています。
効率的に広範囲を農薬散布したい人に最適なドローンですので、ぜひAGRAS T30の購入を検討してみてはいかがでしょうか?