ドローンで映像を撮影する際の必須アイテムが「NDフィルター」です。
カメラや撮影の知識がない方で、NDフィルターを使わずにドローン撮影している方は多いと思います。しかし、NDフィルターを使わないと映像がカクカクし、とても不自然で素人感丸出しのドローン映像になってしまうのです。
本記事では、ドローン撮影にNDフィルターが必要な理由や、実際の選び方や使い方まで、初心者に向けてわかりやすく解説していきます。
UnsplashのChristian Langenhanが撮影した写真
カメラや撮影の知識がないドローン初心者に多いのが、NDフィルターを使わずに撮影してしまうことです。
確かにNDフィルターがなくても撮影できますし、天気や時間帯によってはある程度きれいなドローン映像を撮れることも事実。
しかし、適切なシャッター速度で「ブレ」を作るためにNDフィルターは必要で、ドローン撮影するなら絶対に買うべきマストアイテムと言えます。
UnsplashのChristian Langenhanが撮影した写真
NDフィルターの主な使用目的はシャッター速度を落とすためです。NDフィルターは「サングラス」の役割を果たし、レンズに入ってくる光の量を調整します。
映像の撮影では適切なシャッター速度が決まっており、そのシャッター速度で撮影することで、滑らかで自然な映像が撮れるのです。
逆にNDフィルターを付けないで撮影すると、適切なシャッター速度に設定できず、かなり速い速度となり、ブレのない不自然な映像になってしまいます。
blIDlukkertIDによるPixabayからの画像
適切なシャッター速度は、フレームレートの1〜2倍です。
例えば、フレームレートを30fpsで撮影するときの適切なシャッター速度は1/30〜1/60になります。
フレームレート | 適切なシャッター速度 |
24fps | 1/24〜1/48 |
30fps | 1/30〜1/60 |
60fps | 1/60〜1/120 |
120fps | 1/120〜1/240 |
ドローン撮影では一般的に24〜60fpsのフレームレートで撮影することが多く、上記のシャッター速度に調整するためにNDフィルターを使います。
仮に晴れた日の屋外でNDフィルターを付けずにドローン撮影すると、このシャッター速度は1/2000や1/4000などかなり高い数値になるのです。
適切なシャッター速度に設定するには、あらかじめ光の量を減らす必要があり、そこでNDフィルターが必要というわけです。
出典:(C) DJI
NDフィルターには数字がついており、ドローン撮影でよく使うのは「ND4」「ND8」「ND16」「ND32」の4つです。
ドローンに「絞り」が付いていればこれら4つがあれば充分。「絞り」がないドローンの場合には、これら4つに加えて「ND64」という、より濃いNDフィルターがあると、夏の昼間の撮影でも適切なシャッター速度にできます。
この数字は、そのフィルターが光をどの程度減光するかを表しています。例えば、ND2は光の量を半分に減らし、ND4は4分の1に減らします。
業界で大手のDJI社の空撮用ドローンであれば、NDフィルター付きのセットがあるため、ドローンと同時に購入しましょう。もちろん単品での購入も可能です。
また、滝の流れや海の波、川の流れなどをスローシャッターで撮影するなら、より濃い(数値が高い)NDフィルターも別途販売されています。
出典:(C) DJI
ここでは多くの方が使用しているDJI社製ドローンのNDフィルターを紹介します。
NDフィルターは、所有するドローン用のものを購入してください。
・DJI Mavic 3 Pro
DJI Mavic 3 Proには「絞り」が付いていますので、ND8〜ND64あれば十分です。
これよりも濃いNDフィルターは販売されていませんが、ND64を使うと天候や時間帯によってはスローシャッターでの撮影が可能です。
DJI Mavic 3 Pro NDフィルターセット (ND8/16/32/64)
・DJI Mavic 3 Classic
出典:(C)DJI
DJI Mavic 3 Classicにも「絞り」が付いていますのでND64まであれば十分です。
DJI Mavic 3 Classic NDフィルターセット (ND8/16/32/64)
・DJI Air 3
出典:(C)DJI
DJI Air 3には「絞り」は付いていませんが、ND64を使うことで夏の昼間でも適切なシャッター速度で撮影できます。
DJI Air 3 NDフィルターセット (ND8/16/32/64)
・DJI Mini 4 Pro
出典:(C)DJI
DJI Mini 4 Proにも「絞り」は付いていませんが、夏の昼間でも適切なシャッター速度で撮影できるように3つのNDフィルターが用意されています。
DJI Mini 4 Pro NDフィルターセット(ND16/64/256)
Daniel MenaによるPixabayからの画像
光の量を減らすNDフィルターに加え、光の反射を抑えるPL(偏光)フィルターの両方の機能を兼ね備えたフィルターもあります。
PLフィルターは光の反射を除去する効果があり、水面やガラスの反射を抑えることで、透明度を表現する効果があります。
風景撮影において、自然界のあらゆる反射を抑えることで、より色が濃く鮮やかに写るため、多くのドローンユーザーに利用されています。
もしドローンによる風景撮影がメインであれば、NDフィルターとPLフィルターの2つの効果がある「CPLフィルター」を購入しましょう。こちらは正規品はありませんので、他社が販売しているサードパーティー製品を使うことになります。
UnsplashのTyler Caseyが撮影した写真
ドローンのNDフィルターの使い方は至って簡単で、適切なシャッター速度に設定できる数字のNDフィルターをレンズ部分に装着するだけです。
例えばフレームレートを30fpsで撮影するなら1/60が適切ですが、この数字に設定できる数字のNDフィルターを付けます。
これは撮影する場所の明るさによって異なり、晴れていればより数字の大きいNDフィルターが必要ですし、暗ければ数字の小さいNDフィルターが必要です。
天候や時間帯によって明るさは異なるため、ドローンの飛行時に毎回適切なNDフィルターを選ぶことになります。最初は何度か繰り返して適切な数字のフィルターを探ります。慣れてくれば大体の天気で瞬時に判断できるようになりますよ。
ドローン撮影におけるNDフィルターの必要性や選び方、使い方を解説しました。
NDフィルターは、適切なシャッター速度に調整するための必需品です。適切なシャッター速度で撮影された映像は自然なブレがあり、とても滑らかなドローン映像に仕上がります。
そのほかにもPLフィルターの効果を持つ「CPLフィルター」を使うことで、ドローン映像がより鮮やかになるため、風景撮影には必須アイテムとなっています。
もしドローン撮影時にNDフィルターを使用していない方がいましたら、必ず使用するようにしましょう。映像のクオリティーも上がりますよ。