「ドローン」という言葉はよく耳にしますが、その正確な定義や可能性は意外と知られていないかもしれません。実は、ただの遠隔操作飛行機以上のものです。
本記事では、ドローンがどのように私たちの生活やビジネスに革命をもたらす可能性を秘めているのか、その定義とともに深掘りしていきます。さらに、航空法に基づく免許の必要性にも触れ、ドローンを購入する前に知っておくべき重要な情報を提供します。
出典: UnsplashのDose Mediaが撮影した写真
ドローンの定義について、以下の2点を解説します。
※2023年11月現在の情報を元に記載しています。
航空法は2022年6月に改正されており、ドローン規制が強化されているため必ずチェックしておきましょう。
特に100g以上のドローンを扱いたい方は、法律により登録が義務付けられているため要確認です。
ドローンとは、「人を乗せず遠隔操作や自動操縦で飛行させる航空機」のことです。
ただし、大きさやプロペラの数といった明確な定義はなく、ラジコンなども含む無人航空機全般がドローンと考えて問題ありません。一般的には、複数のプロペラを持つマルチコプタータイプを指すことが多いでしょう。
なお、航空法においては屋外を飛行させる100g以上のすべての無人航空機を対象に、登録が義務づけられています。
航空法においては、2022年6月より屋外を飛行させる100g以上のすべてのドローン・ラジコン機を対象として、登録が義務付けられています。100g以上の無人航空機であればラジコンとして販売されている製品であっても対象となります。
ドローンには登録番号を表示してリモートID機能を搭載する必要があります。
国土交通省のポータルサイトからのオンライン申請や、紙媒体での申請が可能です。登録方法によって手数料が異なり、オンライン申請が安いのでおすすめです。
申請は利用者やドローンの情報を入力し、手数料を納付します。
なお、「ドローンの操縦に免許がいるようになった」と言われることがありますが、厳密には免許はありません。ドローン操作に必要な免許とは、この登録作業を行い許可された状態のことを指します。
ドローンは、安全性の確保などの観点から、以下のような空域を飛行する場合は管轄の地方航空局・空港事務所から許可を得る必要があります。
また、一部の緊急用務空域については上記の許可があっても飛行は禁止されています。
加えて、飛行方法についても規制があります。一部の技能証明を受けた方を除いて、以下のような方法で飛行する場合は各地方の航空局長の承認が必要です。
2022年12月にドローンの国家資格である「無人航空機操縦士」が創設されています。前述の飛行区域や飛行方法における事前の申請を省略、または簡略できるのが利点です。
また、機体重量が25kg以上の大型ドローンを操縦する際にも必要となります。一等資格と二等資格がありますが、有人地帯を飛行するためには一等資格が必要です。
さらに、ドローンには、操縦技能などを証明するJUIDAなどの民間資格があります。民間資格を取得することによって飛行申請時に一部申請を省略できるなど許可を取りやすくなる効果があります。しかし、前述の国家資格のように申請自体を省略はできません。
基本的には国家資格の取得を目指すのがおすすめですが、技術の証明になるためドローンを活用した業務に従事する際のアピールポイントとしては有効です。
出典: UnsplashのKenny Eliasonが撮影した写真
ドローンの種類について解説します。ドローンは、主に以下3つのタイプが販売されています。
マルチコプタータイプが、一般的なドローンのイメージに近いのではないでしょうか。他はラジコンとして販売されていることもあるため、購入時の参考にしてください。
マルチコプタータイプは、ヘリコプターのように回転翼で飛行するタイプのドローンです。回転翼が3枚以上付いているものを指すことが多く、一般的なドローンのイメージに近く、販売数も多いのが特徴です。
また、垂直方向への上昇下降がしやすく、離着陸にも場所を取りにくいという利点があります。
飛行機タイプは「固定翼型」とも呼ばれ、飛行機のように二枚の翼と1つのプロペラで飛行します。
長時間・長距離飛行に適しており、天候に左右されにくく安定飛行しやすいのが利点です。ただし、通常の飛行機のように離着陸には広いスペースが必要となります。
ヘリコプタータイプはその名の通り、ヘリコプターのように1枚の回転翼で飛行します。ドローンというよりはラジコンのイメージに近い形状です。
やや操作が難しい反面、プロペラが一つなので燃費が良いのがメリットとなっています。
出典:UnsplashのVictor Larracuenteが撮影した写真
ドローンが活用される主な業種・分野について解説します。ドローンは近年、以下のような場面で活躍しています。
趣味としてだけでなく、産業用や競技用としても多種多様な分野で使用されており、業務効率化や安全性の向上に貢献しています。各分野でどのような使われ方をしているかを紹介するので、チェックしてみましょう
ドローンレースは国内外で開催される、ドローンを使用した競技です。
指定されたコース内での速度を競ったり、障害物の間をすり抜けたりと高い操作技術が要求されます。VRとの組み合わせで、より臨場感のある映像を楽しめます。
ビルや工場などの設備点検でドローンが活用されています。それまでは人が目視で確認していた部分を、ドローンに搭載された高性能カメラやサーマルカメラで撮影してチェックします。
危険な場所での点検をドローンに任せられるため安全性はもちろん、足場を組むための人件費などコストカットの面でも有効です。
ドローンにはカメラが搭載されている場合が多く、さまざまな角度からの撮影にも適しています。イベント時やウェディングフォトなどでの撮影だけでなく、災害地などでの報道にも活用されています。
ドローンの空撮なら現場を俯瞰して撮影できるため、状況が分かりやすくなる反面、災害現場などでは救助ヘリとの接触などに細心の注意が必要です。
農業の分野においてもドローンは活躍しています。例えば、農薬の散布や農作物の生育状況の確認などです。
人手不足とされる農業分野においては、業務の効率化や人の手が必要だった工程を削減できるなどの効果が見込めるのがメリットです。
災害救助では、人では簡単に足を踏み入れられない場所での捜索作業に貢献できます。サーマルカメラなどで夜間でも救助作業を行えるなど、人命救助だけでなく捜索隊への二次災害を避けやすくなるのもメリットです。
ドローンメーカー大手の「DJI社」によれば、世界中でドローンによって救助された人は1,000人を超えると発表されています。
参考:(C)DJI社
測量・観測の分野においてもドローンは有効です。空撮だけでなく上空からのレーザー照射などさまざまな方法があります。
また、地形データを取得しにくい危険地帯においても、ドローンであれば安全に測量できるのが利点です。他にも、地形だけでなく鳥獣の生態観測などにも利用されています。
物流の現場においてもドローンの導入が進んでいます。既にアメリカなどの一部地域ではAmazonがドローンでの配送サービスを展開しています。
人口密集地帯での運用など課題はあるものの、物流業界の人手不足もあり、今後さらにその動きは広まっていくと予想されます。
単純に趣味としてドローンを購入する方も多数います。家電量販店はさまざまな価格帯のドローンが購入でき、誰でも手軽に入手可能です。
100g以上の機体には登録が必要ですが、100g以下のトイドローンであれば買ったその日に飛ばせます。ドローン初心者であれば、価格のリーズナブルなトイドローンから初めてみるのもおすすめです。
出典:Unsplashの Iewek Gnosが撮影した写真
この記事では、ドローンの定義について解説しました。
ドローンは明確に定義づけられているわけではありませんが、「人を乗せず遠隔操作や自動操縦で飛行する無人航空機」を指します。いくつかの形状がありますが、一般的なイメージに近いのは「マルチコプタータイプ」です。
2022年6月に改正された航空法においては、100g以上の無人航空機には登録が義務づけられています。ラジコンヘリも含むため、こちらも明確なドローンの定義というわけではありません。
100g以上の機体であればドローンの免許(=登録・許可)が必須なので、購入時には合わせて登録するようにしましょう。登録媒体によって手数料が異なるため、手数料が900円と安いオンラインでの申請がおすすめです。